『ミッドサマー』は本当にやってるシーンがあり気まずい?熊の意味やダニーのその後、肉にハエが集っていた理由や実話など解説考察
映画『ミッドサマー』に2020年2月21日、日本公開。
『へレディタリー/継承』が21世紀最高のホラー映画などと賞賛された、アリ・アスター監督の長編映画第2作目。
スウェーデンで開催される奇妙な夏の祭りに参加する様子を描いており、その中で心理的な恐怖や不穏な雰囲気が織り交ぜられています作品となっています。
『ミッドサマー』の口コミ評判レビューには、
- 不気味なのに美しく感じた
- 気持ち悪いけど見たくなる作品
- もう少しゴア的な描写があれば良かった
- 誰かと見ると気まずくなる映画
- 少し物足りなさを感じた
- 独自の世界観と深いテーマ
- 予測不能な展開に惹きつけられた
- 衝撃的な描写やシーンが多々ある
という声が多数集まっています。
目次
ミッドサマーは本当にやってるシーンがあり気まずい?
本作『ミッドサマー』ですが、元々R18指定、その後に18歳未満のファンからの要望によってR15指定になった映画ということで、残酷描写等が多々あるショッキングな映画となっています。
ミッドサマーで本当にやってる?と疑われたシーン
特に際どいシーンなのが、映画の終盤でホルガ村の夏至祭の一環として行われる性の儀式のシーンです。
ホルガ村では子孫の繁栄のために外部からの血液を入れる狙いから性の儀式が行われるのですが、ホルガ村の女性との性行為を長老であるシヴから許可されたクリスチャンは、精力剤を飲まされクリスチャンに好意を寄せていたマヤと性行為を行うことになります。
このシーンでは、乳房や局部までも露わにした12人の一糸まとわぬ全裸の女性に囲まれる中でホルガ族の少女であるマヤとクリスチャンが全裸で性行為を行う様子が生々しく描かれていて、非常にショッキングなシーンになっております。
マヤがエクスタシーを感じ、喘ぎ声を出すと、それに呼応するように12人の全裸の女性も雄たけびを上げており、ホルガ村の不気味な慣習にクリスチャンが徐々に我に返っていく様子も描かれます。
R15指定のバージョンでは性行為を行うシーンにボカシが入っておりますが、R18指定のバージョンではボカシも無い状態となっています。
そのため、恋人と鑑賞する際や家で鑑賞する際は気まずくなってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
そんな生々しい行為が描かれたショッキングなシーンですが、役者陣は本当にやっているのでしょうか?
調べていきたいと思います。
2週間に渡る、とても過酷な撮影
このショッキングなシーンについて、実際に役者陣が行為を行っていたかについては、明言されている記事などはありませんでした。
あくまで映画の撮影ということですので、本当にやってる可能性は低いのではないかと考察出来ます。
ただ、このシーンの撮影についてはなんと2週間もの時間がかかったということでクリスチャンを演じたジャック・レイナーはインタビューにて非常に撮影が大変であったことを明かしています。
撮影に行く度に全裸になるため、なんとも屈辱的な気持ちになったと語っておりますが、実はこのシーンでクリスチャンが全裸になるというアイデアはジャック自身のアイディアだったという驚愕の事実も明らかになっています。
実はジャックは、これまで映画での性的な暴力描写の中で多くの場合、女性が全裸にならざるを得なかった状況についてジェンダーフリーやMETOO運動が叫ばれる昨今において不公平であると感じており、崩れたバランスを取り戻すために全裸での撮影を決めたと語っています。
ショッキングなシーンの裏に、ジャック・レイナーという俳優の健全な倫理観があったことを理解した上で鑑賞すると、また違った解釈が生まれるかもしれません。
考察解説|熊の意味やダニーのその後はどうなった?肉にハエが集っていた理由や実話解説
熊の毛皮を着せられた意味
映画のラストでメイクイーンとなったダニーから生贄として選ばれたクリスチャンが、解剖され臓器等が取り除かれた熊の毛皮を着せられて、生きたまま聖堂の中で燃やされてしまうというシーンがありますが、この熊には一体どういった意味があったのでしょうか?
