怪物(映画)に気まずいシーンはある?どこで見れるのかも解説!ラストシーンで死んだのかや放火の犯人なども考察【あらすじネタバレや感想評価も】
2023年6月2日公開の映画『怪物』。
『万引き家族』『海街diary』で日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれた是枝和弘監督作品です。
第76回カンヌ国際映画祭では脚本賞を受賞しました。
映画『怪物』の口コミ評判レビューには、
- 正真正銘の傑作
- あらゆる面で秀でてハイレベル
- 3部構成で映画3本見たかのような満足感
- 各々の解釈を話し合いたくなる映画
- 考えさせられる一本
- もう一度見直してみたいと思う秀逸な作品
- 子役の2人の演技も素晴らしかった
- いかに自分が思い込みや偏見を持っているのかと感じた
という声が多数集まっています。
- 映画『怪物』に気まずいシーンある?
- 映画『怪物』はどこで見れるのか?
- 映画『怪物』を考察解説
- 映画『怪物』で最後に2人は死んだのか?
- 映画『怪物』の放火の犯人などタイトルの意味について
- 映画『怪物』のあらすじ
- 映画『怪物』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
もし、まだあなたが一度も映画『怪物』を観ていないなら、まずはネタバレとあらすじ・感想評判の前に作品を観ておくことをおすすめします。
U-NEXTなら、初回付与ポイントを使って新作品も実質無料で観ることができますよ!
見放題作品もあり、おすすめです!
▼今なら見放題作品かも!映画『怪物』の配信チェックはコチラ▼
目次
映画『怪物』に気まずいシーンある?
世界的な評価の高い映画祭として知られる第76回カンヌ国際映画祭において、脚本賞とクィア・パルム賞を受賞したということもあり、大変な話題を呼んだ是枝裕和監督・坂元裕二脚本の『怪物』。
そんな映画『怪物』について、これから鑑賞するという方の中には家族や友人たち、恋人と鑑賞する際のために気まずいシーンがあるのかどうかについて気になっている方も多くおられると思います。
映画『怪物』に気まずいシーンは、麦野湊と星川依里の同性愛を思わせるシーンです。
管理人
結論から言うと、映画『怪物』については、個人差はあると思いますが気まずくなってしまうシーンはほとんどありません。
ですが、唯一気まずくなってしまうシーンとして挙げられるのが、麦野湊と星川依里の同性愛を思わせるシーンです。
二人の年齢はおおよそ10歳前後ということで性的なアイデンティティが確立される前の年齢ですが、お互いへの友情を超えた恋愛感情を築いていくようになります。
特徴的なのが、二人の隠れ家であった廃電車の中で抱き合うシーンです。
麦野は抱き合った際に慌てて星川を遠ざけ、星川はそんな麦野に対して「僕もたまにそうなる」と伝えます。
このシーンは映画では細かく描写されていませんでしたが、抱き合ったことから麦野の下半身が反応してしまい、勃起してしまった状態であり、麦野が混乱してしまった様子が小説では描かれています。
麦野はシングルマザーである早織から「普通の家庭を築いて普通の幸せをつかんでほしい」という願望を語られていたことから、その価値観に縛られてしまい、自分が同性愛者であることについて必死に否定しようとしていました。
しかし、同性の星川と抱き合ったことで下半身が反応したことから、自分が同性愛者であることを自覚せざるを得なくなったのかもしれません。
星川は下半身の反応になれている様子だったので、おそらく麦野よりも随分と先に同性愛について自覚的だったのでしょう。
管理人
LGBTについての意識が以前よりも一般化し、多様性の時代であることが昨今叫ばれていますが、それでも同性愛を思わせるシーンについて抵抗感がある方や気まずさを感じてしまう方もおられると思いますので、そういった方は鑑賞に注意が必要だと思います。
映画『怪物』がカンヌ国際映画祭において受賞したクィア・パルム賞は同性愛について関連した作品に与えられる賞なので、同性愛描写について苦手と言う方はそもそも鑑賞しない方が良いかもしれません。
お子様と鑑賞される場合、必ず麦野と星川の関係について質問が及ぶと思いますので、二人の関係性について回答の準備をしておくか、それかお子様が鑑賞している際は席を外しておくのが無難かもしれません。
映画『怪物』はどこで見れるのか?
