『ニュー・ミュータント』の時系列や全6人の能力がすごい!イリアナの過去、続編まで徹底解説。

2020年8月28日公開の映画『ニュー・ミュータント』。
X-MENシリーズのスピンオフ作品として、ホラーと青春を合わせて製作された異色のヒーロー映画です。
舞台となるのは、外界から完全に閉ざされた謎の医療施設。
自らの力を制御できない6人の若者たちは、「保護」を名目に監視下で生活を送りますが、やがて施設内で不可解な現象が頻発し始めます。
従来のX-MEN作品が持つアクション性やヒーロー像とは違い、若ききミュータントたちが隔離施設に収容され、己の能力と過去のトラウマに向き合っていく姿が描かれます。
目次
時系列・XMENシリーズやデッドプールの繋がりについて解説

映画『ニュー・ミュータント』は、「X-MEN」シリーズの13作品目として2020年に公開されました。
ホラー映画『IT』と、青春映画の代表作『ブレックファスト・クラブ』を掛け合わせたような作風が特徴で、シリーズとしては異色の青春ホラー作品となっています。
しかし、公開までにはパンデミックや、20世紀フォックスのディズニー買収といった事情が重なり、5度の公開延期を経てようやく劇場公開されました。
こうした制作背景もあり、映画『ニュー・ミュータント』はX-MENシリーズの中でもやや特殊な立ち位置に置かれています。
明確な時系列が示されていない理由
『ニュー・ミュータント』はX-MENシリーズの一作でありながら、主要キャラクターは登場しません。
X-MENシリーズの主要キャラ
- プロフェッサーX
- マグニートー
- ウルヴァリン
作中では、ミュータントを兵器として利用しようとするエセックス・コーポレーションの名前が挙がるものの、『ニュー・ミュータント』がシリーズのどの時点に位置するのかは明確に語られていません。
そのため映画『ニュー・ミュータント』は、X-MENシリーズの世界観に属しながらも、単独作品としても成立する構成になっています。
作中で言及されるエセックス・コーポレーションは、ミュータントを「治療」ではなく研究・管理の対象として扱う組織です。
管理人
この名前は『X-MEN:アポカリプス』のエンドクレジット後や『LOGAN/ローガン』にも登場しており、ミュータントのDNAを回収・研究している組織です。
『ニュー・ミュータント』では、その活動の末端にあたる施設が舞台となっており、X-MENシリーズと同一世界で起きている出来事であることがわかります。
それでも完全に無関係ではないX-MENとの繋がり
一方で、『ニュー・ミュータント』がX-MENシリーズと完全に切り離された作品かというと、そうではありません。
作中には、シリーズとの繋がりを示す要素がいくつか存在します。
サンスポットと『X-MEN:フューチャー&パスト』の繋がり
ロベルト・ダ・コスタが持つ「サンスポット」の能力は、過去作『X-MEN:フューチャー&パスト』にも登場しています。
同作では未来のミュータントの一人としてサンスポットが描かれており、映画『ニュー・ミュータント』のロベルトと同名・同系統の能力を持つ存在です。
この点からも、『ニュー・ミュータント』の世界観がX-MENシリーズと地続きであることがうかがえます。
イリアナとコロッサスの兄妹関係
イリアナ・ラスプーチンについても、シリーズファンにとって重要な繋がりがあります。
原作コミックでは、イリアナはX-MENメンバーであるコロッサスの妹という設定です。
映画『ニュー・ミュータント』の中では、この兄妹関係について直接的な言及はありませんが、イリアナというキャラクターがX-MENシリーズと同じ系譜に属する存在であることを示す補足要素となっています。
デッドプールシリーズとの関係は?