考察していきたいと思います。
強さを象徴するシンボル
北欧の神話では、熊はその圧倒的な強さから神格化されており、強さを象徴する非常に重要なシンボルとして登場しています。
また、熊や狼を身につけることで戦士たちの戦闘能力を増幅させるという言い伝え(北欧神話に登場するベルセルクも熊や狼の毛皮を着て野獣になりきって敵と戦う)もあることから、マヤと性行為を行った精力に満ちた男性であるクリスチャンを戦いの神であるベルセルクに見立てて、生贄にしたのではと考察できます。
クリスチャンもまさか村を訪れた当初に檻に閉じ込められていた熊の皮を自分自身が着て、燃やされてしまうとは思いもよらなかったことでしょう。
ダニーのその後はどうなった?
本作『ミッドサマー』の主人公として登場するのが、フローレンス・ピュー演じるダニー・アーダーです。
ダニーは、双極性障害を持つ妹が両親を巻き添えにして一家心中を図った辛すぎる過去を持っています。
ダニーに内心うんざりしながらも別れを切り出すことが出来ない彼氏のクリスチャンやその仲間たちとともにホルガ村で90年に一度行われると言われる夏至祭に参加することになるのですが、次々とショッキングな儀式や光景を目の当たりにし、どんどんと精神不安定な状態になっていきます。
そんなダニーですが、村の女性たちに誘われて、ダンス競争に参加することになり、見事最後まで踊ることに成功して優勝し、メイクイーンに選ばれ、幻覚作用のあるお茶で乾杯したこともあり、競争を通じて村人と打ち解けます。
しかし直後に信頼していたクリスチャンが村の女性マヤと性行為を行っている様子を目撃してしまい、あまりのショックに泣き叫んでしまいます。
その後、メイクイーンとして生贄になる人物を選ぶ権利を得たダニーは、クリスチャンを選出し、神殿の中で燃やされていくクリスチャンの姿を見て徐々に笑みを浮かべるシーンで映画は終わりを迎えますが、ダニーはその後どうなってしまったのでしょうか??
作品の中でダニーのその後が描かれることはないため、考察していきたいと思います。
ダニーのその後①夏至祭を終えて、一人でアメリカに帰った
1つ目に考察できるのは、夏至祭を終えて、無事に一人でアメリカに帰ったという説です。
メイクイーンに選ばれ、村の人々との信頼関係も生まれたダニーが無事にアメリカに帰ることが出来た可能性もあると思います。
映画のラストでクリスチャンが焼かれていく様を見て最初は泣いていましたが、徐々に笑みを浮かべていたことからダニーの心は正常な倫理観を失い、苦しみを喜びに感じることが出来るようになったと考察出来ます。
そのため、妹への不安やクリスチャンから別れを告げられてしまう不安から解放されたダニーは、その生活が幸せかどうかは別にして、もしかしたら以前よりも生活しやすくなるのかもしれません。
ダニーのその後②メイクイーンとして、ホルガ村の男性の子どもを身籠った
2つ目に考察できるのは、メイクイーンとして、ホルガ村の男性と性行為をすることを許され、その男性の子どもを身籠り、出産したという説です。
ホルガ族が夏至祭に外部の人間を歓迎したのは、外部の血を入れ、村の子孫繁栄を狙ってのことです。
そのため、ダニーをメイクイーンになるようわざと仕向けて、ホルガ族の子どもを産ませることを計画していると考察出来ます。
ダニーに彼氏のクリスチャン以上に優しく接し、誕生日を祝ってあげていたホルガ族の留学生ペレは、ダニーがメイクイーンに選ばれた際にはキスをしており、最初からダニーに自身の子どもを産ませるために必要以上に彼女に優しく接していたのかもしれません。
ダニーはおそらく、その後はホルガ村で生活し、72歳になったらダンやエバートのようにアッテストゥパンの儀式に参加し、自らの命を落とすという運命をたどるのではないでしょうか。
村人がダニーを無傷で帰すことはなかなか考えにくいので、こちらの説の方がアメリカに帰ったという説よりも有力だと思います。
本当の話?実話解説
スウェーデンにある古くからの言い伝えや慣習、そして伝統を重んじる人里離れたホルガ村の夏至祭に参加した大学生たちの悲劇を描いた本作『ミッドサマー』ですが、実話なのでしょうか?調べていきたいと思います。
監督を務めたアリ・アスターのオリジナル脚本
結論から言うと、本作『ミッドサマー』ですが、監督を務めたアリ・アスターのオリジナル脚本となっていて実話ではありません。
アリ・アスターは研究熱心な監督として知られており、若い頃はあらゆるビデオ店に出向いて、多種多様なホラー映画を鑑賞しており、その映画体験を活かした魅力的な脚本も人気の秘訣となっており、監督デビュー作として世界中の批評家から絶賛された『へレディタリー/継承』も自ら脚本を担当しています。
また、本作『ミッドサマー』ではホルガ村にあるモニュメントや聖堂、更に預言書、村人たちの死生観といった独特の設定についても細かく練られていて、その細部まで拘りぬかれた設定が多くの観客が実話なのではないかと勘違いする要因になっているのではないかと考察出来ます。
アリ・アスター監督は大ヒット作『ジョーカー』で知られるホアキン・フェニックス主演の最新作『ボーはおそれている』でも脚本を担当しており、2024年の2月16日から日本でも公開され、衝撃作ということで早くも話題を呼んでおります。
ホラー映画界で最も才能のある若手監督との呼び声も高いアリ・アスターの今後の活躍に期待したいところです。
肉にハエが集っていたのはどうして?
