『第9地区』がひどい理由3つ。ヴィカスその後,クリストファーの3年の意味,続編を考察。

2010年4月10日、日本公開の映画『第9地区』。
ドキュメンタリー手法を取り入れた独自の映像表現と、エイリアン難民という社会的テーマを融合させた作品として世界的な評価を得ました。
アカデミー賞4部門にノミネートされるなど批評面でも高く評価されています。
低予算ながら、リアルな社会問題や人種差別、排外主義を示唆するテーマ性のある映画です。
後半の緊迫したアクションも見どころで、他のエイリアン映画とは一線を画す異色なSF作品です。
目次
『第9地区』がひどい理由3つ

映画『第9地区』は、2009年に公開されると、低予算ながら興行収入が2億ドルをこえる大ヒット作品となり、大きな話題を集めました。
作品の評価について好意的な意見が多く、アカデミー賞で4部門にノミネートされるなど、興行的にも評価的にも大きな成功を収めた作品となりました。
しかしながら、一部では作品の内容について「ひどい」という感想を持つ方も見受けられました。
なぜ、「ひどい」という感想を持つ方がいるのか、その理由は3つあると考察されます。
管理人
ひどい理由①グロテスクな映像
映画『第9地区』が「ひどい」と言われる理由は、そのグロテスクな映像にあると考えられます。
通称エビと言われる難民と化した大量のエイリアンが登場します。
このエイリアンのルックスがあまりにもグロテスクで苦手意識を持つ方が多く、「ひどい」という感想に繋がったと考察できます。
また、エイリアンと人間たちが争い、攻撃によって肉塊が飛ぶシーンやエイリアンの遺体が解剖されるシーン、主人公のヴィクターが宇宙船の燃料となる液体を浴びたことからエイリアンに変化していくシーンでは、指が抜けたり歯が抜けたりとショッキングな映像が展開されます。
悪趣味とも言えるグロテスクな映像が満載であるため、グロテスクな映像に耐性が無いという方は注意して鑑賞した方が良いと思います。
管理人
ひどい理由②ヴィカスの宇宙人に対する態度
映画『第9地区』が「ひどい」と言われる理由は、主人公であるヴィカスに原因があるとも考えられます。
超国家機関MNUの現場監督者に抜擢され、エリートコースにいたヴィカス。
前半こそエイリアンたちに対して横柄な態度をとっていましたが、特殊な液体を浴びたことでエイリアンに変化していくようになってからは、クリストファーを頼り、冷静な対応が出来ないキャラクターとして描かれています。
そんなヘタレなヴィカスについて共感が出来ないという方が多くおり、「ひどい」という感想に繋がったと考察できます。
しかしながら、現実世界で同じような事態が起きた場合、誰しも冷静な行動はとれないと思いますので、ヘタレなヴィカスに対して大目に見てあげても良いのではないでしょうか。
管理人
ひどい理由③重苦しい展開
映画『第9地区』が「ひどい」と言われる理由は、重苦しい展開にも原因があります。
人種隔離政策であるアパルトヘイト政策が大きくそのストーリーに反映されており、移民問題など重苦しいメッセージが込められた作品です。
作品の内容も、最終的にヴィカスがエイリアンに完全に変化してしまい、クリストファーが地球に帰ってくるのを待つという複雑な結末です。
その重苦しい展開に息苦しさを感じる方がおり、「ひどい」という感想に繋がったと考察できます。
観ていて心が晴れやかになるような万人受けする作品では決してありませんので、精神的に余裕がないという方は鑑賞する際は注意が必要です。
管理人
ヴィカスのその後やクリストファーの3年の意味を解説考察

エイリアンになってしまったヴィカスのその後は?
宇宙船の燃料となる特殊な液体を浴びてしまったことにより、エイリアンに変化してしまうことになった主人公のヴィカス。
劇中では彼が人間から徐々にエイリアンに変化していく過程がグロテスクに描かれていましたが、その後ヴィカスはどうなってしまったのでしょうか?
結論から言うと、ヴィカスは完全にエイリアンになってしまいました。
ラストで、妻タニアのために造花をせっせと造っていたのは、説明こそなかったものの完全にエイリアンになってしまったヴィカスだったと考えられます。
エイリアンになってしまったヴィカスは、地球に戻ってくると約束したクリストファーの言葉を信じて第10地区で彼の帰りをひたすらに待つ日々を過ごしているのではないでしょうか。
3年後に戻ってくる?仲間を救うことが先決と判断したクリストファー
MNUに押収された宇宙船燃料を回収し、自分たちの惑星へ戻ろうとするエイリアンのクリストファー・ジョンソン。
無事に燃料を回収し、指令機を動かそうとした際にヴィカスから自分を正常な状態に戻すのはどれくらいかかると質問され、3年と答えます。
思わぬ答えにヴィカスは発狂してしまいますが、この3年にはどういった意味が込められていたのでしょうか?