2023年の11月に全国各地の映画館で公開され、2024年2月21日はBlu-ray・DVDも発売された映画『怪物』。
現在インターネット上だとどのサイトで観ることが出来るのか?
現在、怪物が配信されている主な動画配信サービスですが、2024年の3月現在ですとこの通りです。
- U-NEXT
- YouTube
- Google Playムービー
- Amazonプライム
- Apple TV
- Hulu
- TELASA
- DMM TV
といった動画配信サービスでレンタル配信の方が行われています。
U-NEXTですと、無料期間が31日間、「怪物」のレンタル料金は399円です。
しかし、これから初めてU-NEXTを登録するという方ですと、600円分のポイントが付与されますので、お得に『怪物』を鑑賞することが出来ます。
これから映画『怪物』を鑑賞するという方はぜひU-NEXTの利用をオススメします。
管理人
映画『怪物』を考察解説|最後に2人は死んだのか?放火の犯人などタイトルの意味などについて
最後に2人は死んだのか?
映画『怪物』の終盤では、大嵐の中で湊と星川が2人だけの秘密の隠れ家であった廃墟の電車の中にいるシーンが描かれます。
その後、2人は暗い水路を抜けて、青々と広がる草原を開放的に駆け抜けていく姿が美しい映像で描かれるシーンで映画は終わりを迎えます。
2人は死んでしまったのでしょうか?考察していきたいと思います。
管理人
ラストシーンで死後の世界に向かった2人
結論から言うと、2人は死んでしまったと考察出来ます。
その証拠として、湊の母親である早織と担任の保利先生が湊と星川を探しに向かうシーンでは2人が隠れ家にしていた電車は土砂災害の影響によって埋もれてしまっており、2人は生き埋めになってしまったと考えられます。
また、立ち入り禁止のバリケードが貼られていた場所にも2人が自由に行けるようになっていることや2人が早織たちに救出されるシーンも描かれてないことから、2人は死んでしまい死後の世界にいると考察できます。
大嵐の薄暗いシーンが嘘のように、ラストシーンでは風景が美しく描かれているのも意図的で2人が現実世界では無い場所にいることを表現しているのではないでしょうか。
管理人
ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか?
一見、悲しいラストシーンに見えますが、2人が抱えていた問題を考えるとハッピーエンドでもバッドエンドでもないような気がします。
星川は妻に逃げられ、酒浸りになった父親から異常者のレッテルを張られてしまっていました。
その理由については、細かく描かれてはいませんでしたが、おそらく星川は父親が求めているような男らしい人間ではなく、同性の男の子である湊に惹かれてしまう同性愛者的な感覚があり、そのことが父親にとっては許せずに、それを治すために虐待を行っていました。
また、湊も浮気相手との旅行中に事故死してしまった父親を持ち、残された母親のためにもまともな人間にならなければならないという責任感を持っていながら、同性である星川に恋愛感情を抱いてしまう自分が怪物であると感じ、早織を誤魔化すために保利先生に暴力を振るわれたという嘘をつきました。
そんなお互いに惹かれ合っていた星川と湊でしたが、星川の父親は息子を転校させることを決め、2人は離ればなれになってしまうことは決まっていました。
星川は転校した後もきっと同性愛者であることを理由に父親から虐待を受けていたでしょうし、現実の世界での問題から逃れて、死後の世界でずっと2人で自由に遊んでいられることは湊と星川にとって決してバッドエンドではなかったと思います。
管理人
ただ、生きていれば湊と星川の関係に気付いた保利先生が尽力してくれて、2人が生活やすい環境を作ってくれていた可能性もあるので、ハッピーエンドとも言えないと思います。
このラストシーンをどう捉えるか、鑑賞した人と議論するのも良いかもしれません。
ちなみに、映画『怪物』の監督である是枝裕和氏は公開時の取材において、少年たちが同性愛者かどうかについては、2人の少年たちは自分たちの性的アイデンティティが十分に形成されていない年齢のため、そのことについては焦点を合わせたくなかったと語っています。
2人が同性愛者だったかどうかについては明言をしていません。
放火の犯人は誰なのか?
映画『怪物』の冒頭は、凄まじい火事を早織と湊がバルコニーから眺めているシーンで始まります。
果たして、この火事の犯人とは一体誰だったのでしょうか?
