映画『いなくなれ、群青』が意味がわからないと言われる理由3つ!魔女の正体や原作解説【あらすじとネタバレ含む感想評価】

2019年9月6日公開の映画『いなくなれ、群青』。
原作は全6巻からなる「階段島シリーズ」の第1巻『いなくなれ、群青』であり、主演は横浜流星と飯豊まりえが務めました。
捨てられた人間が辿り着くという謎の島・階段島を舞台に、島で生活することになった高校生が島の謎に迫っていく姿を描いた青春ミステリー作品です。
目次
意味がわからないと言われる理由を解説考察
河野裕さんによる同名小説を横浜流星さん主演で実写映画化した『いなくなれ、群青』。
美しい映像や詩的なセリフなど独特の世界観で評価を受けました。
が、一方で内容について「意味がわからなかった」「何の話だったのか分からない」という声も多く見られます。
そこで、特に「意味が分からない」という意見が多かったポイントを3つに分けて整理してみたいと思います。
管理人
意味がわからない理由①説明のないまま
映画『いなくなれ、群青』の冒頭では、なぜ主人公・七草が階段島に来たのかといった背景が一切語られないまま、物語が進行していきます。
また、魔女と呼ばれる存在や島のルールなども、直接的な説明はほとんどなく、セリフや雰囲気で観客が推測しなければならない構成です。
物語の核心であるはずの「この島とは何か」「登場人物たちは何を抱えているのか」といった情報が、映画の最後まで明かされることなく終わるため、意味がわからないと感じてしまう要因となっています。
意味がわからない理由②心理描写や関係性が抽象的すぎる
『いなくなれ、群青』では登場人物たちの感情や動機が、はっきりと言語化されることはあまりありません。
特に主人公・七草や真辺由宇のやりとりは抽象的な言葉や比喩が多く、彼らが何を考えて行動しているのかが掴みにくい構成になっています。
そのため、登場人物同士の関係性や感情の変化に共感しにくく、「結局このふたりはどういう関係だったの?」「何を乗り越えたの?」と疑問が残ってしまいました。
意味がわからない理由③原作未読では理解が追いつかない
映画『いなくなれ、群青』は、原作小説の第1巻だけを元に制作されています。
原作では登場人物の背景や島の成り立ち、世界観について丁寧に描写されていますが、映画では時間の制約もあり、そうした情報の多くが省略されています。
そのため、原作を読んでいない観客にとっては「説明不足」と感じる部分が多く、世界観や登場人物の感情をうまく理解できないまま終わってしまい、意味がわからないという声が見られます。
原作『いなくなれ、群青』は小説「階段島シリーズ」全6巻の第1作目
『いなくなれ、群青』は、河野裕による青春ミステリー小説であり、「階段島シリーズ」全6巻の第1作目です。
混同されがちですが、『いなくなれ、群青』はシリーズ全体のタイトルではありません。
シリーズの総称は「階段島シリーズ」であり、『いなくなれ、群青』はその1作品目なる作品です。
映画化もされたため、第1巻のタイトルがシリーズ名として誤解されることがありますが、正確には以下の全6巻構成で1つのシリーズとなっています。
階段島シリーズ 全6巻
- いなくなれ、群青
- その白さえ嘘だとしても
- きみの世界に青が鳴る
- この空の上で、いつまでも君を待っている
- 君と時計と嘘の塔
- さよならの言い方なんて知らない。
映画は原作第1巻のみを映像化した作品
上記で説明したように映画『いなくなれ、群青』は、原作第1巻のみを映像化した作品です。
ですのでシリーズ全体の結末までは描かれておらず、「階段島とは何か」「魔女の正体」など、根本的な謎はまだ断片的にしか語られていません。
魔女の正体は自分から生まれた存在だった
階段島の秩序を支配するとされる「魔女」は、作中で姿を現さない謎の存在です。
物語を読み進めるうちに、徐々に姿を現す魔女という存在。
階段島を支配しているとされるこの魔女について、原作では明確に正体が語られることはありません。
