『ロストケア』は実話映画?元ネタ事件や原作との違い、タイトルの意味などを解説【あらすじネタバレや感想評価も】
2023年3月24日公開の映画『ロストケア』。
第16回ミステリー文学大賞新人賞を受賞した葉真中顕の同名小説を映画化したものです。
『そして、バトンは渡された』が大ヒットした前田哲監督の作品で、その他には『老後の資金がありません!』や『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』など、福祉や日本における人々が抱える問題に関連する背景が組み込まれている作品を手掛けたりしています。
映画『ロストケア』の口コミ評判レビューには、
- 本当に色々と考えさせられてしまう作品
- 少しラストの予想が出来る感じはあったが良かった
- 重い映画だけれど、現実を知るにはいい作品
- 見ていてとても考えさせられた
- 松山ケンイチと長澤まさみの演技は文句なく素晴らしい
- 現代社会の闇を照らし出した非常に良質な作品
- 人それぞれの答えがかなり変わってくる映画
- この映画を思い出すと今でも複雑な気持ちになる
という声が多数集まっています。
- 『ロストケア』は実話?元ネタの事件について解説
- 『ロストケア』の原作小説と映画の違いについて解説
- 『ロストケア』のタイトルの意味は「喪失の介護」
- 『ロストケア』のあらすじ
- 『ロストケア』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
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目次
『ロストケア』は実話?元ネタの事件について解説
映画『ロストケア』は、利用者に寄り添い、利用者の親族だけでなく会社の同僚など誰からも慕われる心優しい介護職員である斯波宗典という男が、実は父親と利用者41名を含めた計42名という、おびただしい数の人間を殺害した恐ろしい連続殺人鬼であったという、衝撃の事件とその事件にまつわる人間ドラマを描いたサスペンスドラマ作品です。
認知症患者の介護という高齢社会が進む日本の社会問題を題材にした作品になっていて、主演を務めた松山ケンイチ、長澤まさみの熱演もあって、そのリアルすぎる作品の描写から実際に起きたある事件が元ネタになっているという噂があります。
では、実際はどうなのでしょうか?真相について考察&解説して行きます。
管理人
相模原障がい者施設殺傷事件の実話事件が元ネタ?
映画『ロストケア』の元ネタになっているという噂がある事件は、2016年7月に神奈川県相模原市の障がい福祉施設である津久井やまゆり園で発生した「相模原障がい者施設殺傷事件」です。
犯人は施設の元職員であった植松聖という当時26歳の男性で、19人もの入所者を次々と刺殺し、死刑判決を受けて現在刑務所に収監されています。
殺害された人数が19人という数は、戦後の日本の中でもっとも多い人数ということで、事件当時、日本全土を震撼させました。
犯人の植松は「障がい者は人間じゃない」「障がい者は不幸をばらもく存在」といった障がい者への差別的な発言を事件当時から現在に至るまで繰り返しています。
管理人
「人々を救うために事件を起こした」や「正しいことなので、やるべきだと思った」など、一連の殺人について自身を正当化する発言を繰り返している点や、裁判所で死刑判決を受けている点、殺害した人数が多い点など、『ロストケア』で事件を起こした犯人である介護士の斯波宗典との共通点が複数あることから、映画『ロストケア』の元ネタであると言われています。
ですが、実際には、この「相模原障がい者施設殺傷事件」は映画『ロストケア』の元ネタではありません。
元ネタは推理作家・葉真中顕の原作小説で実話ではない
映画『ロストケア』は、小説家・葉真中顕が発表した同名小説を原作した作品となっており、実話ではありません。
また、小説が発表されたのは2013年であり、「相模原障がい者施設殺傷事件」が発生した2016年よりも3年前に発表された小説であることから、元ネタではないことが分かります。
原作小説の巻末では、葉真中顕があくまでフィクションのストーリーであり、元ネタになっている事件はないと語っています。
オリジナルのストーリーということで間違いないです。
管理人
ただ、現在の日本は少子化の影響もあって、今後ますます高齢社会が進んでいくことが予想されています。
このまま高齢社会が進めば、高齢者の介護問題もますます悪化していき、映画『ロストケア』のような事件が起きてしまう可能性もゼロではないと思います。
映画『ロストケア』を鑑賞して、観客は介護について他人事であると思わずに、自分が介護する立場になったらどうするべきか、または、介護される立場になったらどうすれば良いかといったことを考えるきっかけにすべきだと思います。