管理人
父親が通っているガールズバーがある雑居ビルを放火した星川
作品の中で果たして誰が放火の犯人であったのかは明らかになっていません。
しかし、校長の前でチャッカマンを落としているシーンや死んだ猫を火葬するために星川がチャッカマンを取り出した際に湊から「星川君がガールズバーを燃やしたの?」と尋ねられた際に「お酒を飲むのは健康に良くないからね」と語っています。
否定していないことから星川が放火の犯人であると言って間違いないと思います。
では、なぜ星川は放火をしたのでしょうか?
父親に生まれ変わってほしかった
星川が放火をした理由、それは同性愛の感情を持ち、男らしく生きていくことが出来ない自分を異常者扱いし、虐待を繰り返す父親に生まれ変わってほしいという気持ちがあったからだと思います。
同性愛であることを矯正しようと虐待を繰り返す父親が自分のことを理解し、受け入れてくれる存在に生まれ変わってくれることを願った星川は、酒浸りの父親が通っているガールバーがある雑居ビルに火をつけたと考えられます。
星川は日常的に父親から同性愛であることを否定されていたと思われますが、湊という大事な存在と出会ったことによって、自分の性的アイデンティティーについて縛られずに湊とずっと一緒にいたいと思うようになり、父親に自分の性的嗜好を矯正されることについて我慢が出来なくなった末に反抗に及んだと考察出来ます。
星川は非常に優しい性格をしており、虐待を受けながらも父親のことを愛しており、そんな父親がいつか生まれ変わってくれるとずっと信じており、放火についても父親に対して殺意があったわけではなく、自分のことを受け入れてくれる優しい父親に生まれ変わってほしいという純粋な気持ちが引き起こした悲劇だったと考えられます。
管理人
クラスの女の子はなぜ嘘をついた?
保利先生はクラスの女の子から湊が猫と遊んでいて、その後に猫がぐったりとしていたという情報を聞き、そのことについて話してくれと言われた際に、「そんなこと言っていません」と嘘をつきますが、なぜ女の子は嘘をついたのでしょうか?
結論から言うと、女の子は嘘をついていません。
女の子が伝えたのは、湊が遊んだ後、猫がぐったりとしていたという情報だけなのにも関わらず、保利先生は「湊が猫を殺した」と情報を飛躍させていたため、女の子はそんなことは言っていないと否定したのだと思います。
保利先生は勝手な決めつけで湊が星川をいじめていると勘違いしており、湊が猫を殺していると思い込んでしまったのでしょう。
また、保利先生は時系列で言うと、早織からの抗議によって体罰教師のレッテルを貼られており、そんな先生の問題に関わりたくないという思いからきっぱりと先生からの証言協力を断ったのではないかと考察できます。
管理人
保利が急に飴を舐めたのはなぜ?ガールズバーにも行っていたのかについても
湊から担任の保利先生から暴力を受けたということを聞かされたシングルマザーの早織は、事実を確認するために学校に向かいます。
しかし、学校側はマニュアル通りの対応しかせず、担任である保利先生も不服そうに謝罪の言葉を伝え、早織は憤りを覚えます。
挙句の果てに保利は早織が必死に事実について訴えているにも関わらず、飴を舐め始めた上に母子家庭は心配しすぎるといったシングルマザーを否定するような発言をしてしまい、早織の堪忍袋の緒が切れてしまいます。
ではなぜ、保利は突然飴を舐めてしまったのでしょうか?
管理人
また、ガールズバーに通っているという噂も流れていましたが、事実はどうだったのでしょうか?それぞれ考察していきたいと思います。
飴を舐めたのは彼女からのアドバイス
保利先生は、前日に彼女から「大変な時こそ肩の力抜かないと」とアドバイスを受け、飴を貰っており、彼女のアドバイス通りにリラックスして気持ちを落ち着かせるために飴を舐めたと考察できます。
保利先生は決して、早織を不快にするつもりで飴を舐めたわけではなく、内容について真剣に考えており、なんとか心を落ち着かせるために飴を舐めていたのですが、謝罪中に行ってしまうと、ふざけていると思われても無理はありません。
早織のことを考えると、非常に軽率な行動だったと言えると思います。
管理人
保利先生はガールズバーに行っていたのか?