メイクイーンに選ばれたダニーは美しい花の首飾りを付けてもらい、お祝いの食事会へと連れて行かれますが、その中でテーブルに置かれている肉にハエが無数に集っているシーンが描かれますが、なぜハエは肉に集まっていたのでしょうか?
また、肉は何の肉だったのでしょうか?
幻覚成分のあるお茶によってトリップしてしまったダニー
野外での食事の場合、食べ物にハエが集ってしまうのは当たり前のことであり、このシーンでハエが集っているのも単なる自然現象だと思います。
また、肉についても殺害されたマークやジョシュといった人間の肉ではなく、馬や豚、牛といった家畜の肉で間違いないと思います。
このシーンについては、肉が得体のしれない動物のものであることを表現しているのではなく、ダニーがメイクイーンを決めるダンス大会に参加する前に飲まされた幻覚作用のある成分の入ったお茶を飲んだことにより、トリップしてしまい、神経が過敏な状態になっていることを表現しています。
幻覚作用によって、トリップし、神経が過敏になると、些細な音や匂いについて普段の何倍も敏感になるようですが、ダニーもトリップしたことによってこれまで気にもしなかった肉に集るハエについて気になってしまうほど神経が敏感になっていることが分かります。
ホルガ村に着いた当初にマリファナを使用した際、ダニーはバッドトリップをしてしまい、周りのみんなから笑われているような不快な感覚に陥っておりましたが、この食事の際のトリップでは村人みんなから歓迎され、まるでみんなが本物の家族であるような心地の良い感覚を覚えていることから、ダニーがホルガ村に親しみを感じ、馴染んでいることが分かります。
そんなダニーとは対照的にクリスチャンは疎外感を覚え、精神的に不安定な状態になっており、2人に待ち受ける映画の絶望的な結末を暗示させるような重要なシーンだと思います。
『ミッドサマー』のあらすじ
『ミッドサマー』のあらすじ|ホルガ村で行われる夏至祭へと向かうダニーたち
双極性障害を患っている妹を持つダニーは、妹からの不吉なメールに不安を覚え、彼氏のクリスチャンに電話をしてなんとか気持ちを落ち着かせようとします。
度重なるダニーの相談にクリスチャンは内心うんざりしていましたが、別れをなかなか切り出せずにいました。
周りの友達からも別れるように忠告される中、再びダニーからの着信があり、渋々電話を出ると、ダニーから妹が両親を巻き添えに一家心中を図ったことが伝えられます。
ショックを受けるダニーを前にクリスチャンはますます別れを切り出すことが出来なくなってしまうのでした。
翌年の夏になり、クリスチャンとパーティーに参加したダニーは、クリスチャンが自分には内緒で仲間のマーク、ジョシュとともにスウェーデンからの留学生ペレの地元であるホルガ村への旅行を計画していることを知ります。
内緒にしていたことを咎められたクリスチャンは仕方なくダニーも旅行へと誘い、ダニーたちは90年に一度行われる夏至祭へと参加するためにホルガ村へと向かいます。
『ミッドサマー』のあらすじ|村の衝撃的な風習に翻弄される一行
ホルガ村にはダニーたちの他にペレの兄弟分であるイングマールの誘いでロンドンからサイモンとコニーという一組のカップルも訪れていました。
ダニーは、美しいホルガ村の風景と村人たちのあたたかい雰囲気に一気に魅了されます。
翌日になり、アッテストゥパンという儀式に参加することになった一行は、2人の老人が崖から飛び降り、命を落とす衝撃の光景を目の当たりにしてしまいます。
ホルガ村では、72歳になると自ら命を絶ち、生命を循環させるという風習があったのです。
ショックを受け、村から出ようとするダニーでしたが、ペレの説得とジョシュの村をテーマにした論文作成のために仕方なく村に残ることを決めます。
翌朝になり、マークは村人が大事にしている神聖な木に向かって立小便をしてしまい、村人から激怒されてしまうのでした。
『ミッドサマー』のあらすじ|次々と姿を消してしまう訪問者たち