『ニュー・ミュータント』の後に公開された『デッドプール&ウルヴァリン』では、『ニュー・ミュータント』に関する直接的な言及はありません。
そのため、デッドプールシリーズと『ニュー・ミュータント』の物語が明確につながる描写は現時点では存在していないのが実情です。
ただし、上記で書いたようにコロッサスがデッドプールシリーズに登場していることや、イリアナが原作上ではその妹であることを踏まえると、世界観レベルでの接点は十分に考えられると言えるでしょう。
登場キャラクター全6人の能力|イリアナの過去も解説

『ニュー・ミュータント』に登場する能力は、幻覚の具現化・獣化・高速突進・太陽エネルギー操作・異次元転移と武器生成・防御壁生成の6種類です。
これらの能力が単なる超能力として描かれるのではなく、各キャラクターが抱えるトラウマと深く結びついている点が大きな特徴となっています。
ここからは、登場人物ごとに能力の特徴と、その背景を解説していきます。
イリアナ・ラスプーチン/アニャ・テイラー=ジョイ
イリアナの能力は、異次元空間を介したテレポーテーションと、武器(ソウルソード)の生成です。
5人の若きミュータントの中でも、能力の制御が最も安定しており、他のメンバーを見下すような態度を取る場面も目立ちます。
結論から言うと、イリアナが攻撃的で他人を寄せつけないのは、幼少期にスマイリーメンに誘拐され、長期間虐待を受けた過去が原因です。
この体験によって、彼女は他人を信用することを避け、先に相手を突き放すような態度を取るようになりました。
イリアナの冷酷さは強さの象徴ではなく、生き延びるために身につけた防衛反応として描かれています。
映画の終盤で、幻覚として現れたスマイリーメンと再び向き合い、これを打ち破る場面は、イリアナが過去に支配される側から抜け出す転機となる重要なシーンです。
ダニエル・ムーンスター/ブルー・ハント
ダニエルの能力は、他人の恐怖やトラウマを幻覚として具現化させることです。
アメリカ先住民族シャイアン族出身の少女である彼女は、施設に集められたミュータントたちの無意識に干渉し、それぞれが心の奥底に封じ込めていた恐怖を現実のように呼び起こしてしまいます。
イリアナの恐怖であるスマイリーメンをはじめ、仲間たちは次々と過去のトラウマと向き合うことになります。
またダニエル自身も、幼少期に体験した恐怖が「デーモンベア」として実体化し、施設全体を脅かす存在となりました。
当初は自分の能力を制御できず追い詰められますが、恐怖から逃げずに向き合ったことで、最終的にはデーモンベアを鎮めることに成功します。
レイン・シンクレア/メイジー・ウィリアムズ
レインの能力は、人間から狼へと変身できる獣化能力です。
ダニエルの理解者として寄り添う存在である一方、彼女自身も深い葛藤を抱えています。
過去に能力を神父に見せたことで、「悪魔の力」として拒絶され、排除されそうになった経験が強いトラウマとなっています。
信仰心の強いレインにとって、自身の能力は祝福ではなく、罪や呪いとして受け止められてきました。
レインの葛藤は、能力そのものよりも「受け入れられない恐怖」にあり、自分自身を肯定できない苦しさが物語の随所で描かれています。
サム・ガスリー/チャーリー・ヒートン
サムの能力は、身体を弾丸のように推進し、高速で突進できる能力です。
ロケットのように飛行する力を持つ一方で、飛行中は無防備になるという危うさも併せ持っています。
過去に鉱山で能力が暴走し、大事故を引き起こしたことで、父親や仲間たちを失ってしまいました。
この出来事がトラウマとなり、サムは自分の力を使うこと自体に強い恐怖を抱くようになります。
終盤で恐怖を乗り越え、再び突進を選ぶ場面は、サムが自分の能力と向き合い、前に進む決断をした象徴的なシーンとなっています。
ロベルト・ダ・コスタ/ヘンリー・サーガ
ロベルトの能力は、太陽エネルギーを吸収し、発火や怪力を発揮する「サンスポット」です。
しかしその力は非常に不安定で、感情の高ぶりによって制御不能になる危険性を孕んでいます。
過去に恋人を抱きしめた際、能力が暴走して身体が発火し、彼女を死なせてしまった経験が大きなトラウマとなっています。