保利は、周りの先生や生徒の親から雑居ビルにあるガールズバーに通っている噂を流されていました。
しかし、結論から言うと保利はガールズバーには通っておらず、事実無根です。
では、なぜ保利がガールズバーに通っているという噂が流れてしまったのか?
管理人
その理由は、ガールズバーが入っていた雑居ビルの付近を彼女とデートしていたところを生徒に目撃されてしまったからです。
ガールズバーの付近を女性と歩いていたという事実が生徒から親へと伝えられる際にどんどんと大げさになり、ガールズバーに通っているという噂に変わったと考察出来ます。
普段から保利先生について良い印象を持っていない生徒の保護者が一定数いたことから、噂が急激に広まったと思いますが、うかつに恋人とリラックスしてデートをすることも出来ない学校の教師という職業は大変だなと感じさせられます。
消しゴムを拾おうとずっと固まっていたのはなぜ?
リビングで宿題をしている湊が消しゴムを落とし拾おうとしている最中に、母の早織がコンビニへと買い物に出かけます。
買い物を終えた早織が家に帰ると、湊は消しゴムを拾おうと手を伸ばしているそのままの姿でずっと固まっており、早織の帰宅に気付くと、慌てて消しゴムを拾い、平静を装うシーンがあります。
なぜ湊はずっと固まっていたのでしょうか?考察していきたいと思います。
管理人
星川のことで頭を悩ませていた
湊がずっと固まっていた理由については明言されていませんが、星川のことで悩んでおり、頭の中で思考をぐるぐると巡らせていたため、消しゴムを拾う態勢のまま固まってしまったのではないかと考察できます。
時系列を考えると、湊と星川が取っ組み合いをして数日が経過しており、星川が学校を欠席してしまっていることについて、理由や会えないことの辛さ、そして自分の星川への恋愛感情といった悩みにずっと頭の中が支配されており、意図しないまま固まってしまったのだと思います。
小説でもこのシーンについて早織視点で描かれていますが、早織がネットで検索し、強く感情が動いた際に固まってしまうことがあると知り、きっと保利先生からの暴力について悩んでいるのではないかと推測するようになると描かれており、このシーンについて湊視点で描かれることがないため、真相については分かりません。
ですが湊が早織に自分の悩みについて打ち明けることが出来ず、一人で苦悩していたという事実は明らかだと思います。
管理人
湊と早織の関係について、大きなすれ違いが生じていることが表現されている重要なシーンだと思います。
校長が足を引っ掛けた理由
映画の中で学校側に抗議をした早織がスーパーマーケットで偶然校長先生と出くわし、彼女がスーパーで走り回っている子どもの足を引っ掛けているところを目撃してしまいます。
ではなぜ、校長は足を引っ掛けたのでしょうか?
管理人
その理由については明らかになっていませんが、単純に走り回っている子どもやそれについて注意をしようとしない親について腹が立ち、むしゃくしゃして足を引っ掛けたのではないかと考察できます。
校長が孫を轢いたかどうかについても明らかになっていませんが、孫を轢いたと仮定すると、校長という肩書や学校を守るために最愛の夫に罪を被せ、その上で子どもたちとの関係も悪化し、大切な孫も失ってしまったという現実が重くのししかかり、彼女の中の倫理観というものが崩壊してしまっていることが分かるシーンになっていると思います。
なぜ保利は悪者にされたのか?