しかし、登場人物たちのやりとりや終盤の展開から、ある程度の理解にたどり着くことができます。
魔女とは、誰か外部の人物ではなく実は主人公・七草がかつて、自分の中にある「消してしまいたい思い」や「見ないふりをしてきた感情」を切り離した結果、生まれた存在だったのです。
管理人
つまり魔女は、七草自身の一部であり、もうひとりの自分。
七草が無意識に排除してきた側面が、島という場所の仕組みの中で魔女として形を成していたのです。
原作最終巻では七草と真辺は島を出ると決断する
シリーズ最終巻『さよならの言い方なんて知らない。』では、ついに階段島の本当の役割が明らかになり、七草と真辺は外の世界へ戻る決断をします。
階段島とは何だったのか
これまで「社会から不要とされた人間が送り込まれる場所」とされていた階段島。
しかしその実態は、人が自分の中で捨てたいと願った感情や記憶を切り離し、その結果として自らやってくる場所であることが明かされます。
この島は、他人に選ばれて閉じ込められた場所ではなく、自らの意思で逃げてきた場所だったのです。
七草もまた、自分を否定し、過去を手放したくてこの島に辿り着いたひとりでした。
島に残るか、外に戻るか
最終巻で、七草と真辺はついに決断を下します。
否定し続けてきた自分自身を受け入れ、向き合い、そして島を出ることを自分たちの意志で選ぶのです。
魔女との最後の対話を経て、七草は「もう自分を捨てない」と静かに心を定め階段島を離れていくラストとなっています。
『いなくなれ、群青』のあらすじ
(以下、映画『いなくなれ、群青』のあらすじです。)
『いなくなれ、群青』のあらすじ|謎の島・階段島
高校生の七草は目覚めると、階段島という謎の島におり、どうやって島まで辿り着いたのか思い出すことが出来ずにいました。
島には捨てられた人々が集まっているようで、住民も誰一人どうやって島まで辿り着いたのか分からないままでしたが、唯一魔女だけは島の謎を知っていると言い伝えられていました。
島にある学校に通うこととなった七草は、クラスメイトである佐々岡、水口、堀と親しくなり、平和な日常を過ごしていましたが、かつての同級生である真辺が転校して来たことから生活は一変していきます。
他の住民とは違い、島から出ることを熱望している真辺に対して、七草は仕方なく協力することになります。
『いなくなれ、群青』のあらすじ|島から出るために秘密を探る真辺と七草
無くしたものを島で見つけることができればと島から出れると考え、島の紛失物係の時任のもとを訪れた真辺と七草は、時任から魔女に手紙を出すことを勧められるのでした。
そんな中、島ではスプレーで魔女に関する意味深な落書きが発見されるようになり、魔女のことをよく知る落書きの犯人を真辺たちは探し始めます。
学校での音楽祭が近付き、バイオリンを演奏するはずだった豊川は弦が切れてしまったことから出演を辞退しようとしますが、佐々岡が魔女に手紙を出したことによって弦を手に入れることができ、弦を届けることが出来ました。
しかし、実は豊川は以前元の世界で演奏を失敗したことによるトラウマを抱えており、自ら弦を切っていたことを打ち明けます。
そんな状況の中、もっと周りに気を使うべきだと忠告を受けていた真辺が豊川の演奏をサポートし、見事完奏することが出来ました。
『いなくなれ、群青』のあらすじ|実は島の秘密を知っていた七草
音楽祭が終わった夜、豊川は島から突如として消えてしまい、彼女がなくしたものを見つけたとみんなは考えるのでした。
一方、七草は実は島の人々が元の世界で捨てられた感情たちが魔女によって人格化された存在であるという島の秘密が分かり、灯台にある電話を利用して魔女に秘密を島民にバラされたくなければ真辺を元の世界に戻せと交渉を持ち掛けます。
実はスプレーで落書きしていた犯人も七草であり、島の秘密のヒントを島民に出していたのでした。
果たして、交渉はまとまり、真辺は元の世界に戻ることが出来るのでしょうか?
