『17歳のカルテ』考察解説|骨がないの意味やリサのその後とは?あらすじネタバレや感想評価も
2000年9月2日、日本公開の映画『17歳のカルテ』。
『天使にラブ・ソングを…』などで有名なウーピー・ゴールドバーグや当時若手女優だったウィノナ・ライダーやアンジェリーナ・ジョリーなど多くの有名キャストも登場しています。
精神病棟を舞台にした作品ということで『カッコーの巣の上で』と比較されることが多い作品です。
- 考察解説|骨がないの意味とは?リサのその後についても
- 『17歳のカルテ』のあらすじ
- 『17歳のカルテ』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
もし、まだあなたが一度も映画『17歳のカルテ』を観ていないなら、まずはネタバレとあらすじ・感想評判の前に作品を観ておくことをおすすめします。
U-NEXTなら、初回付与ポイントを使って新作品も実質無料で観ることができますよ!
見放題作品もあり、おすすめです!
▼今なら見放題作品かも!映画『17歳のカルテ』の配信チェックはコチラ▼
考察解説|骨がないの意味とは?リサのその後についても
骨がないの意味とは?
映画の冒頭でアスピリンとアルコールを大量に摂取し、病院に担ぎ込まれたウィノナ・ライダー演じるスザンナはカウンセラーに「手に骨がない」と訴え、カウンセラーの「では、どうやってアスピリンを飲んだのか?」との問いに対して、「その時だけ骨が戻る」という支離滅裂な回答をします。
いきなりショッキングなシーンから始まったため、衝撃を受けた方も多かったと思います。
このスザンナが訴えた「骨がない」とは、一体どういった意味だったのでしょうか?考察していきます。
管理人
アスピリンとアルコールによる幻覚
1つ目の考察としては、アスピリンとアルコールの大量摂取によりスザンナが幻覚を見ていたことを意味していると考えられます。
解熱鎮痛剤として知られるアスピリンですが、その薬をアルコールとともに大量摂取したということで薬物中毒となり、精神に異常をきたして幻覚を見たと考えられます。
精神的に不安定となり、社会に溶け込むことができずに現実から逃避するため、このような行為に及んだのだと思いますが、その様子は非常に痛々しく、両親が彼女を精神病院に入院することを許可したことも肯けます。
自分自身をコントロールすることができない
2つ目の考察としては、自分自身をコントロールすることができないことを意味していると考えられます。
骨がなく自由自在に身体を動かせないということは、スザンナが自分自身の感情に左右され、身体をコントロールすることが出来ない状態となっており、精神的な不安障害を抱えていることが考察できます。
映画『17歳のカルテ』はそんな彼女が精神病院での体験によって、自分自身を取り戻していく過程が描かれています。
リサのその後はどうなった?病名についても解説考察
映画の中でスザンナと対立構造にあるキャラクターとして登場するのが、アンジェリーナ・ジョリー演じるリサです。
リサは、病院内で問題行動を繰り返し、その攻撃性によって周りの患者をコントロールし、退院したデイジーに対しても、ひどい言葉を浴びせかけました。
そんなリサの病名とは一体何だったのでしょうか?また、リサのその後はどうなったのでしょうか?
管理人
リサの病名
リサの病名については、映画で明らかになっていませんでしたが、反社会性パーソナリティー障害である可能性が高いと言われています。
反社会性パーソナリティー障害の患者は、人を傷つけたり不快感を与えることについて、一切の罪悪感を持っておらず、デイジーが自殺したことについて一切悪びれることがなかったリサの態度に大きくあてはまります。
なぜリサが反社会性パーソナリティー障害を患ってしまったのかについては、原作でも明らかになっていませんでしたが、リサの両親は彼女を病院に入れたきり一度も面会に来なかったようです。
また、リサには兄がいたようで、彼女は兄のベルトをいつも大事に使用していたようです。
もしかすると兄とは友好的な関係であったが、両親には見放されており、勘当されたも同然の関係だったのかもしれません。
リサのその後
リサの気になるその後については、映画でも原作でも描かれてはいません。
スザンナは映画のラストで、病院に入院した患者の大半が70年代には退院し、再会した人間もいたと語っていましたが、リサはスザンナと再会することを約束していたので更生し、スザンナと再会が出来たのかもしれません。
デイジーはなぜ死を選んだのか?
