映画『正欲』の相関図や考察解説!水の意味や佐々木と諸橋のその後は?【あらすじネタバレや感想評価も】
2023年11月10日公開の映画『正欲』。
『桐島、部活やめるってよ』『何者』などの作家、朝井リョウの原作小説を実写映画化。
監督は『あゝ、荒野』『前科者』などを手掛けてきた岸善幸が務めました。
映画『正欲』の口コミ評判レビューには、
- 今の時代だから、心に刺さる映画
- 正常って何だろうと考えさせてくれる名作
- 視野、思考が少し広がった様な気がした
- 多様性って何だろう思わせわれた
- 心が切なくなった
- 視野、思考が少し広がった様な気がした
- いまいち共感がしずらかった
- 静かなインパクトの残る作品
という声が多数集まっています。
- 映画『正欲』の相関図
- 映画『正欲』考察解説
- なぜ水だったのか?
- 逮捕された2人のその後
- 八重子うざいとの声
- 正欲の意味について
- 映画『正欲』のあらすじ
- 映画『正欲』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
もし、まだあなたが一度も映画『正欲』を観ていないなら、まずはネタバレとあらすじ・感想評判の前に作品を観ておくことをおすすめします。
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目次
映画『正欲』の相関図
映画『正欲』の相関図をまとめました。
映画『正欲』の相関図はこちらです。
考察解説|なぜ水だったのか?逮捕された2人のその後や八重子うざいとの声、意味についても
なぜ水だったのか?
映画『正欲』は、水が大きなキーワードになっています。
主人公の夏月、夏月のパートナーとなる佐々木や大学生の諸橋、小学校の非常勤教師である矢田部といった水が蛇口から勢いよく打ちあがる様や川で水が流れる様について性的興奮を覚える特殊な性的嗜好を持った人々が多数登場しますが、なぜ水だったのでしょうか?
テーマである「ダイバーシティ」とのリンクが考察されます。
管理人
水というのものは、本来は液体ではありますが、熱を加えれば気体に変わり、冷やせば固体に変わる様々な状態に形を変えることが出来ます。
そんな変幻自在な姿が「ダイバーシティ」いわゆる「多様性」という映画『正欲』の大きなテーマにリンクしていることから映画『正欲』では「水」が選ばれたのではないかと考察できます。
また、人間が生活するうえで身体に「水」は必要不可欠なもので、人間は生まれながらに「水」を求める性質を持っています。
そんな根源的な欲求の象徴である「水」に性的な興奮を覚えるという設定は、鑑賞する人の興味をそそり、鑑賞欲を訴求することが出来るという狙いから「水」が選ばれたのではないかと考察できます。
管理人
ちなみに映画では新聞配達員の藤原悟という男性が蛇口を盗んだ罪で逮捕され、「水を出しっぱなしにするのが嬉しかった」という供述をしたという事件について取り上げられていて、その珍しい事件が夏月と佐々木を繋ぐ重要な要素になっていますが、こちらは当然ながらフィクションであり、実際に起きた事件ということではありません。
ただ、知らないだけで実際に水について性的な嗜好を持つ方々が存在する可能性も十分にあると思います。
「水」以外にも、世間的に見ると異質に感じる性的嗜好を持つ方も多くいると思います。
そのような性的マイノリティ―である人々が夏月や佐々木、そして諸橋のように誰にも自分のことを打ち明けることが出来ず肩身の狭い生活をしていないことを祈りたいと思います。
冤罪によって逮捕された佐々木と諸橋のその後
学生時代に「水」についての性的な嗜好を夏月と共有し合い、それから10年以上が経ち、地元である福山市で運命的な出会いを果たし、お互いがこの世界を生き抜いていくために支え合うように横浜で再び生活を始めた佐々木。
ですが順調な生活を送っていく中で同じ性的な嗜好を持つ矢田部、大学生の諸橋という仲間と出会い、秘密を共有しますが、小児愛者でもあった矢田部が児童買春で逮捕されてしまったことから佐々木と諸橋までもが公園の噴水で居合わせた少年たちと水をかけあっている写真によって小児愛者である疑いがもたれ、逮捕されてしまいます。
果たして、佐々木と諸橋はその後どうなってしまったのでしょうか?