サイモンとコニーは儀式を目の当たりにして村を出ることを決めますが、サイモンが先に出発したと聞かされたコニーはパニックのあまりに1人で村を出ていってしまいます。
仲間たちの誘いでホルガ村を訪れたクリスチャンでしたが、不思議な風習や儀式を目の当たりにして突如自分も論文を作成することを決め、以前から文化人類学を専攻し必死に研究に勤しんでいたジョシュから非難を浴び、2人は険悪なムードになってしまいます。
マークの立小便の影響やコニーたちがいなくなってしまったことから険悪なムードのまま夕食を迎えますが、マークは若い女性の村人に呼び出された後に行方不明になってしまいます。
クリスチャンよりも優れた論文を作成するために村人からルビラダーという預言書について教えてもらったジョシュは夜になり、禁止されている預言書の写真撮影を行っているところを襲われてしまうのでした。
果たして、ダニーとクリスチャンはどうなってしまうのか?
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
『ミッドサマー』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
感想評価(※ネタバレ有)|アリ・アスター監督の才能が爆発する美しさと醜さが見事に同居した唯一無二のホラー映画
本作『ミッドサマー』は、長編監督デビュー作である『へレディタリー/継承』が21世紀最高のホラー映画と評され、批評家から絶賛されたアリ・アスター監督の2作目の長編監督作品となっています。
物語は精神障害を抱えていた妹が両親と一緒に心中を図ってしまった主人公のダニーがボーイフレンドのクリスチャンと仲間たちとともにスウェーデンのホルガ村で90年に一度開催される夏至祭を訪れるところから始まります。
ホルガ村は、白夜で昼夜問わず晴れ晴れとした天気となっており、その雄大な風景や細部まで拘られた村のモニュメント、村人の衣装などが美しく描かれ、村を訪れたダニーたちと同様に観客もホルガ村に魅了されると思います。
この時点では、ホラー映画とは思えないような美しい映像が続きますが、アッテストゥパンという儀式に参加するシーンから一気に村への親しみが絶望へと変わっていきます。
ホルガ村では72歳になると、自ら命を落とし、生命の循環させなければならないという風習があり、老人たち2人が高い崖から飛び降り命を落とします。
このアッテストゥパンのシーンでは、老人たちが落下し、身体が砕け散るシーンや顔が踏みつぶされるシーンがあったりとかなりショッキングな内容になっているため鑑賞には注意が必要です。
その後、仲間の一人であったお調子者のマークが神聖な木に向かって立小便をしてしまったことから村人に始末され、論文作成のために重要な村に伝わる預言書「ルピラダー」を写真撮影しようとしたことで撲殺されるなど次々と訪問者が消えていく展開となっていきます。
最終的に残ったダニーとクリスチャンでしたが、クリスチャンは子孫繁栄のために村人から薬を盛られ、大勢の裸の女性に囲まれる中で村の少女であるマヤと性行為を行うことになりますが、そのシーンについてもかなり生々しく行為について描かれており、ゾッとするシーンになっています。
そんな光景を目の当たりにしてしまったダニーは泣き叫び、不安定な状態となります。
家族を失い、信頼していた彼氏にも裏切られてしまうダニーを演じたのはイギリス出身の若手演技派女優であるフローレンス・ピューですが、次々と待ち受ける悲劇に翻弄されるヒロインを感情豊かに演じており、その迫真の演技は必見です。
最終的に村人から生贄を選ぶように命じられたダニーは、クリスチャンを生贄に選び、神殿の中で彼の身体が焼き尽くされ、その光景に最初は号泣しながらも、途中で吹っ切れたかのように笑顔を浮かべるダニーの姿が描かれ、映画は終わりを迎えます。
ホルガ村で伝承される儀式や伝統について細かい部分まで設定されており、非常にリアリティのある作品となっています。
また、美しい映像は徹底的に美しく、グロテスクな映像については完膚なきまでにグロテスクに描いており、そんな相反する要素が見事に混ざり合った映像は見事としか言いようがありません。