『ロストケア』の原作小説と映画の違いについて解説
映画『ロストケア』は前述したように、小説家である葉真中顕さんが2013年2月に発表した同名の原作小説が原作となっています。
老人の介護問題という日本社会が抱える社会問題を取り上げた内容は、第16回日本ミステリー文学大賞の新人賞を受賞するなど高く評価されています。
葉真中さんは2006年・30歳の頃に祖父の介護を経験しており、祖父は亡くなる半年前から認知症の進行が進み、自分のことを誰なのか認識できず、突然原因が不明のまま怒り出してしまうなどの症状が出てしまい、そんな祖父の姿に葉真中さんは大きなショックを受けたそうです。
そんな経験によって、葉真中さんは日本の介護制度の問題点などを目の当たりにしました。
そして、その体験が活かされた原作の内容はリアリティーに溢れていて、発表から10年以上が経った現在でも高く評価されています。
管理人
そんな原作版と映画版では内容について大きな違いが3つあるので、解説していきます。
原作との違い①犯人
映画版では、連続殺人を行った犯人が松山ケンイチさん演じる斯波宗典であることが序盤で明かされ、その後に斯波の動機や犯行の方法が明かされていくいわゆる倒叙ミステリーの形がとられています。
ですが、原作では犯人が斯波であるかどうかについては序盤では明かされることはなく、誰が犯人なのか分からない叙述ミステリーとなっており、原作の終盤で斯波が犯人であることがようやく明らかになります。
原作との違い②検事・大友の性別
原作では、斯波の取り調べを行う検事として大友秀樹というキャラクターが登場しますが、映画版では検事の大友を長澤まさみさんが演じていて、性別が女性に変更となり名前も秀樹から秀美に変わっています。
原作でも映画と同様に連続殺人について正しいことを行ったと主張する斯波の主張について苦悩する姿が描かれており、キャラクターの描き方自体はほぼ変わっていません。
おそらく松山ケンイチさん、そして長澤まさみさんという人気演技派俳優二人の初共演ということで話題性を作り、映画をヒットさせるために大友を男性から女性にするという改変が行われたのではないかと考察出来ます。
管理人
原作との違い③施設の名前
原作では、斯波が利用者を殺害した施設の名前が介護付き有料老人ホーム「フォレスト・ガーデン」となっていますが、映画では「ケアセンター八賀」となっており、老人ホームからケアセンターに変更になっています。
このように映画と相違する点が原作小説にはあります。
管理人
映画を観て気になった方は、より作品の理解度が深まると思いますので、原作小説を読んでみることをオススメします。
『ロストケア』のタイトルの意味は「喪失の介護」
タイトルである『ロストケア』という意味深な言葉はどういった意味があるのでしょうか?
映画の中で、ケアセンターの利用者に対し連続殺人を行った斯波宗憲は、「ロストケア」の意味を「喪失の介護」と語っています。
斯波はケアセンターの利用者を殺害して喪失させることによって、認知症によって自分が誰なのか、そして家族が誰なのかも分からない利用者、そんな認知症が進んだ老人のために身を粉に働き、崩壊寸前の親族を救うことが出来ると考えています。
斯波は自身が認知症となった父親の介護のために仕事を辞めることとなり、生活が困窮した過去を振り返って、誰かにずっと救いの手を差し伸べてほしかったと語っていますが、生活保護の受給も受け入れられず崩壊寸前となりました。
最終的に希望通りに父親を自身で殺害することによって、ようやく救われたと感じて、自身と同じように介護で苦しんでいる方々を救いたいという気持ちが芽生えるようになります。
そこで、聖書に書かれている「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなががたも人にしない」という言葉を信条にケアセンターの利用者を殺害するようになったのです。
管理人
この斯波が行った「ロストケア」について、親族からは厳しい非難の声があった一方で、母親の介護によって疲弊していた羽村洋子という女性は救われたと語っています。
斯波の行いは果たして正しいのか、正しくないのかを観客に問いかける強いメッセージが作品を通して表現されています。
作品を鑑賞した後に「ロストケア」という行為について親族やパートナー、そして、友人たちと一緒に自身の考えを語り合うのも良いかもしれません。
『ロストケア』のあらすじ
(以下、映画『ロストケア』のあらすじです。)
『ロストケア』のあらすじ|ケアセンターの訪問先で起きた死亡事件
介護士としてケアセンター矢賀に務める斯波は、その親切な仕事ぶりから利用者の親族や職場でも信頼を集める職員でした。
ある日、センター長の団が利用者宅で利用者の父親と一緒に亡くなっているのが発見され、窃盗中の事故死であると考えられていましたが、斯波が供述したアリバイから違う行動を事件当日行っていたことが判明します。