児童ポルノ禁止法の疑いについて、考察されます。
管理人
佐々木と諸橋が逮捕されていた詳しい罪状などについては映画で明らかになることはありません。
しかし矢田部が逮捕された際に押収されたデータから公園の噴水で居合わせた少年たちが映っている写真が見つかり、その写真に佐々木と諸橋も映っていたことから自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを撮影・所持したという児童ポルノ禁止法の疑いが持たれ、逮捕されてしまったのではと考察することが出来ます。
佐々木と諸橋については、小児愛者では無く、自己の性的な興奮を満たすために写真を所有していたわけではないため、冤罪だったのではないか?と考える人もいると思います。
映画を観ている我々からすれば、2人は冤罪であると分かりますが、水に性的な興奮を覚えるという性的嗜好を持っていることを警察に供述したとしても、特殊なケースのため、簡単に受け入れてもらうことは出来ないと思います。
今回ですと、事件を担当する判事がイレギュラーなケースを受け入れようとしない価値観が凝り固まった寺井であるため、無罪であるという判決を掴むことは容易なことではなく、そのまま2人は逮捕され刑に服したのではないかと考察出来ます。
管理人
5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処するという刑になりますが、2人は初犯であるため執行猶予付きの判決が下された可能性もあると思います。
佐々木は刑に服した後、当然今の仕事は解雇されることになると思いますので、新しい職を見つけて夏月とともに再度生活をスタートするのでないでしょうか。
夏月にとっても、佐々木は唯一自分の胸の内を共有できるかけがえのない存在ですし、無罪であることも理解しているため、その後もずっと佐々木の側を離れることはないと考察出来ます。
諸橋については、大学を退学になってしまうと予想できます。
管理人
かつての夏月と佐々木のように、自分の秘密を共有できる相手を見つけることが出来るまで一人で孤独に生活する日々が諸橋には待っているのではないでしょうか。
八重子うざいとの声について
映画『正欲』では、過去のトラウマによって、男性恐怖症になり、男性が近くにいるとパニック状態に陥ってしまう八重子というキャラクターが登場します。
そんな八重子について、うざいという声が多数挙がっていますが、その理由は一体何なのでしょうか?
気になる理由について考察したいと思います。
諸橋に対しての押しつけがましさ
八重子がうざいと言われてしまう理由は、諸橋に対しての押しつけがましい態度が要因になっていると考察出来ます。
八重子は学園祭の実行委員として、ダンスサークルのメンバーと打ち合わせした際に諸橋に出会いますが、男性恐怖症であるはずの自分が諸橋だけには恐怖感を覚えずに接することが出来たため、心を惹かれるようになり、彼について目が離せなくなります。
一匹狼でいつも孤独に生活しているような諸橋の姿を見て、きっと彼も自分と同じようにトラウマを抱えて生活をしていると考えた八重子は、自分が彼の唯一の理解者になりたいと諸橋の前に現れます。
そんな八重子を拒絶する諸橋に対して、「自分は諸橋くんを理解できる」という少し強引な態度で涙ながらに諸橋に対して、言葉を発します。
このような八重子の姿におせっかいで押しつけがましいと感じた観客がいたため、うざいという声につながったと考察出来ます。
また、八重子のおどおどした物言いや態度についても、イライラしてしまった方が一定数いたため、こちらも要因の一つになっていると思います。
そんな八重子を演じたのは、映画『正欲』が映画初出演となる女優の東野絢香さんです。初出演でありながら、作品に強いインパクトを残した堂々たる演技は素晴らしく、今後の更なる活動に期待したいところです。
八重子が男性恐怖症になった理由
八重子が男性恐怖症になった理由について、映画では過去のトラウマとしか紹介されていませんでしたが、原作小説では具体的な理由が明らかになっています。
八重子には引きこもりの兄がいて、兄が不在時に彼の部屋に入ったところ、パソコンで妹との近親相姦を題材にしたアダルト動画を観ていることが分かります。
これに大きなショックを受けて、それ以来から女性に対して性的な視線を送るすべての男性に恐怖感を覚えるようになったことと描かれています。
そんな八重子が諸橋にだけは接することが出来た理由は、おそらく彼が男性・女性といった性別関係なく、全ての人間に対して性的な興奮を覚えることがない人間だったからでしょう。
管理人
タイトルの意味
大きなインパクトを残す『正欲』というタイトルの意味は一体何なのでしょうか?