かなり際どい描写もあるため、ホラー映画が苦手と言う方は注意が必要ですが、アートな雰囲気すら感じる完成度の高い映画となっておりますので、一度観てみることをオススメします。
『ミッドサマー』の皆んなの口コミ評判レビュー
映画『ミッドサマー』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「人によってはハッピーエンドと捉えるラスト」「ホルガ村での祭りのシーンは圧倒的な美しさと同時になんともいえない不気味さがあり、物語の緊張感があった」「普通のホラーじゃないからこそ、余計に怖い」「一度観ただけでは全てを理解できない内容」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★★星5
この作品は好き嫌いがかなり別れる作品ではあると思います。
公開時から衝撃作品との触れ込みで、観劇した人が次々とカップルで見に行くのはお勧めしない、という口コミを見て、どういうことかと思っていましたが、いやこれはカップルでなくても、一緒に観劇している人と気まずくなりそうな話だなぁと思いました。
特に日本人の感性では理解し難い点も多く何回か鑑賞しないと理解できない!という友人もいました。
個人的に、映像美が独特で美しいのと場面の切り替わりや、恐怖感や追い上げ感が素晴らしいなと感じました。
あのミッドサマーにしかない生々しさや儚さの演出は独特だと思います。
舞台が、スウェーデンというのもあり緑とホラー、スリルのあるどこか謎めかしいカルトチックでカオスにカオスを極めた感じも素敵でまるで自分もその中に居るかのように錯覚できる考えさせられる物語性で一度とならず何回も観たくなるような映画でした。
あの妖美な美しく恐ろしさも感じるラストシーンは忘れられません。
20代女性
★★★★☆星4
傷ついた主人公が恋人たちに、スウェーデンの奥地に90年に1度開催されるという夏至祭に連れて行かれ、奇妙で恐ろしい体験をするという作品。
とにかく、広告の美しいビジュアルや、衣装や風景の綺麗さとは裏腹に、怖い!
それもただ怖いのではなく、徐々に迫り来る得体もしれない恐怖。
宗教的な得体の知れなさもですし、人間の持つ不安定さも怖い。それは確実に自分自身の中にもあるものだからかもしれない。
ラストの主人公の選択は、「まあ、そうよね。あれを見てしまったら、私もそう選択するな」と思わせるものだったけれど、そうじゃない人も映画を見た人には多いと思う。
物議を醸すラストだと思います。
個人的には、途中で高齢夫婦が崖から身を投げるシーンが衝撃的でトラウマになっています。
30代女性
★★★★★星5
アリアスター作品で最も有名な作品です。
この作品を一言で言い表すなら、とにかく映像が花畑にいるような太陽に照らされた明るくて綺麗な世界です。
主人公たちが村に来て、ドラッグを摂取し酩酊状態になるのですが、観ている人も同じようなふわふわした感覚でこの作品を観てしまう。
グロテスクな表現も多いのですが、とにかく映像が明るくて綺麗なため、不思議な感覚で起こる出来事を見てしまいます。
この作品はよくある土着信仰のある閉鎖した村に、若者達がやってきて痛めつけられるという王道ストーリーです。
しかし、これまでの王道ストーリーとは違う表現が癖になる作品だと感じます。
ストーリーには神話をもじった表現も多いので、見終わったあとにアレはどう意味?と考察サイトなどを見たくなるような展開が多かったです。
見終わったあとは観た人も登場人物たちのようにマインドコントロールされたかのように、なんとも言えない気持ちになれると思います。
30代女性
★★★★☆星4
おしゃれ雑貨屋のフランフランのような情景が逆にグロテスクに感じてしまう、衝撃的な作品でした。
この作品をきっかけにアリ・アスター監督のことが気になって、ヘレディタリーも鑑賞してしまいました。
また、ヘレディタリーと共にこちらも実体験を元にされたと聞いて表現の仕方に唸るものがありました。