映画の中で湊と星川の担任教師という重要なポジションで登場するのが、瑛太演じる保利先生です。
保利は、暴力について湊から聞いたシングルマザーの早織が学校への事実確認を求め、同級生の星川が保利先生が湊に対して暴力を振るっているという証言をしたことから、謝罪会見を開くことになり、マスコミに取り上げられた末に婚約者からも逃げられ、結局学校を追い払われてしまうことになってしまいます。
なぜ保利は悪者にされてしまったのか?考察していきたいと思います。
管理人
湊が嘘をついた理由
湊が保利からの暴力という嘘をつき、保利を悪者にした理由は自分の行動について疑問を持つ母親の早織を誤魔化すためだったと考察できます。
湊の頭の中は星川のことでいっぱいで彼に対しての恋愛感情といった様々な感情に悩まされていましたが、それらを早織に打ち明けることは出来ませんでした。
なぜなら、早織は湊に対して「湊が結婚して、家族を作るまでは頑張る。どこにでもある普通の家庭でいいから、湊が家族という宝物を手に入れるまで」と普通の幸せをつかんでほしいというメッセージを伝えており、いわゆる普通の幸せとは違った感覚を持つ自分について、打ち明けてしまうと、大きく失望してしまうのではないかと考えていたからです。
だからこそ、星川との関係を早織に気付かれることがないように保利先生から暴力を受けたという嘘をついたのだと思います。
管理人
湊は決して、保利先生のことが嫌いだったわけではなく星川との関係を隠すための咄嗟の嘘だったのでしょう。
それを裏付けるように保利が湊に対して「先生のことが嫌いか?」と追及した際に湊は否定をしています。
星川が嘘をついた理由
星川は職員室で保利の湊への暴力について尋ねられた際に、保利が湊に対して日常的に暴力を振るっているという嘘をつきます。
結果的に保利は学校を追い払われてしまうことになるわけですが、星川はなぜ嘘をついたのでしょうか?
管理人
その理由は、保利の暴力について否定をしてしまうと、湊が嘘をついてしまったことがバレてしまい、湊が不利な立場になってしまうと判断したからだと考察できます。
また、湊は保利先生について特別に悪い感情を持っていなかった様子でしたが、星川は「男らしくあれ」という無神経な固定概念を押し付け、クラスメイトからのいじめにも気付かず、それどころか、守ってくれようとしている湊が自分のことをいじめていると勘違いしている保利先生について憎しみの感情が生まれており、嘘に加担したという可能性もあると思います。
怪物とは誰なのか?タイトルの意味
作品のタイトルにある「怪物」とは一体誰のことを指しているのでしょうか?考察していきたいと思います。
①早織にとっての怪物
シングルマザーである早織にとっての怪物は、体罰について事実の確認を求めるも、マニュアル通りの対応しかせずに事なかれ主義を貫く学校関係者のことです。
早織にとっては、何を話しても死んだような目をして、話を聞こうともしない教師たちがまるで人間ではなく怪物のように見えたのでしょう。
②保利にとっての怪物
担任教師である保利にとっての怪物とは、覚えのない体罰について、何度も抗議をしてくる早織のことです。
元々、保利は母子家庭は過保護になりすぎるという偏見を持っており、早織のことをモンスターペアレンツのように感じていたのだと思います。
③湊にとっての怪物
湊にとっての怪物とは、自分自身のことを指しています。
母親の早織が求めているような普通の幸せではなく、同性の星川にどんどんと惹かれ、恋愛感情を抱いてしまっている自分のことを異常な人間だと感じています。
その感情が故に不可解な行動をとってしまい、早織に心配をかけるようになってしまいます。
④星川の父にとっての怪物
星川の父にとっての怪物は、実の息子のことです。
一流の大学を出て、一流の企業に勤めるというエリート思考を持った父親は、同性愛者である息子が許せず、息子を怪物だと罵り、暴力を行って彼の性的嗜好を矯正しようとしていました。
タイトルの意味
このように「怪物」というタイトルに込められた意味は、キャラクターそれぞれにとっての怪物がバラバラであるように、自分が誰かにとっての怪物になってしまっているかもしれないというメッセージが込められていると考察できます。
『怪物』のあらすじ
(以下、映画『怪物』のあらすじです。)
『怪物』のあらすじ|担任教師からの暴力への謝罪を訴えるシングルマザー・麦野早織
シングルマザーの麦野早織は、雑居ビルでの火災現場をバルコニーから息子の湊と眺めていた時、湊が不可解な発言したことに不安を覚えます。
湊はそれ以来、自分の髪をハサミで切ったり、おかしな言動や行動をするようになります。