意味深なタイトルについて考察していきたいと思います。
管理人
正しい欲望とは一体何なのか?
映画『正欲』は、食欲、睡眠欲、性欲という人間の三大欲求の一つである性欲の性という文字に同じ読み方を持つ生という文字を当てはめたタイトルになっています。
映画『正欲』ではいわゆる性的なマイノリティである水について性的な嗜好を持つ登場人物たちが登場しますが、「性欲」と「正欲」と書くことによって、果たして正しい欲望とは一体何なのかを観客に問いかけるメッセージが込められています。
人それぞれに様々な価値観や考え方を持っており、欲望についても似ているようでバラバラです。
そんなそれぞれの欲望というものが果たして正しいものなのか、間違っているものなのか、正解は誰にも分かりませんが、そんな正解のない問いを作品を通して、観客に訴えかける映画『正欲』にぴったりなタイトルだと思います。
管理人
ちなみに原作者の朝井リョウさんはインタビューにて『正欲』というタイトルは執筆前から決まっていて、欲はすごく個人的なイメージを持つ文字で、正はすごくパブリックなイメージを持つ文字。
そのアンバランスさが居心地の悪さを醸し出してくれるのではという狙いからこのタイトルを付けたと語っています。
また、性欲というテーマについてはずっと書きたいテーマではあったが、内容に説得力が出せるのかが疑問でずっと躊躇していたとも語っており、朝井さんにとって映画『正欲』の執筆は大きな挑戦であったことが分かります。
映画『正欲』のあらすじ
(以下、映画『正欲』のあらすじです。)
『正欲』のあらすじ|秘密を抱えて、孤独に生活する桐生美月
広島県の福山市に住む桐生美月は、水に興奮を覚える性的嗜好を持っており、そのことについては両親にも打ち明けることは出来ず、地元のショッピングモールにある寝具店で働きながら孤独な生活をしていました。
そんな中、学生時代に唯一同じ性的嗜好を共有することができた同級生の佐々木が横浜から福山に戻って来たことを知り、喜びます。
友人の結婚式で再会した2人でしたが、お互いに意識をし合っているものの、ゆっくりと話す時間はありませんでした。
舞台は変わって、横浜。
検事の寺井は妻の由美と1人息子の泰希の3人で暮らしていました。
泰希は不登校が続いており、同じ10歳のYoutuberに希望を貰い、自分もYoutuberになりたいと打ち明けますが、息子に普通に生きてもらいたいと願う寺井は聞く耳を持ちませんでした。
『正欲』のあらすじ|不登校の息子を理解しようとしない裁判官の寺井
NPOが主催する不登校児の集まりに参加した泰希は、職員の右近の協力もあり、そこで出会った友達と一緒にYoutuberデビューをしました。
少しずつ登録者数も増えて、活き活きとした姿を見せる泰希の姿を見て由美も喜んで協力しますが、寺井は相変わらず理解しようとはしません。
そんな泰希を理解しようとせず、否定ばかりする寺井に失望した由美は泰希を連れて実家に帰ってしまうのでした。
舞台は再び福山に戻り、佐々木が同級生の女性とデートしている姿を目撃した美月はショックを受け、佐々木の家に鉢を投げてガラスを割ってしまいます。
大晦日になり、家族との喧嘩から自殺しようと車を走らせていたところ、たまたま歩いていた佐々木を轢きそうになり、慌ててブレーキを踏んだ車は脇道を突っ切ってしまいます。
偶然の再会を果たし、佐々木の宿泊するホテルで2人は水への性的趣向によってのお互いに抱えてきた孤独を共有し、美月は喜びのあまりに涙を流すのでした。
『正欲』のあらすじ|美月と平和な日々を過ごしていた佐々木の突然の逮捕
美月以外に孤独を共有できる人間はいないと感じた佐々木は、普通の夫婦だと偽って一緒に生きていこうと結婚指輪を渡し、横浜で2人の不思議な結婚生活がスタートします。
最大の理解者との生活で2人とも以前よりもよく笑い、よく喋るようになりました。