映画の中でスザンナより一足先に精神病院から退院したデイジー。
彼女は退院後に飲食店を営む父親が用意したアパートに住んでいましたが、出所後に現れたリサによって自傷行為の跡を見られてしまい、摂食障害や自傷行為から回復していないことを攻撃的に罵倒されてしまいます。
その結果、翌朝に首を吊って亡くなっているのをスザンナによって発見されますが、デイジーはなぜ命を落とすことをしてしまったのでしょうか?
管理人
父親から逃されることが出来ず、絶望した
デイジーは父親からの性的虐待によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、その結果摂食障害や自傷行為を行うようになっていたと思いますが、精神病院に入院していたことによって、父親から離れ少しずつ回復しており、その結果退院が許されたわけですが、再び父親の監視下におかれ、性的な虐待を受けるようになったことにより、自傷行為を再開したと考えられます。
リサはデイジーが父親からの性的な行為を喜んでいると罵倒していましたが、図星な部分もあり、傷付きながらも父親を拒否することが出来ませんでした。
リサによって、逃避していた真実を突き付けられた結果、父親からこの先も逃れることは決してできないと絶望し、死に至ったと考えられます。
デイジーが亡くなる前に聴いていた楽曲
ちなみにデイジーが亡くなる前に聴いていたのは、スキーター・デイヴィスによる60年代初頭のヒット曲「この世の果てまで」です。
この曲の作詞者であるシルビア・ディーは、スキーターが父親を亡くした経験をイメージして歌詞を書いたそうですが、その曲を父親にずっと苦しめられたデイジーが鑑賞しながら死に至るというのは、とても残酷に感じます。
現題は“the end of the world”、直訳すると「この世の終わり」となり、追い詰められていたデイジーにとっては、寄り添ってくれるような楽曲だったのかもしれません。
『17歳のカルテ』のあらすじ
(以下、映画『17歳のカルテ』のあらすじです。)
『17歳のカルテ』のあらすじ|精神病院クレイムアへと無理やり入院させられることになる主人公スザンナ
高校卒業後、不安定な精神状態から大量のアスピリンとアルコールを摂取し、病院へ担ぎ込まれた主人公のスザンナは一命を取り留めますが、事態を重く見た両親はカウンセラーの勧めもあり、本人の了承を得ずにスザンナをクレイムアという精神病院へ入院させます。
看護師長のヴァレリーの案内のもと、ルームメイトのジョージ―ナと挨拶を交わします。
直後に病院一の問題児であるリサに絡まれたスザンナは圧倒され、それ以来からリサを警戒するようになりました。
夢と現実の狭間で苦しむスザンナは、虚言や性同一性障害など様々な境遇の患者に圧倒されつつも、少しずつ居心地の良さを感じるようになり、リサとも徐々に進行を深めていくことになります。
しかし、症状は良くなっておらず、カウンセラーから境界性人格障害と告知され、スザンナは塞ぎ込みますが、そんな彼女を見兼ねたリサがスザンナと仲間を引き連れて、院長室に侵入し、それぞれのカルテに書かれた症状を暴露しながら傷をなめ合うのでした。
『17歳のカルテ』のあらすじ|患者たちと打ち解け、病院が居心地の良いものになっていくスザンナ
季節は冬になり、ヴァレリーの引率の元でアイスクリームパーラーに向かった患者たち。
スザンナは居合わせた肉体関係を持っていた教授の妻と娘から叱責を受けますが、リサと仲間たちが追い返してくれたためスザンナは笑顔を見せるのでした。
時が過ぎ、患者たちとどんどん親密になっていくスザンナは面会に訪れた出兵前の元カレのトビーから一緒にカナダへ逃げようと誘われますが、病院の仲間たちのことを思い、誘いを断ります。
ある日の深夜、スザンナは不安定な状態となり隔離病室に入った患者のポリーをリサとともに歌で励ましますが、止めに入ろうとした看護士男性と身体を重ね、事態を隠蔽しようとします。
翌日になり、全てが病院関係者にバレてしまい、医師のソニアから霊性に自身の生き方について解かれたスザンナでしたが、大量の薬を服用して意志薄弱になってしまいます。
そんなスザンナを見兼ねて、ヴァレリーは自分を見つめ直すよう強く訴えかけますが、スザンナの心には響きませんでした。
ある日の夜、ショック療法を受けたリサから誘われ、病院を抜け出し、一足先にクレイムアを退院していたデイジーの家に押しかけます。
『17歳のカルテ』のあらすじ|自分自身を見つめ直すスザンナの前に立ちはだかるリサ
一人だけ退院したことが許せなかったリサは、デイジーに立ち直れなくなるようなひどい言葉を浴びせかけ、デイジーは二階の部屋にこもってしまいます。
翌朝、スザンナが二階を確認すると、デイジーは首を吊って自死しており、すぐさま救急車を呼びますが、リサは悪びれる様子もなく、その場を後にします。
病院へと帰って来たスザンナは、デイジーの死に直面したことから、ヴァレリーにこれまで決して語ることのなかった自分の思いを全て素直に打ち明けます。
スザンナが必死に変わろうしていることを知ったヴァレリーは思いを全てノートに記すことで精神が安定するとあたたかいアドバイスをし、スザンナはその日以来、ノートに思いの丈を綴り、カウンセリングにも前向きに取り組むようになります。
やがて、回復が進み、退院することになったスザンナでしたが、リサが退院を快く受け入れるわけもなく、地下通路へと誘われたスザンナはリサからデイジーと同じように激しい言葉を浴びせかけられるのでした。
以上、映画『17歳のカルテ』のあらすじでした。
果たして、スザンナは無事に退院することが出来るのか?