検事の大友が取り調べを再度行ったところ、利用者が心配で合鍵を使って利用者宅に入った際に団と口論になり、事故死させてしまったと供述します。
大友は、助手の椎名との事件の捜査の中でケアセンター矢賀の利用者の死亡件数が他の施設と比べて異様に多いことを不審に思い、調査を進めたところ、利用者の死亡は決まって斯波の休日に多く発生していることが分かります。
『ロストケア』のあらすじ|利用者を40人以上殺害した犯人であった職員の斯波
利用者宅から身に覚えのない盗聴器が発見されたことから、大友が斯波を追及したところ、斯波は犯行を認め、40人以上もの施設の利用者をシバが殺害していたことが判明して世間を騒がせることになります。
斯波は大友の取り調べに対し、殺害することによって認知症によって家族の存在すら認識できない老人と、その介護によって苦しめられている親族を救うロストケア(喪失の介護)を自分は行っていると言います。
自分の行動を正当化する斯波に対して、大友は他人の人生の決着を付ける権利など無いと訴え、命の尊さを説きますが、斯波は安全地帯にいる人間には介護によって苦しんでいる人間の気持ちなど分からないと言い、かつての自分の介護経験を語り始めます。
『ロストケア』のあらすじ|斯波が連続殺人に至った過去の介護経験
斯波は父親が病気になったことから仕事をやめてアルバイトをしながら父親の介護を行っていましたが、父親の認知症が進んだことからアルバイトすらできなくなりました。
やがて生活は困窮、生活保護の申請を行いますが、受け入れてもらえず、追い詰められた斯波は父親に手を上げるようになってしまい罪悪感と介護の苦しみで崩壊寸前になってしまいます。
そんな生活の中、父親から殺してほしいとお願いされたシバは苦悩しながらもお互いのためにニコチン注射によって父親を殺害します。
父親の死亡が心不全による病死と判断され、殺人がバレなかったことから、斯波は自分と同じように苦しんでいる人々を救う運命にあると考え、犯行に及ぶようになったことを伝えます。
斯波の過去の経験に複雑な表情を浮かべる大友。
彼女もまた両親との複雑な過去の経験を抱えていたのでした。
以上、映画『ロストケア』のあらすじでした。
果たして、大友の過去とは?
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
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『ロストケア』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画『ロストケア』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|社会問題である認知症介護を描き、正義とは何かを観客に問いかける社会派サスペンス
映画『ロストケア』は、葉真中顕さんによる同名サスペンス小説を前田哲監督が実写映画化した作品です。
人気女優の長澤まさみさんと演技派として知られる松山ケンイチさんが初共演ということでも話題を呼びました。
熱心で利用者や同僚からも慕われる存在であった介護士・斯波宗典が実は、利用者40人以上を殺害した殺人鬼であったことが明らかになり、検事の大友が斯波の真意を追求していく中で自らの家族とも向き合っていく姿を描いたサスペンスドラマとなっています。
映画の冒頭では、斯波が介護の訪問先でとても献身的な介護を行い、どんな時でも冷静に笑顔で寄り添って誰もが斯波を慕う姿が描かれます。
そんな斯波が実はケアセンターの利用者を40人以上殺していた殺人鬼であったという衝撃の展開に、一気に引き込まれていきます。
管理人
長澤まさみさん演じる大友は、そんな斯波の殺人事件を検事として担当していくのですが、斯波が過去に重病の父親に付きっ切りで介護をしなくてはならなくなり、いつしか仕事をする時間もなくなって、介護と生活の困窮のために崩壊寸前になっていた経験を知ります。
斯波は父親から殺してほしいと頼まれた斯波は思い悩んだ末に父親を殺害後、自分と同じように認知症で自分が誰かも分からなくなってしまった老人や老人の介護によって苦しめられている人たちを救うために「ロストケア(喪失の介護」と銘打って殺人を犯すようになったことを打ち明けます。
認知症の母親を手厚い老人ホームに入れて生活を送っている大友は、斯波の殺人の真意について殺人を正当化しているだけであると主張しますが、安全な場所にいて自分は絶対に失敗しないと思っているあなたには分からないと言い返され、複雑な表情を浮かべます。
長澤まさみさん、松山ケンイチさんの凄まじい演技もあって一連の問答が描かれるシーンは観客に「斯波の殺人は果たして正義なのか、悪なのか」という問いを徹底的に突きつけます。