買い物の途中で転んでしまった美月は通りがかった寺井によって助けられます。
落ちてしまったコロッケは旦那さんにあげてと言われた美月は普通の夫婦として自分たちが社会に溶け込んでいる心地がして幸せな気持ちになりました。
佐々木はインターネット上に自分たちと同じ趣味趣向をしている人を発見し、やりとりをするようになり、実際に会うことになりました。
小学校教師の矢田部、大学生の諸橋は公園の噴水で居合わせた子どもたちとともに動画や写真を撮影し、お互いの趣味嗜好を打ち明けて幸せな時間を過ごします。
ですが矢田部は小児性愛者でもあり、児童買春の疑いで逮捕され、公園で子どもたちと映っていた映像や写真から佐々木も小児愛者と疑われてしまい、逮捕されてしまうのでした。
果たして、佐々木と美月はどうなってしまうのか?
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
以上、映画『正欲』のあらすじでした。
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映画『正欲』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画『正欲』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|朝井リョウの同名小説を新垣結衣・稲垣吾郎の豪華共演で映画化
映画『正欲』は『桐島、部活やめるってよ』や『何者』といった代表作が次々と実写映画化され、人気を集める若手人気作家である朝井リョウの同名小説を実写映画化した作品となっています。
水について性的な興奮を覚える特殊な性的嗜好を持つ女性・夏月、そして判事を務め、常識や世間体といった価値観を重んじる寺井という2人の正反対な主人公を描いた作品となっており、監督を務めたのは、『二重生活』や『あゝ、荒野』といった代表作など登場人物の細かな描写に定評の岸善幸監督ですが、映画『正欲』でもその才能が遺憾なく発揮されています。
ストーリーは、夏月が住む広島県福山市、そして、寺井が住む横浜でのシーンが交互に描かれていきます。
管理人
夏月は特殊な性的趣向から家族や職場とも馴染むことが出来ず、孤独な生活を送っていて、唯一学生時代に性的嗜好について共感しあうことが出来た佐々木が横浜から福山に帰ってきたことを知り、心を躍らせます。
夏月を演じたのは、国民的女優と言っても過言ではない確固たる人気を誇る新垣結衣ですが、これまでの正統派ヒロインのイメージからはかけ離れた孤独な主人公を見事に演じています。
特に佐々木と再会した際、これまで打ち明けることが出来なかった自分の孤独を涙ながらに伝えるシーンは必見です。
管理人
一方、横浜では判事の寺井が不登校を続ける息子の泰希に頭を悩ませており、学校には行かず友達とyoutuberになりたいという希望を伝える泰希を否定し続けます。
寺井を演じたのは、SMAPのメンバーとして時代を築いた稲垣吾郎ですが、こちらもハマり役だと思います。
常識を分かち合うことが出来ず社会との疎外感を抱く夏月、そして常識でしか物事を捉えることが出来ない寺井という両極端な二人を交互に描くことによって、観客に果たして常識とは一体何なのかという事を問い続けます。
寺井は息子に対して理解をしようとしないことから家族との関係が崩壊していき、妻と息子は家を出て行ってしまいます。
夏月は佐々木という理解者と出会い、2人で横浜で生活を始め、初めて社会に受け入れられたような気持ちになります。
ですが、佐々木がインターネットで出会った水に性的嗜好を持つグループの内の1人が児童買春で捕まってしまったことから佐々木も疑惑を持たれ、警察に捕まってしまいます。
その事件で判事を担当するのが寺井でバラバラだった夏月と寺井のストーリーが交わっていきます。