ある日の夜、突然行方不明になった湊を早織は廃墟で発見します。
帰り道の車内で突然ドアを開けて飛び出した湊は幸いにも大事には至りませんでしたが、いじめや学校内での問題を疑った早織が問いただすと、担任の保利先生に暴力を振るわれたと告白します。
早織は翌日学校に向かい、保利先生の体罰を訴えますが、孫を事故で失ったばかりの校長先生はマニュアル通りの謝罪をするだけで保利先生も明らかに不服そうな態度をとります。
『怪物』のあらすじ|暴力教師のレッテルを貼られ、学校を追いやられてしまう保利
何度も学校に抗議する早織に対して、保利は湊が同級生の星川をいじめていると訴え、早織は急いで星川の自宅へと向かいます。
ですが、星川が湊にいじめられた覚えはなく、保利先生が湊に暴力をふるっていると証言したため謝罪会見を開くこととなり、マスコミにも大きく取り上げられる事態となりました。
保利先生は星川のいじめについての調査で星川の家庭訪問に向かったところ、星川の父は息子を怪物呼ばわりしており、家庭内の問題に星川が苦しめられていることを察します。
早織の追及によって謝罪会見を開き、マスコミに追われるようになった保利は婚約者からもフラれてしまい、学校からも追い払われ、引っ越しすることを余儀なくされます。
『怪物』のあらすじ|明らかになる湊と星川の関係性
やり切れない思いを抱えた保利は突然学校に向かい、自分のことが嫌いか湊に追及しますが、湊を怪我させてしまい問題をより大きくしてしまうのでした。
引っ越し準備の中、途中だった生徒たちの作文の添削を行っていたところ、「むぎのみなと・ほしかわより」というメッセージが書かれていることを知ります。
二人の関係性を初めて知り、自分のこれまでの湊へと態度を恥じた保利は台風の中、湊の自宅へと向かい外から大声で謝罪しますが、湊は姿を消しており、不在でした。
これまでのことを謝罪した保利は早織とともに嵐の中、湊と星川を探しに向かうのでした。
以上、映画『怪物』のあらすじでした。
果たして、二人は無事なのか?
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
▼参考▼初月31日間の無料トライアルあり!映画『怪物』を一気観したいならコチラで配信チェック▼
映画『怪物』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画『怪物』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|鬼才・是枝監督と人気脚本家・坂元裕二がタックを組んだ話題作
映画『怪物』は、2018年に公開された『万引き家族』が歴史あるカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞するなど、まさに日本が世界に誇る鬼才・是枝裕和監督がモンスターペアレンツやいじめ、家庭内暴力、性的マイノリティといった現在社会の問題を描いた作品となっています。
映画は一人息子の湊と二人暮らしのシングルマザーである麦野早織、湊の担任を務める保利先生、小学生の湊という三人の登場人物の視点で展開し、タイトル通りそれぞれにとっての怪物とは何かが描かれていきます。
管理人
麦野早織は湊の不可解な言動や行動を不審に思い、問い詰めたところ、保利先生から暴力を振るわれたという証言から学校に説明を求めますが、学校はマニュアル通りの言葉ばかりで取り合おうとはしません。
早織にとっては、学校が息子を苦しめる怪物のような存在として描かれます。
続いて、湊の担任である保利先生は見に覚えのない湊への暴力について謝罪を求められ、遂には謝罪会見を開く羽目になり、マスコミからの取材からフィアンセにも逃げられ、学校を追い払われるという散々な目に遭います。
保利先生にとってみれば、モンスターペアレンツである早織が怪物として描かれます。
最後に描かれるのは、保利先生の暴力を早織に伝え、不可解な行動を見せていた湊です。
最後に湊の視点で描かれることによって、保利先生からの暴力についての証言が嘘であり、なぜ不可解な言動や行動をしていたのかが明らかになります。
湊はいじめられっ子である星川という同級生と親密な関係になり、星川が酒浸りの父親にひどい扱いを受けていることについてどうすることも出来ない自分に苛立つようになります。
そんな中で同性である星川に恋愛感情を抱くようになり、そんな自分を受け入れられず、そして誰にも打ち明けることが出来ないために早織に嘘をつくことになりました。
湊にとって、怪物とは自分自身であったことが明らかにになります。