管理人
監督を務めた前田哲監督は、監督作である『老後の資金がありません!』で高齢社会の日本の問題をコミカルに描いていましたが、映画『ロストケア』では介護問題についてとことんまでシリアスに描いており、その多彩な作風に驚かされます。
斯波は裁判によって死刑判決を受けることになりますが、被害者の親族の中には斯波を非難するものもいれば、斯波のロストケアによって新しい伴侶を見つけることができ、再婚して幸せな家庭を築いて斯波に感謝するものもおり、大友は最後まで苦悩します。
実は大友は3歳のときに両親が離婚し、それから一度も会っていなかった父親がおり、その父親から再三連絡があったのにも関わらず無視して最終的に孤独死させてしまったことと、その父親の死を認知症の母親に打ち明けられずにいるという秘密を持っていました。
映画のラストでは、死刑を待つ斯波がいる刑務所に向かい、今回の事件を通して目を背けていた秘密に向き合い、母親に全てを打ち明け、あたたかく受け入れられたことを告白し、最愛の父親を殺すという選択肢をとるしか術がなかった斯波のことを心から思いました。
そんな大友の告白に斯波は涙を流し、父親のことを殺した際の苦しみを回想するシーンで映画は終わりを迎えます。
認知症介護について誰にも頼ることが出来ずに崩壊寸前の家族たちが描かれ、更に介護の過酷さというものが全編を通して描かれ、目を背けたくなるシーンも多々あり気が重くなってしまうという方もいると思います。
ですが、事件を通して自らの家族と向き合った大友と同じように、観客もいずれは将来の介護という問題と向き合わなければならないという強いメッセージが込められた、とても社会的意義のある映画だと思います。
これから親族を介護する若い世代、そして、これから親族に介護されることになるであろう老年世代、どちらの世代にもオススメしたい作品です。
『ロストケア』のみんなの口コミ評判レビュー
映画『ロストケア』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「松山さんと柄本さんの演技力、迫真の演技に心を持っていかれた」「高齢化社会の訪れにより誰もが感じるであろう疑問や違和感をとても巧妙に描いてる」「今の日本で大きな問題となっている高齢化について考えさせらた」「今の日本社会、とくに介護という問題についてより現実的に寄り添っていて、とても印象に残った」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★★星5
映画『ロストケア』は現代の高齢化社会において、とても共感できる作品だと思いました。
現実社会でも介護の問題は多く、経験されている方もいらっしゃるのではないかと思います。
私としては介護の問題に直面されていない方にも観ていただきたいと感じました。
長澤まさみの演じた役と松山ケンイチの役とで、比例されておりとてもうまく考えられたシナリオでした。
どちらの気持ちにも共感できるシーンがあり、映画を観ながら何度も涙が出てきました。
終わり方としては喪失感や寂しさを感じさせるものでしたが、それがまさに現代社会での孤独や家族の繋がりを想わせて良かったです。
実話ではないかと思わせるほど良い映画でした。
そして長澤まさみも松山ケンイチも演技がとても上手く、表情や仕草に引き寄せられるものがありました。
お二人が演じられてとても良かったと思います。
30代女性
★★★★★星5
この作品は人それぞれの答えがかなり変わってくる映画だと思いました。
今の日本で大きな問題となっている高齢化について考えさせられました。
厳密にいうと高齢化というより、「ロストケア」という題名の通り介護についてです。
私は最初、連続殺人なんて犯す要因は拙いものだろうと思って見ていたら真相に近づくにつれグッと心が締め付けられるものでした。
誰からも印象が良く、とても好青年な主人公・宗典は介護センターで働いているのですが、その施設はかなりの頻度で死亡率が高いことに気づいた秀美。
犯人の宗典を見つけ、彼はあっさり容疑を認めました。なのに彼は自分がやったことは殺人ではないのだと言いました。
彼が犯した老人たちを救ったと言うのでした。
確かに映画を見ればわかるのですが、「救い」の理由には頷けてしまいました。彼は介護センターに就く前に自身の親を介護していました。
これがかなりリアルで生々しい現場でした。
一生懸命尽くしているのに、日々弱っていく身内に力を振り絞って「殺してくれ」と言われたらどんなに心が張り裂けそうか想像ができません。
この映画を思い出すと今でも複雑な気持ちになります。これから鑑賞する方には折り紙にも注目してほしいと思います。
20代女性
★★★★☆星4
この作品の原作となった小説が書かれてから7年ほど経過しており、また映画の制作には年単位の時間がかかるためある程度仕方ないとは思うのですが、作品の中心にある日本の福祉制度の描かれ方が古いのがかなり気になりました。