佐々木からの水への性的興奮という供述を全く理解することが出来ない寺井でしたが、そんな佐々木に対して理解を示し、「ずっと離れない」と誓う夏月の姿を見て果たして自分が信じてきた世間体や常識という価値観は一体何だったのかと寺井が苦悩するシーンで映画は終わりを迎えます。
映画を通して、いわゆるマイノリティな価値観を持つ人々が社会に生きていくことの難しさや彼らを受け入れる社会を作る事の難しさを感じることが出来ます。
管理人
映画を通して、誰もが生きやすい社会を作るにはどうすれば良いのか考えるきっかけにするのも良いのではないでしょうか。
映画『正欲』のみんなの口コミ評判レビュー
映画『正欲』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「人と違うことがこんなに生きずらいのかと感じた」「もう少しお互いに譲り合って、理解し合えたらよかったのにと思った」「色々な人達を通して自分の思考を広げられる色々感じ取れる作品で満足」「演者も豪華で、新垣結衣、磯村勇斗などいつもテレビでみてる感じとは違って演技力をまじまじと見せつけられた」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★★星5
昨年、映画館で観た日本映画でベストワンです。
日本映画は、社会の隅でひっそりと生きてきた人たちにもこうやって焦点を当てています。
見事な深く、切なく、でも、微かな希望を見つけることのできる素晴らしい作品です。
新垣結衣さんが演じる女性は、まわりの人たちと一緒に居ても孤独を感じてしまいます。
学生時代同級生だった磯村勇斗さんも同じような思いを抱え誰にもそのことを話せずに生きていました。
彼らは引きこもりではありません。
就職し仕事はきちんとやっていますし、友達の結婚式にも出席しています。
その他にも、心の中では孤独を感じながら生きている人々があることで結びついていきます。
彼らとは真逆で、そんな生き方を理解できない代表として稲垣吾郎演じる男性が現れます。
多様性って何だろう、正常って何だろうと考えさせてくれる名作です。
50代女性
★★★★☆星4
朝井リョウの原作小説を実写化した作品で、小説を読んでいた夫に誘われて見に行きました。
私は小説を読んでいませんでしたが、タイトルの”正しい欲”とかいて正欲、の意味が感じられる作品でした。
ジェンダーレスや多様化の意識が広がってる世間ですが、実際に少数派の人たちや特殊な性癖を持った人たちのことをしっかり考えたことは無かったけど、きっとこういう悩み持ってる人達って現実的にいるよなって感じることができました。
なんだか見るまえと見たあとでは自分の中の視野、思考が少し広がった様な気がしました。
演者も豪華で、新垣結衣、磯村勇斗などいつもテレビでみてる感じとは違って演技力をまじまじと見せつけられました。
色々な人達を通して自分の思考を広げられる色々感じ取れる作品で満足しています。
30代女性
★★★★★星5
新垣結衣さんがこういう芝居をするのか?!という、静かなインパクトの残る作品です。
他の誰にも理解されないはず秘密の『欲(性癖・フェチ)』を、他者と共有できたことへのふんわりとした安堵感からの急転直下の地獄のような絶望の落差が凄いです。
人の『多様性』をここまで突き付けられる物語もそうそうあるわけではない、と思います。
自分、もしくは誰かを「こうあるべき」と決めつて枠にはめがちな人の意識、法律からまるでバグのようにはじかれてしまったことの悲劇はたとえようもなく…それを、理解できないから『異常だ』と糾弾する側への恐怖は、これもまたたとえようもありません。
朝井リョウさんの原作もじわじわと恐怖が滲む文章でしたが。
実写化されて、水しぶきのキラキラした美しさが鮮明な分だけ…心にずどんと痛みが走る物語に変容しています。