結論から言うと、明確な理由があって、クリストファーは3年と答えたわけではないと考えられます。
宇宙人であるクリストファーは、仲間の宇宙人と救うことが先決であると判断しており、仲間たちを救ってから再び地球に戻ってくるのは早くともそれくらいはかかると予測し、おおよその期間想定で3年と答えたと考えられます。
クリストファーは、他のエイリアンと比べて非常に知能が高く、倫理観も持ち合わせていることから仲間たちを救った後に必ず地球に戻ってヴィカスを救うと考えられます。
管理人
続編『第10地区』はいつ公開?公開中止なのか

2009年に公開された映画『第9地区』は、興行的に大きな成功を収めたこともあり、すぐに続編について期待が集まることとなりました。
監督を務めたニール・ブロムカンプは、2013年のインタビューで続編の大枠があることを語り、その後の2017年にも制作に前向きな様子を語っていました。
そこから続編について進展はありませんでしたが、4年後の2021年には続編である『District10(日本語訳で第10地区)』について脚本の執筆にとりかかっていると明かし、ファンを喜ばせました。
しかしながら、その後は続編について音沙汰はなく、2023年に公開された日本の人気レーシングゲームを題材にした監督作『グランツーリスモ』での取材の際に、ニール監督は「続編については制作されるかどうか分からない」と語り、製作したいタイミングにもないとコメントを残しました。
続編を期待しているファンからすると、かなりがっかりしてしまう状況にあります。
しかし、将来どこかのタイミングで製作されるかもしれないと期待を残すコメントもしていますので、のんびりと待ちましょう。
クリストファーを待つヴィカスはどうなってしまったのか?
また、クリストファーはヴィカスの約束を守り地球に戻って来たのか?
続編で彼らのその後が明らかになることを期待したいです。
管理人
『第9地区』のあらすじ

(以下、映画『第9地区』のあらすじです。)
『第9地区』のあらすじ|難民と化したエイリアンたちの移住政策
突如として地球上空に現れた巨大な宇宙船。
内部には宇宙船が壊れたことによって、身動きが取れなくなってしまった無数のエイリアンが取り残されていました。
人類はエイリアンたちを保護することを決め、難民となってしまったエイリアンを第9地区という地域に隔離することとなりました。
それから30年近い月日が経ち、エイリアンたちは近隣住民から通称エビと罵られ、忌み嫌われるようになっていました。
そして、数が増えすぎたために第10地区という地域に移住させることが決定しました。
エイリアンを管理する組織MNUの職員ヴィカスは立ち退きの責任者という重要なポストを命じられ、気合十分で第9地区へと向かいます。
『第9地区』のあらすじ|エイリアンに変貌を遂げていく主人公のヴィカス
順調に業務に励んでいたヴィカス。
しかし、クリストファーというエイリアンの家を訪ねた際に謎の液体を浴びてしまったことにより、体調を崩し、一旦第9地区を後にします。
帰宅したヴィカスは妻や友人たちから昇進のお祝いをされます。
ところが、ヴィカスの身体はエイリアンにどんどんと変化しており、倒れてしまった末、病院に運ばれてしまいます。
エイリアンへの変身過程にあるヴィカスの身体を見て、政府は彼を人体実験に利用しようと考えます。
政府の狙いを知ったヴィカスは病院を脱走し、再び第9地区へと向かいます。
政府はヴィカスを指名手配し、彼がエイリアンと性交渉を行ったために感染したというデマを流し、妻からも失望されてしまうのでした。
『第9地区』のあらすじ|クリストファーに協力するヴィカス
クリストファーの元を訪れたヴィカス。
浴びた謎の液体が実は宇宙船の燃料で、高い知能を有するクリストファーが故郷に帰ることを計画していることを知ります。
MNUに押収された液体があれば元の身体に戻れると聞かされたヴィカスは、危険を顧みずにクリストファーと共にMNUに潜入、なんとか液体を取り戻します。
第9地区に戻ったヴィカスは身体を戻してもらおうとします。
しかし、たくさんのエイリアンが実験に利用されていることを知ったクリストファーは仲間たちを救うことが優先と考え、ヴィカスに3年待ってほしいと伝えます。
逆上したヴィカスは宇宙船に乗り込もうと司令船を奪いますが、政府軍によって船を撃ち落とされ、絶体絶命の危機に陥るのでした。
以上、映画『第9地区』のあらすじでした。
『第9地区』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)

(以下、映画『第9地区』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|ドキュメンタリータッチで描かれる難民と化したエイリアンを描いた大ヒット作