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
映画『いなくなれ、群青』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画『いなくなれ、群青』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|河野裕の同名人気小説を旬の若手キャストで実写映画化した青春ファンタジー作品
映画『いなくなれ、群青』は、記憶を失い、階段島という島で生活することになった高校生が島の謎に迫っていく姿を描いた青春ミステリー作品となっています。
横浜流星さん、飯豊まりえさんら2019年公開当時、人気の若手キャストが集まったことでも話題を集めました。
記憶を失ったまま、島で生活をしていた主人公・七草ですが、中学時代の同級生である真辺が転校してきたことから平和な日常が一変していき、島にいることを疑問に思い、島から脱出しようと試みていく真辺の姿に七草だけでなく、他のクラスメイトも翻弄されていきます。
まず、目を奪われるのはその映像の美しさです。
静岡県の南伊豆島で撮影されたという映像はとても美しく、青々とした風景は、映画『いなくなれ、群青』に登場する少年少女たちの姿とリンクしているようにも見えます。
そんな美しい風景で彩られた階段島は、捨てられた人々が集まるとされており、なくしたものを見つけなければ島を出ることは出来ず、島の外と連絡する手段は手紙しかないという興味深い設定になっており、この島にどんな秘密が隠されているのかと観客はその世界観に惹き込まれていきます。
原作が河野裕さんによる同名人気小説ということもあり、登場人物たちのセリフがどこか詩的で文学作品を呼んでいるような気持ちになります。
七草が憧れだった真辺の存在を観測史上一番明るいとされていた恒星ピストルスターに例えるなどロマンティックなセリフの数々を堪能できるのも、映画『いなくなれ、群青』の魅力ではないでしょうか。
やがて、島の住民が実は現実世界で人々が捨てた気持ちや感情が魔女によって人格化された存在であるということが明らかになっていきます。
島の住民が10代の少年少女が中心だったのは、大人になり、社会に順応していく上で捨てられていった感情が人格化されていたからであり、階段島という名前に関しても、大人の階段を登る上での通過儀礼であることを意味していたことが分かります。
真辺のことを思い、彼女を支えることが出来るように悲観主義な自分を捨てていた七草が真辺を島から出すように魔女に交渉するのですが、真辺が島でなくしてしまったのは七草であり、島に再び戻って来た真辺が七草と手を握り、二人でこの後、現実世界へ戻ることが示唆されるような前向きなラストで映画は終わりを迎えます。
少年や少女が大人になっていく上で抱えていく葛藤を、美しい映像と詩的なセリフで綴ったファンタジックな青春映画となっていますので、普通の青春映画に飽きたという方にぜひオススメしたい作品です。
『いなくなれ、群青』のみんなの口コミ評判レビュー
★★★★★星5
原作を読まずに映画を見て、何回か見ても、ストーリーは理解しきれないところがあり、色々な解釈もできると思うのですが、映像の気持ちよさもあり、透明感があって、友達に勧めたくなる作品です。
主演のふたりが横浜流星さん、飯豊まりえさん、共演に矢作穂香さん他、演技が見やすく、存在感はあるのに、うるさくない役者さんがそろっていて、現実のような、おとぎ話のような世界を、違和感なく見せてくれます。
階段島、魔女、失くしもの探し、いらない人格等々、ファンタジーのような要素を通して、自分自身やコミュニケーションについて、押しつけがましくなく、考えさせてくれます。
横浜さん演じる七草と、飯豊さん演じる真辺の、ただ「好き」という感情だけでつながっている訳ではない設定も魅力的で、穏やかなのに、光るものが全編に散りばめられている、凝った青春映画だと思います。
50代女性
★★★☆☆星3
割と分類の難しい映画です。
ミステリー作品なのかファンタジー作品なのか、恋愛映画なのかと言ったところで「定義による」という感じになってしまう為です。
上記したジャンルの要素を所々感じさせる作品と言った所でしょうか。
スマホ一つで割となんでも出来てしまう現代において、かなり縛りのある「階段島」という設定が良く出来てるなと思ったり。
島のお陰で摩訶不思議な設定も自然と受け入れられます。
ややネタバレになりますが、青い恋愛模様も大人になる段階で捨ててしまったことの一つと考えるとなかなか切ない話です。
島の美しい情景が階段島の真相をふんだんに活かしているので、この点は映像作品でしか出せない良さであるなと思いました。
40代男性
★★★★☆星4
子どもが原作を読んでいて、面白いといっていました。
私も子どもも横浜流星が好きなので、一緒に見ました。
すごく、不思議な映画でした。
若い子が好みそうな内容でした。
物語の設定やストーリーはとても面白いですが、リアリティがないので、いろいろ深く考えずにそこに入り込める人しか楽しめないと思います。
島の情景、ミュージックなど、映画を構成するすべてに美を感じました。
俳優陣の演技はもちろん、スタッフ一丸となって作り上げたのだろういうことが伝わってくる映画でした。
若者たちが失ったもの、探しているもの、そういったものに焦点を当てて作られた映画だと思いますが、若者に限らず、大人でも考えさせられる部分がある映画でした。
40代女性
★★★★☆星4
横浜流星くん目当てで見ました。
若い頃より骨太になってきたなー!主演やるんだたまには見るか、って始まりでした。
私は原作未読で流星くん以外は情報なく見始めたので最初は思ったより重いなあサスペンスとかになるのかなと思いましたが、強いメッセージを持つ現代人に向けての映画だったと思います。
若い頃は私も強く入れましたが今はなあ…ラストもチグハグにならずあの選択をしてくれて私は満足です。
前記しましたがサスペンスのようなことはなく全体的にもやーっとした中で話が進むので物足りない人には足りないかと思います。
大人数で見るよりは1人か2人かなあ。
あと考えすぎちゃう人には向いてないかもです。
40代女性
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