そのためロベルトは、自身の能力を恐れ、積極的に力を使おうとしません。
この「制御できない炎」は、ロベルトの自己否定や臆病さと直結しており、能力が彼の内面を象徴する存在として描かれています。
セシリア・レイエス/アリシー・ブラガ
セシリアの能力は、プラズマエネルギーによる防御壁(バリア)の生成です。
若きミュータントたちを「治療する」という名目で施設に隔離していましたが、実際には彼らの能力を兵器として利用しようとしていました。
施設全体を覆う防御壁は、ミュータントたちの自由を奪い、逃げ場を失わせる檻として機能します。
セシリアの能力は、保護と支配の境界線を象徴するような存在であり、『ニュー・ミュータント』における対立構造を明確にしているものとなっています。
続編公開は中止がほぼ決定的な理由

映画『ニュー・ミュータント』は、元々3部作構想で作られていた作品となっており、続編についても企画がされていました。
しかしながら、これまで『X-MEN』の配給会社であった20世紀フォックスをウォルトディズニーカンパニーが買収したことにより、『X-MEN』シリーズはマーベルシネマティックユニバースに合流することとなりました。
そして、次作である『デッドプール&ウルヴァリン』は、MCUの34作品目として公開されたことや、映画『ニュー・ミュータント』が興行的に大失敗となってしまったことから今後続編が公開されることは、不可能に近いと考えられます。
もしも興行的に大成功していれば、『X-MEN』シリーズの他のキャラクターと合流する構想もあったのだと思います。
20世紀フォックスの『X-MEN」シリーズとしては、事実上最後の作品となってしまったことから、有終の美を飾りたかったところですが、先述したように興行的な失敗や作品の評価としても、米国の映画批評サイトである「Rotten Tomatoes」で10点満点中平均点が4.8点という低評価となっており、散々な結果に終わってしまいました。
『ニュー・ミュータント』のあらすじ

(以下、映画『ニュー・ミュータント』のあらすじです。)
『ニュー・ミュータント』のあらすじ|ミュータント隔離施設へと運ばれた少女ダニー
シャイアン族出身の少女ダニーは、激しい竜巻に巻き込まれ、父親を失います。
ダニーは、気を失っていたところをドクターセシリアと名乗る女性に救出され、ミュータントの隔離施設へと運ばれます。
セシリア曰くダニーには隠れた能力があり、ダニーと同じように自分の能力をコントロールすることが出来ない若いミュータントたちが4人施設で生活をしていました。
かつて神父によるひどい仕打ちを受けた過去を持つレインと親しくなったダニーでしたが、テレポーテーションできる能力を持つイリアナはダニーを敵対視します。
『ニュー・ミュータント』のあらすじ|過去のトラウマに悩まされるようになる若きミュータントたち
太陽のエネルギーを吸収する能力を持つロベルトは、その能力によって恋人を燃やしてしまった過去を持ち、ロケットのように移動することが出来るサムもかつてその能力が仇となり、父や仲間たちを失った過去を持つなど、それぞれが心に傷を抱えていました。
次第に施設に慣れていくダニーでしたが、ダニーが来てからというもの、他のメンバーはかつてのトラウマについての悪夢に悩まされるようになります。
実はダニーには、他人のトラウマを幻覚化させる能力があったのです。
『ニュー・ミュータント』のあらすじ|ミュータントを兵器として利用しようとするエセックスコーポレーション
イリアナのかつてのトラウマであるスマイリーメンという怪物がメンバーを襲うようになり、施設は混乱に陥ります。
能力が強大すぎて手に負えないと判断したセシリアは、ダニーを安楽死しようとしますが、間一髪でメンバーたちがダニーを救出します。
やがて、メンバーたちは施設内の資料からエセックスコーポレーションという運営会社が自分たちを生物兵器として利用しようとしていることを知ります。
セシリアに失望し、施設内を出ようとする5人でしたが、セシリアによって行く手を阻まれるのでした。
以上、映画『ニュー・ミュータント』のあらすじでした。
果たして、若きミュータントたちの運命は?