映画『第9地区』は、宇宙船の故障で地球に不時着し、難民となってしまった宇宙人が隔離される第9地区を舞台に主人公ヴィカスの悲劇を描いたSF作品です。
低予算ながら移民問題を宇宙人に置き換えた秀逸なストーリー展開やドキュメンタリータッチな映像などが評判を呼びました。
公開当時、異例の大ヒットを記録した作品として話題を集めました。
管理人
そんな映画『第9地区』で、まず観客に大きなインパクトを与えるのが、通称エビと呼ばれるエイリアンたちのルックスです。
エビと呼ばれるのが頷けるグロテスクなルックスは、初見だとかなり衝撃を受けると思います。
しかしながら、観ていくうちに慣れていき、最終的には頭脳明晰なエイリアン・クリストファーとその息子の親子愛に愛おしさすら感じてしまうことになるから不思議です。
地球に不時着し、難民となってしまったエイリアンが年々増加していることが社会問題になっており、現在の第9地区から第10地区への立ち退き政策が行われることとなり、主人公であるヴィカスが責任者に抜擢されるところから作品は大きく展開していきます。
前述したようにドキュメンタリータッチな映像になっていることから、リアリティがあり、観客をその世界観に惹き込むのが非常に上手だと感じます。
重要なポストを命じられ、家族や同僚たちから祝福されるヴィカスですが、立ち退き業務に励んでいる際にクリストファーが秘密裏に作っていた宇宙船の燃料を浴びてしまったことから、エイリアンに変貌を遂げていく悲劇を味わうこととなってしまい、前半とのギャップによって、よりヴィカスの悲しみを際立たせています。
元の身体に戻るために指名手配となってしまったヴィカスがクリストファーと手を組み、政府の軍と戦うこととなりますが、本格的なアクションシーンが展開され、観客を飽きさせない内容はさすがの一言です。
ラストでは、仲間たちを救うことが先決であると考えたクリストファーたちが故郷の星へ帰っていくのをヴィカスが見送り、3年後に地球へ戻ってくるという約束を信じて完璧にエイリアンになってしまったヴィカスらしき人物が映され、締めくくられます。
上映時間約2時間があっという間の無駄の無い内容に仕上がっており、大ヒットをしたのも納得の作品います。
前述したようにエイリアンはかなりグロテスクですし、残酷な描写もあるため観る人を選ぶ作品ではありますが、SFやホラーが好きな方は必見です。
『第9地区』のみんなの口コミ評判レビュー
★★★★☆星4
まず、この映画のテーマなので仕方のないことですが、エイリアンの姿が気持ち悪いです。
色と触覚的にゴキブリにしか見えず、何度か目をそらす場面もありました。
ただ、逆に思えば、そうやって序盤でエイリアンに対して「気持ち悪い」「野蛮なエイリアン」などと嫌悪感を抱かせながら、主人公がエイリアンになり、さまざまな惨い実験をされるところで、私たち観客に「人間はなんてことをするんだ」と人間に対して嫌悪感を抱かせるところはなんとも言えない気持ちになりました。
あんなに気持ち悪いと思っていたエイリアンたちに同情をして、同じ人間に対して一瞬強い怒りを覚えるなんて…と自分を恥ずかしく思うと同時に、こうして人種差別が起こるんだろうなと考えさせらます。
次に、人間側に「いい人」がいません。全員に「ん?」となります。
おそらく、人間の醜い部分だとか差別的な部分を中心に撮っているので、共感できる人間がいません。
たとえば、主人公がエイリアンに助けられ、協力関係になったにもかかわらず裏切ろうとするところとか、主人公は生きているにもかかわらず、エイリアンになったと知ったとき主人公の義父が「息子は死んだ」と切り捨てたところとか、とにかく誰にも共感ができないまま終わります。
全体を通して、この映画を観ていると、エイリアンに感情移入をしてしまうというか、エイリアンを味方してしまう作りになっていて、改めて、人間のあり方とか差別について深く考えるべき映画だと思いました。
20代女性
★★★★☆星4
映画『第9地区』はアメリカのハリウッド製作の特撮映画としては異例の低予算で撮影された事でも著名です。
メインの出演者の大半もギャラの低い俳優で占められ、キャストに拘る層には少し物足りないかも知れません。
しかし、内容は舞台そのものが南アフリカに設定されている事から想起されるように、現実の同国で悪名高かった人種隔離政策であるアパルトヘイトを下敷き・モチーフに、地球を訪れた宇宙人が侵略者としてではなく非差別者として描かれている、ある種の社会派・社会風刺作品とも言うべき秀作だと感じます。
そうしたバックボーンから多くの映画賞にノミネートされ、その中の一部で受賞を果たすなど映画通好みの渋い作風で今見ても満足感を得られる脚本だと評価したいです。
50代男性
★★★★☆星4
地球にエイリアンが襲来!