序盤で顔面破壊される白髪の老人の俳優さんが若かりし日のビョルン・アンドレセン氏と知って驚きつつ、彼の美しすぎるルックスで被ったハラスメントの数々を知ってからのあの顔面破壊は彼の人生が反映されているような気がしてなりません。
作中ずっと泣いていた主人公が後味最悪だとしても、最後に一番の笑顔を見せれたのは個人的にはハッピーエンドに感じられました。
20代女性
★★★★☆星4
友人から、「映像は美しいけれど、すごく怖い映画があるらしいよ」と勧められました。
ひとりで見終わって、人間の自分勝手で嫌な部分を、手を変え品を変え見せられたようで、後味が悪かったです。
ひとりで静かに見るのもメンタルに堪えるし、友人や家族と見るのは罰が悪すぎて厳しいなあと思いました。
日本の「楢山節考」に端を発したというのは納得でしたし、それにカルト宗教の気持ち悪さが加わったような、どんよりした気持ちになる映画でした。
映像がカラフルで異様に明るいのが、なお不気味でしたし、老人が飛び降りたり、ハンマーで殴られる儀式は実在したらしく、もう怖いを通り越して、人間でいるのが嫌になってくるような映画でした。
ただ、映像も仕掛けもとても丁寧につくられていた映画だと思います。
50代女性
★★★★☆星4
『ヘレディタリー/継承』で鮮烈な印象を残した、アリ・アスター監督の最新作(当時は)とあって期待値を上げて鑑賞したのですが、正直言って予想以上の作品でした。
昔のホラー映画『ウィッカーマン』のような田舎の村社会の神秘的な雰囲気があり、それを踏襲したような作品なのだろうと思いましたが、それよりもさらに人間にフォーカスがよった作りになっていて、特有の粘っこさが気持ち悪く、見事なオリジナリティを獲得していたところが満足度の大きな要因と言えるでしょう。
意味不明という意見があるのもわかるのですが、わからないからこそ怖い、そしてまるで宇宙人のようにわからないのではなく、ギリギリ理解できない価値観が善意を持って苦しみを与えてくることへの恐怖。
コレはそんじょそこらのホラー映画では味わえない、この作品特有のものだと思います。
40代男性
★★★☆☆星3
アリ・アスター監督の『ヘレディタリー/継承』が好きだったので『ミッドサマー』の方も鑑賞しました。
初めて鑑賞した当時は自分は何を観ているんだという気持ちが1番でしたが、2回目、3回目と映画を鑑賞し終わる度どことなく他のホラー映画では味わうことのできない居心地の良さのようなものを感じるようになりました。
他のホラー映画と違い、音で脅かしたりなどはせず、ホラー映画が苦手な人でも気軽に観れる映画だと思います。
ただ個人的にもう少し村の住民について深掘りして欲しかったなと思います。
淡々と奇妙なことだけが起きていき、観ている私たちが映画の世界観についていけない箇所も多々あるなと数回観て感じたので賛否両論分かれるような評価になっているのかもしれません。
20代男性
★★★★★星5
ポスターやPVは非常に明るく、花々咲き乱れる美しい北欧のお祭りに訪れた大学生の物語となっていますが、中身は脳内が凍り付く死屍累々のサイコホラーでした。
暗いイコール怖いといったこれまでのホラー映画の概念を塗り替えた作品だと思います。
本当の意味での恐怖とは理解が追い付かない演出の数々で観客脳内にある僅かな希望すら木っ端みじんにすることなんだなと、恐怖の本質を学ばせて頂きました。
シナリオや演出、映像の美しさ全てにおいてこの映画でしか見れないものばかりであった為、ホラー映画の中でも群を抜いて完成度が高いと感じました。
ただし、カップルで観ると別れるという逸話がある作品である為、観る人をかなり選ぶ作品だと思います。
美しい劇薬なのでホラーが好きな方であっても精神的に来るものがあります。
余談ですが私が一番怖いと感じたのは、この映画をホラーではなく失恋映画だと言い切った監督の感性や想像力です。
このような新鮮で瑞々しい恐怖を生み出すアリ・アスター監督、制作会社A24を今後とも応援し続けたいと思います。
30代男性