『ニュー・ミュータント』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)

(以下、映画『ニュー・ミュータント』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|若きミュータントたちを描いた全く新しいX-MENシリーズ
映画『ニュー・ミュータント』は、MAVELの人気コミック「X-MEN」シリーズの実写化シリーズの13作品目として2020年に公開されました。
しかしながら、従来のX-MENシリーズのキャラクターは登場しないシリーズの中では一際異質な作品となりました。
内容もこれまでのようなヒーロー映画とは違い、過去のトラウマに悩む若きミュータントたちが描かれた青春映画とホラー映画を混ぜ合わせた内容についても、これまでのヒーロー映画とは一線を画す内容となっています。
上映時間は約94分と、コンパクトになっており、展開も早く謎の事故によって父親を失ってしまったダニーという少女が、若きミュータントたち4人が暮らす隔離施設で生活することとなり、共同生活を送る中で自らの能力に目覚めていくという内容がテンポよく描かれていきます。
悩める若きミュータントたちが主人公ということでそれぞれに傷を抱え、敬遠し合いながらも、少しずつ友情を深めていく姿は80年代の青春映画『ブレックファスト・クラブ』や『セント・エルモス・ファイア』を彷彿とさせます。
若手キャストの中で特に印象深いのがNetflixドラマ『クイーンズ・ギャンビット』で一躍スターダムに上り詰めたアニャ・テイラー=ジョイです。
小悪魔的な魅力たっぷりのイリアナはアニャのイメージとぴったりでハマり役に仕上がっており、彼女のファンは必見です。
映画の終盤では、施設が実はエセックスコーポレーションのものでミュータントたちを生物兵器として利用しようと企んでいることが分かり、5人が団結してセシリアに立ち向かっていく姿が描かれます。
その中でダニエルの内側に潜むトラウマが具現化した巨大な熊デーモンベアが現れ、セシリアもろとも施設を破壊していきますが、ダニエルが過去を受け入れ、ベアをコントロールする事に成功、それぞれが過去のトラウマに打ち勝ち、施設から抜け出すことに成功するという続編を予感させるラストで締めくくられます。
しかしながら、公開から5年近くが経過する現在でも続編は公開しておらず、それぞれのキャラクターがヒーローとして成長していく過程を楽しみにしていたファンは残念で仕方がないと思います。
せっかく魅力的なキャラクターであるにも関わらず、上映時間がコンパクトなこともあり、主人公であるダニエルを筆頭にいまいちキャラクターの内面が描き切れていなかった点が惜しいです。
ホラー映画の要素はもう少し抑えて、青春映画に振り切って描いた方が良かったのではないかと感じます。
『ニュー・ミュータント』のみんなの口コミ評判レビュー
★★★★☆星4
『X-MEN』のスピンオフ的な立ち位置の作品。
世界から不遇を受ける異能モノでありながらも、青春のさなかに生きる若きミュータントたちの葛藤を描いている等身大の映画でもあります。
彼らは特別な人間で、自己中心的な大人に虐げられる存在でありながら、自分のささやかな失敗を大きく受け止めすぎてしまった感受性豊かな若者でもあります。
いちいち小さなところに共感できるので、「ああ、分かるなあ……」と思える映画でした。
若干トーンがシリアスな要素もあって、爽快で痛快な楽しいだけのエンターテイメントではないのですが、そこがまた私にちょうどよかったです。
はらはらしつつも、主人公がチート級に強いのでわりと、安心してみていられる。
こういう作品を見てから家に帰るまでって、自分だったらどういう能力がいいかなあと考えてしまいませんか?
30代女性
★★★★★星5
メインキャストの男女5人はミュータントで、エセックス・コーポレーションが主役のダニーを殺せというメールを送信してくるものの、X-MENシリーズでお馴染みのキャラクターは登場せず、X-MENを見ているというより、5人が善人面をした医師レイエスの元から逃れ、力を合わせて自分の人生を取り戻す、青春ホラー映画のように感じました。
5人それぞれ個性的で魅力的なキャラクターで、自分の能力と過去の罪に苦悩する姿も絵になり、一筋縄ではいかない戦闘シーンにハラハラしながら惹きつけられました。
ダニーの能力が人に幻覚を見せてしまうもので、自身も幻覚の熊と闘いながら、能力をコントロールする力を目覚めさせていく展開が丁寧に描かれ、ラストまで飽きることなく楽しめる作品でした。
50代女性
★★★☆☆星3
公開当時に言われていたほど悪い作品ではない、というのが正直な感想でした。
製作は2017年ながら、ディズニーによるFOX買収やスケジュール問題で公開が大きく遅れ、結果的に低評価と興行不振のイメージが先行してしまった不運な一本でもあるように思います。
物語は、能力を制御できない若いミュータントたちが秘密施設に隔離され、治療と称した管理下で自分の過去や恐怖と向き合わされるというサスペンス寄りの構成。
派手なX-MENらしいアクションは控えめで、能力が曖昧なキャラも多く、終盤のカタルシスも弱い気がします。
ただし、ダニーとラーネの関係性や、イリアナを演じるアニャ・テイラー=ジョイの存在感は印象的でした。大作シリーズを期待すると肩透かしだが、閉鎖空間の青春×ホラーとして見れば、意外と可能性を感じさせる作品だったように思います。
30代男性
*映画『ニュー・ミュータント』のみんなの口コミ評判レビューは当サイトが独自で集めたコンテンツです。引用の際は必ず引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。