管理人
その他にも、学校を守るために孫の事故死を実の旦那に罪を着せているという噂がある校長や実の息子を異常者だと決めつけて、酷い扱いをする星川の父などそれぞれのキャラクターにとっての怪物が描かれていきますが、作品を通して、人間誰しもが誰かにとっての怪物になってしまうかもしれないというメッセージを観客に訴えかけます。
脚本を務めたのは、『東京ラブストーリー』や『最高の離婚』といった数々の人気ドラマ作品の脚本を務めた坂本裕二ですが、登場人物たちの丁寧な描写によって、それぞれにとっての怪物を浮かびあがらせるストーリー展開は見事の一言です。
映画のラストでは、大嵐の中で、二人の隠れ家である廃墟にいた湊と星川が水路を抜けて青々と広がる草原を満面の笑顔で駆けていく姿が描かれますが、これが果たして現実だったのか、それとも死後の世界であったのかについては作品で明言されることはなく、観客が自由に解釈できることが出来ます。
観終わった後に思わず放心状態となってしまう余韻のあるラストシーンには、是枝監督らしさが出ていると思います。
管理人
自分が誰かにとっては怪物になっているかもしれないという人間の危うさを描いた映画『怪物』。
自分自身の在り方について考えるきっかけをくれる強いメッセージ性を持った作品です。
映画『怪物』のみんなの口コミ評判レビュー
映画『怪物』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「誰しもが誰かにとっての怪物になり得ると感じた」「幅のある余白を持たせてくれたラストが良かった」「視点によってこれほどまで大きく変わるのかと驚いた」「物語の序盤で伏線が多く張られて最後にかけて回収していく見事な作品」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★★星5
怪物とは何を、だれを指すのかという問いが幾重にも放たれ、それが観た後々にまで心に染み入るような作品でした。
物語は、少年二人の間に何があったのかを、少年の親、担当の教師、本人たちと視点を変えながら真相に分け入っていきます。
その度に事件の様相が様変わりし、ときに人物の人格そのものもが変化しているように感じられ、人が他人に持つ印象の不確かさを思い知らされるような気がしました。
少年が抱いたほのかな想いは乱暴に踏みしだかれ、その果ては豪雨のベールの向こうに隠されて判然としません。
草原を無邪気に駆ける彼らの姿は、夢のように美しくて幻のようで、けれどもしかしたら本当の未来かもしれないとも思わせてくれました。
その幅のある余白を持たせてくれたラストが、とても良かったです。
40代女性
★★★★★星5
学校で起きた先生によるいじめ問題が母親目線、先生目線、子ども目線それぞれの視点が進んでいくことで「私たちは相手のことを本当は何もわかってはいないのではないか」ということを突きつけられたような気がします。
私自身が子どもを持つ親ということもあり、どうしても母親目線に肩入れしてしまうところはありましたが、冷静になってみないと真実は見えてこないのでは、ということを考えさせられました。
子どもに対してもどんなに大切に思ってみていても結局は他人であり、本音のところは話さなければ理解できない、というのも改めて思いました。
子役の黒川君、柊木くんの2人の演技が素晴らしく、映画の世界観に惹きこまれました。
校長先生役の田中裕子さんの淡々とした不気味さなども忘れられません。
最後まで見ると「これはどういうことなのか?」という各々の解釈を話し合いたくなる映画です。
30代女性
★★★★★星5
CMで見て気になっていて、U-NEXTでレンタルして見ました。
視点によってこれほどまで大きく物語の解釈が異なるのかということにまず驚き、いかに自分自身、思い込みや偏見、固定観念などを日頃抱いているかを考えさせられる一本でした。
そういった意味で大変おもしろく、さすが是枝作品と言う感想を持ちました。
ただ、いくつか理解できない点があったため、これまたYoutubeの作品考察動画を見て、なるほどそういうことだったのかと、自分の見方が浅はかだったこと、同時にここまで深く作りこまれているのかということに驚きました。
そして、永山瑛太や安藤サクラはさることながら、子役の2人の演技もすばらしく、作品にのめりこみました。
もう一度見直してみたいと思う秀逸な一本です。
40代男性
★★★★★星5
正真正銘の傑作です。
あらゆる面で秀でているハイレベルな日本映画です。
まず、カンヌ映画祭で脚本賞を取った坂元裕二さんの脚本が素晴らしいです。