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
▼参考▼初月31日間の無料トライアルあり!映画『17歳のカルテ』を今すぐ観たいならコチラで配信チェック▼
『17歳のカルテ』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画『17歳のカルテ』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|精神病院を舞台に、様々な人々との関わりの中で成長していく少女の姿を描いた名作
映画『17歳のカルテ』は、精神病院に入院することになってしまった17歳の少女スザンナが入院生活を通して成長し、退院するまでの姿を描いたドラマ作品となっています。
主人公のスザンナを演じたのは、90年代を代表するスターとして活躍し、近年ではNetflixドラマ『ストレンジャーシングス』での演技が高く評価されているウィノナ・ライダー、そして病院一の問題児としてスザンナの心を惑わすリサを演じたのは、ハリウッドを代表する映画スターとなったアンジェリーナ・ジョリーで、アンジェリーナは映画『17歳のカルテ』でのエキセントリックな演技が高く評価され、一躍スターの仲間入りを果たしました。
そんな映画『17歳のカルテ』は主人公のスザンナがアスピリンとアルコールを大量に摂取し、病院に担ぎこまれたことからクレイムアという精神病院へ入院することになる場面から始まります。
管理人
夢と現実を行き来する意志薄弱なスザンナの精神状態を不安定なカメラワークや過去と現実を散りばめた映像編集によって表現しており、序盤から映画に引き込まれていきます。
スザンナの前に立ちはだかるのは、何度も騒ぎを巻き起こし、8年も病院に入院している患者のリサですが、一度暴れると誰も停められない強烈なパワーを持ったリサを演じたアンジェリーナ・ジョリーの演技は今観ても凄まじいインパクトを観るものに与えます。
中盤では、リサと親交を深め、病院患者たちとも親密になり、早く退院したいと感じていた精神病院を居心地の良い場所だと感じるスザンナの様子が描かれます。
そんなスザンナを見兼ねて、時に厳しく時にあたたかく彼女をサポートする看護師長のヴァレリーを演じたのは演技派女優のウーピー・ゴールドバーグで、まるで実の親のようにスザンナの目を覚まさせようとする姿には胸が熱くなります。
リサが激しい言葉を浴びせたことをきっかけに自ら命を絶ってしまったデイジーに直面したスザンナが後半では心を入れ替えて治療に前向きに関わっていく姿が描かれます。
これまで誰にも真実を語ろうとしなかったスザンナがヴァレリーに心情を打ち明ける姿をウィノナ・ライダーがその繊細な演技で表現しており、必死に変わろうと決意する姿が観客の心を打ちます。
クライマックスでは、退院することが決まったスザンナの前にリサが立ちはだかり、激しい言葉を浴びせかけますが、スザンナは負けずにリサは病院でしか生きることが出来ないと訴え、彼女の誘惑に打ち勝ちます。
ラストでは、隔離病棟に入院することになったリサとスザンナが対話し、退院して会いに来るように告げます。
リサを含めた患者のそれぞれがスザンナとの別れをきっかけに少しずつ成長している様子が垣間見える前向きなラストになっています。
管理人
人間は変化することを恐れ、居心地の良い場所にとどまろうとしてしまいがちですが、この映画はそんな変化を恐れてしまう人々を後押ししてくれるような素晴らしい作品になっています。
『17歳のカルテ』のみんなの口コミ評判レビュー
★★★★★星5
20年以上前の作品ですが、現代の若者が抱える不安や葛藤が代弁されたような作品だと感じます。
主人公のスザンナが自殺を図ろうとしたことで精神病院に入院したことから始まり、入院に至った心の苦しみは現代でも通じるものがあると感じました。
抱えきれなくなってしまった気持ちが自殺という悪い結果を生み出そうとしたことに胸が痛み、未来が見えない不安が表情に見える様子に、どうすればスザンナを救えたのだろうと考えさせられました。