事件の直接の動機になったような事案は現在では起こらないよう制度が改善されているため、問題提起としての映画のメッセージが2023年現在ではまったく意味を成さなくなってしまっています。
それでも、主演の松山ケンイチさんと長澤まさみさんの演技は文句なく素晴らしいですし、長澤まさみさん演じる主人公とその母親とのラストシーンには映画としての整合性を飛び越えた感動がありました。
一言脚注で制度が変わったと書いていればだいぶ良かったと思います。
30代女性
★★★★☆星4
現代社会の闇を照らし出した非常に良質な作品であり、見ていてとても考えさせられました。
高齢化社会の訪れにより誰もが感じるであろう疑問や違和感をとても巧妙に描いています。
松山ケンイチさんと長澤まさみさんの演技がその物語を支えていて、介護の大変さだけでなく介護に関わる人々の思いまでも掬い上げていて、誰も悪くないのに、どうしようもない現実がとても重たく感じられます。
殺人を救いといえる制度が今の日本にはなく、その救いを証明できるものもありません。
けれど、現実で終わらない苦しみが永遠にも感じられる時に、それをただの殺人と称していいのか疑問は尽きません。
介護に少しでも関わった方が見るにはあまりにも重い映画だけれど、現実を知るにはいい作品ではないかと思います。
40代女性
★★★★☆星4
映画を紹介するテレビ番組で「『ロストケア』が紹介されており、興味を持ちました。
映画公開まで期間があっため小説を読んでから映画を鑑賞しました。私は医療従事者です。
映画でも問題となっている介護の問題は非常に身近なもので、実際に介護をする家族の方から「早く介護から解放されたい。」という切実な思いを聞くことはありました。
ですのでこの主人公、斯波の行った「ケア」は重罪とも思えない部分がありました。
介護によって破壊された生活、家族を救うという視点では本当に罪なのか、実は正義なのかを考えさせられました。
いい人、優しい人だからこそこの「ロストケア」の犯行に及んだ斯波に救われる人、憎む人、賛否両論あると思います。
今後自分の身に「介護」が降りかかった時に思いだす映画になりそうです。
30代女性
★★★★☆星4
前情報はなく、ちょっとした空き時間に暇つぶしのために見た映画でした。
殺人鬼と聞いて、おそらく怖いミステリー系だと想像していたらいい意味で拍子抜けをしました。
なんで人を殺すのか、ということについて数年前に障害者施設での殺人もありますが、憎しみだけでなく、違う背景から人を殺すという思想に行き着くんだなあと思いました。
物語の設定的に他人事ではない、という方もいたのではないかと思います。
みなさん演技はお上手ですが、特に柄本明さんの演技は圧巻でした。
人は死んでいく時にああいう表情をするのかなあと考えさせられました。
殺人は肯定できるものとは思いませんが、今の日本社会、とくに介護という問題についてより現実的に寄り添っていてとても印象に残っている映画です。
30代男性
★★★★★星5
基本的に映画はあまり行くことがないのですが、松山ケンイチと長澤まさみ・柄本明の演技がすごいという前情報と医療従事者であったため、興味があって映画を見に行きました。
ストーリーはそこまで複雑なお話ではなかったように思いますが、松山ケンイチと長澤まさみ・柄本明が本当にすごくて、特に柄本明の認知症が進んでいく演技は本当に見ていて将来の自分親がこうなるのを想像してしまい恐怖を感じました。
松山ケンイチも殺人者としての役だったのですが、キリスト教で聖書の教えにある「してほしいことを人にもしなさい」ということを正義と感じで殺人を行っていて、周囲からみたら狂っているように思えるかもしれないけれど、自分が親殺しで救われた立場であるからこそそれを行っていたと思うと切なく思いました。
40代女性
★★★★☆星4
高齢化社会を迎えた日本で介護の問題や孤独死について考えさせられる重い作品だというのが最初の印象です。
介護というのはどの家庭でも起きうることなので、そう言ったことについても深く考えさせれれる内容だと思いました。
斯波が実際にやったことは喪失の介護でこれがロストケアということで映画のタイトル通りですがなんだかとても難しい問題だと思いました。
ある意味彼にとっては救いの行為だったのかもしれません。
殺人はもちろん正当化されるものではありませんがこういった介護の問題で自分の親を殺してしまうことはテレビのニュースなんかでもたまに見るので。
この映画でも斯波が痴ほう症の自分の父親を殺めてしまうところのシーンが一番印象に残っています。
40代男性
*映画『ロストケア』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。