3部構成で同じ出来事を辿っていきます。
ネタバレになるので多くは語れませんが、第一部の母親の視点と第二部の若い先生からの視点を比較するだけでも恐ろしく、面白いです。
そして、内容は伏せておきますが、第3部の主役になる少年たち。この演技がまた素晴らしい。
子役の演出ではおそらく日本映画界で右に出る人はいないでしょう、是枝裕和監督のお力見事です。
そして、満を辞して最も美しい場面に流れる今は亡き坂本龍一さんの音楽。
あの場面のカメラワークの躍動感と坂本さんの音楽が見事にマッチしています。
出来事は重ね絵のように、重層的に成り立っていて、真の多様性を映画に導いてくれます。
50代女性
★★★★★星5
映画『怪物』は、人物の視点が入れ替わりながらストーリーが進んでいく構成だったので、今まで観たことがない雰囲気で映画を観ることができ、新鮮味があって面白かったと感じています。
自分が認識していない社会問題にスポットを当てられていてとても興味深かったですし、その気がなくても気づいたら自分が誰かを傷つける怪物になってしまう怖さがあることを改めてこの映画を観て教えられました。
自分も子供時代はそうでしたが、この年頃の子特有の悩みや考えはなかなか大人には相談しづらく、相談してもあっさりと受け流されたりするので、その当時のことを思い出すと胸が痛かったです。
子役はとてもいい演技をしていて臨場感があり、とても良い映画だったなと感じています。
30代男性
★★★★☆星4
奮闘する母の話かなとは思ったのですが趣がだいぶ違いました。
かなり漠然とした怪物という存在を探し求めるというか解明していこうというような形になっていくわけですが、結局のところその恐怖というのは一体何なのかというのがいまいちよく理解できないまま終わってしまう、ということが多少残念でした。
その怪物というものは自分自身にも存在していてさらに言えば多くの人たち、周りの人たちにも存在しているわけであって、事件そのものの不可解さとかそういうのではなく単純に日常的に起こりうる全ての人が持つ異常性というのを表現できているとは思います。
ミスリード的なシーンというのが結構あったりするのでそこは面白いというか、後から考えるとよく出来ているなとは思いました。
20代男性
★★☆☆☆星2
『万引き家族』『ベイビー・ブローカー』の是枝監督の作品ということと、CMの怪しげな雰囲気を見て、興味を持ち、視聴させていただきました。
しかし、期待しすぎていたということもあり、満足度の低い作品と感じてしまいました。
前半の平穏な日常の中で起こるよくある諍いが、大きな事件に発展していくという、「平穏な日常」というフリが露骨で、後半の仕掛けに対して、免疫ができた状態で臨むことになってしまいました。
安藤サクラ氏が演じる早織と、いじめ問題に対して形式的な謝罪をする学校側というすれ違いの中で、両社がお互いに相手を悪者/怪物として認識してしまう構造は、あまり面白味を感じませんでした。
先入観や偏見によって、相手を過剰に恐れたり、悪人だと感じてしまうことというのは日常的にあり、そのような冷静でない直情的な態度(有名人に対する誹謗中傷や過度なバッシングも念頭に置かれているのでしょうか)を諫めるというのが主題の映画だと思います。
是枝監督作品なので、映画として最低限の面白さは保証されていますが、メッセージ性を押し出した説教臭いつまらない映画でした。
10代前半までに観ていれば、衝撃が走ったと思います。
20代男性
★★★★☆星4
少年たちはどこへ・・・
「怪物」というタイトルから何か恐ろしい事件や醜い姿をした人が出てくる物語かと勝手な想像をしていました。
しかし、映画が始まると、安藤サクラ演じる母親とその子供の物語だと認識しました。
次に学校での教師たちの対応。母親が学校側の対応に文句を言う。私も同じように母親に共感し、学校側にムカついた。
でも、この「怪物」という物語は、学校や母子家庭などが舞台ではあるものの、伝えたいことやメッセージは別のところにありました。
それは、誰の心にも偏見というものの見方とそこから生じる相手を無意識に傷つけること。
多様性の叫ばれる現代にあって、改めて考えさせられる作品でした。
物語の内容とは別に音楽を担当したのが、昨年亡くなった坂本龍一。
坂本龍一も音楽界の「怪物」を感じさせ、唯一無二の存在だったと改めて思わせてくれました。
少年たちが明るい光に向かって走るラストシーンは、どこへ行ったのか色々と想像して考えさせられる終わりでした。
50代男性
*映画『怪物』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。