精神病院に入院してから不安を抱えるも、友人ができたことで気持ちの安定が見える姿に心の支えの重要さがうかがえます。
しかし、仲間だからこそ相手の芯を突いた言葉で傷つけてしまう友人の姿と仲間だからこそ立ち直れずに死を選んでしまった友人の姿は胸が締め付けられ、間近で見ていたからこそ強い衝撃を受けたスザンナの姿は見ていて苦しくなりました。
しかし、悲しみを目の当たりにしたからこそ、自分がどうあるべきか、今置かれている状況がどうなのかを知るきっかけとなった展開は心震えました。
旅立とうとするスザンナに対して攻撃的になる仲間の姿は嫉妬や寂しさ、恐怖などの感情が感じられ、素直に喜べない自分に向き合わなければならない今後の姿が浮かびます。
罵倒されようとも前へ進む決意をしたスザンナの表情は誇らしく、精神病院での経験が今後の人生に大きく影響していくだろうと思わた結末でした。
見るたびにそれぞれに登場人物が抱える苦しみを考えさせられる作品であり、自分だったら、友人だったらと考えさせられる深い作品です。
40代女性
★★★★★星5
1999年の作品。
19歳だったわたしはこの作品の中の女の子たちと同世代だったということもあり、とても衝撃的だったのを覚えています。
リサを演じたアンジェリーナジョリーがアカデミー賞で助演女優賞を獲得したことがアンジーとこの作品との出会いとなりました。
不安定で純粋、いろいろな気持ちを抱えた女の子たちの映画で、こんなにもかわいくてきれいで、でもとても悲しい作品はこの時代になってもほかに見つかりません。
なんと言っても、ウィノナライダーとアンジーの2人が素晴らしい。
タイプの違う2人ですが、清らかで思慮深く、危なっかしく、その場にいるのにその場にいないような儚い印象。
20年以上経っても、その2人が自分の中にも残ってるような気がして、何年かに1度は手に取ってしまう作品です。
若い人たちにも観てほしい、宝物のような作品です。
40代女性
★★★★☆星4
初めてこの映画を観た当時、私自身も十代の何とも言えない多感な時期でした。
それもあってとても好きな映画の一つです。
ウィノナ・ライダーとアンジェリーナ・ジョリーのみずみずしい美しさと演技はもちろん必見ですが、その他にも個性的な登場人物ばかり。
自分も病棟に入院している患者の一員になったような気持ちで、「私だったらどうする?」と考えながらストーリーを追っていました。
重めの内容なので正直なところ、軽くショックを受けるシーンもありますし観終わった後スッキリしたりいい気分になるストーリーではありませんが、いろいろなことを思い考え、自分に問いかけるような、なぜか心に残る映画です。
中でも歌うシーンがとても印象的で、しばらく曲が頭から離れず延々と頭の中でリピートされていました。
大人になってから見返してみると、最初に観た当時と比べるとそれほどいろいろと思うことはありませんでしたが、今でもときどき思い出す印象的な映画です。
観たことのない人はぜひ観てほしいです。
30代女性
★★★★★星5
主演のウェノナ・ライダーの透明感ある綺麗な容姿と精神の病を持つ設定から危うさや儚さを感じ、そこからずっと目が離せない作品でした。
また、舞台である精神科病棟内はある種、普通とはかけ離れた場所で、そこに入院している人々も様々な理由で精神を病んでいるため、その様子は非常に生々しく描かれており、その中で変化する主人公の気持ちが繊細に描かれてい作品だったように思いました。
最後のほうで彼女が次第に普通の感覚を取り戻していくような部分は見ていて少し救われたような気がしたのと、出演者であるアンジェリーナ・ジョリーの怪演は1つの見どころでもあり、彼女が主演を引き立たせていた存在になることで、より作品の深みが増したように感じました。
40代女性
*映画『17歳のカルテ』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。