と、なんだか様子がおかしい中、特殊部隊が宇宙船内に突入すると、エイリアンたちは瀕死な状態~という、あららな展開。
ここまで見て正直「駄作かも?」と思ったが、その後は難民扱いされたエイリアンが収容された「第9地区」の治安が悪化し、新しい「第10地区」に強制移住させられる段になって、そこに関わる人間の欲望の闇が展開されて、人間が「エビ」と蔑むエイリアンたちが逆に可哀想になってきてしまった。
どんどん人間側のモラルが崩壊していくさまは、今現在の世界情勢と被るし、主人公やその義父らの間抜けさが、本当に世界各国のリーダーたちのようで、十数年前に流行った「モキュメンタリー(フィクションをドキュメンタリー風に撮影)」が上手くハマった作品と言える。
40代男性
★★★★☆星4
妙にリアリティのあるSFフェイクドキュメンタリー。
最初に言っておくと、インディペンデンス・デイの様に地球を守るためエイリアンの船に特攻すると言ったような見せ場はなく、ただの一般男性がただただ状況が悪い方へ転落する様を観る映画である。
冒頭はドキュメンタリー方式で映画が進んでいくが、セットや特殊メイク、演出の質が高く、本当に起こっているかのような錯覚を覚え、かなり引き込まれる。
ただし、主人公のキャラクターについて、良く言えば明るくフランク、悪く言えば軽い。言動や行動が軽率で好き嫌いが分かれる。
多くの製造業では知識、知見がない機材に安易に触るのはご法度で、労災が起こる典型的な事例ともいえる為、安全の在り方を考える良いきっかけになるかもしれない。
また、映画自体も綺麗に完結しない。
主人公が助かるわけでもなく、エイリアン達が全て地球を去るわけでもなく、全て中途半端な状況で終わる為、観た後はすっきりしない。
しかし、この映画の本質は、異なる人種が共存することというのは本当に難しいというメッセージ性にあると思う。
政府は支援の話しを進めるが、文化や生活様式の違いによって元々現地に住んでる人には不安や誤解、ストレスや疑念が蓄積。
何かのきっかけで暴発して大規模な衝突が起こるといった明日にでも自分の身の回りで起こりそうなもしもが生々しく描写されている。
これと言った解決策があるわけでもなく、手垢まみれの綺麗ごとで済ませるわけでもなく、ただただ終わりのない問題が残ったまま時間だけが前に進んでいくと言うのが現代風刺の様で良かった。
30代男性
★★★★☆星4
発表当時、SFとして新たな扉を開き、人間が他の星に移住するのではなく地球に異星人の難民が訪れてスラムを作ってしまうという部分が斬新でした。
ドキュメンタリータッチで描かれているからか、リアリスティックな描写のち密さは驚くほどです。
アパルトヘイト政策を風刺していると後から聞いて、納得したのを覚えています。
それぞれの欲望や思惑に応じて、ただの一般市民であったはずのヴィカスに起こった変化は、実際にありそうと思わせるだけの説得力があります。
あの燃料は何を使用していたのか、彼が結局どうなってしまうのかなど、余韻を残す形にしているところが返って面白いです。
続編があるとは聞いていましたが、却ってない方が重みを感じられるのではないかと思いました。
ギャングやMNUとのバトルなどエンターテイメントとしての楽しさを残しつつ、人間の存在や約束とは何なのか、見終わってから考えさせられる作品です。
50代女性
*映画『第9地区』のみんなの口コミ評判レビューは当サイトが独自で集めたコンテンツです。引用の際は必ず引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。