50代女性
★★★★★星5
この映画を見て「人には表面上には理解できない思いをそれぞれ持っていることを改めて感じさせました。
検察官の寺井はとても真面目で正義感が強いものの、わが子の不登校やYouTubeへの投稿を受け入れられない一面があり、いわゆる一般的な日本人を表していると感じました。
一方で人とは違う性的嗜好を持っていることから鬱屈した気持ちを持ちながら生きながらも、共感できる相手を見つけて生きる夏月と佳道は社会では生きづらくても十分に幸せではと感じさせました。
夏月と佳道が検察官の寺井と向き合うシーンは圧巻でした。
それぞれの役者の皆さんのすごみを感じ、静かな場面でしたが、お互いの生きざまを見せつけられているようでした。
「普通ではない」ことを受け入れがたいと感じる寺井が悪役にも思えてしまう展開もありますが、多くの人は彼らと同じ感覚をまだ持っているのではないでしょうか。
「多様性を受け入れよう」と言われる時代になりましたが、果たしてそれが本当に自分にできるのか問いかけられているような気分になりました。
30代女性
★★★★☆星4
自分が普通だと思っていても、他人の目から普通ではないように見えるというのはなんとも苦しい状態だと思うと、改めて感じさせられました。
いわゆる価値観のズレというものに対し、圧倒的多数のほうに軍配が上がるこの世の中では、マイノリティー勢は生きていくのが辛いものです。
そんなこと言う私でも、この映画に出てくる”水フェチ”という感性はわからないものだし、相変わらずの常識人なのかなと自分を否定してしまいそうにもなりました。
ですが、この映画では「理解はしなくてもいいけど、みんな仲良くやっていこうよ」と呼びかけられているようにも感じ、腫れ物に触るように相手に接するのではなく、そっと見守ることの大切さみたいなのを教えられた気がします。
ちなみに新垣結衣さんの演技に彼女の新境地を見たようで、これからの彼女の活躍に期待したいです。
40代男性
★★★☆☆星3
マイノリティな欲求、状況、環境を持つ人たちというようなのが主題となっているもので当然ながら、ちょっとマニアックというよりは結構本気で理解できないようなレベルでの欲求の対象を持っている人たちが出てくるので共感は難しいのです。
しかし、そもそもとしてなぜ悩んでいるのかというのが結構理解しづらくて、当然その欲求が理解されなかったりとか満たすことができないからこその悩みであり、葛藤なわけですがありそんなもの正常な欲求と呼ばれるものを持っている人でも常に発散できているというわけでもなく、また常に認められているというわけでもないので、苦しむ人もいるだろうが別にそれで普通で生きている人もいるということになるので個人の考え方の範疇というような感じがして、いまいち共感がしずらかった。
30代男性
★★★☆☆星3
今のご時世に面白い題材であるとは思います。
想像を超えるレベルでかなり上手く表現されています。
というよりは涙頂戴とかみんな分かり合えてこそ正しいみたいな軽い主張しているのではなくどうしようもなく業のような欲との向き合い方であったりとか自己を正当化するということの人生に対する利点というか、良さが上手く感じられました。
オムニバス形式みたいな感じで3つの話を連作で見ることでの良さというのがあんまり出てなかったのでその点はやや評価が下がるかなと思います。
当初、というか、最初にこの映画のことを知ってみる前としてのイメージはいわゆる性欲に関する話かなと思ったのですが必ずしもそうではないのが意外ではありました。
20代男性
★★★★★星5
朝井リョウ氏原作を読んだときも衝撃が走り、そして映画化されると聞いたときもかなりの驚きをもって記事を読みました。
あの難しい役どころである女性を新垣結衣さんが演じる、それだけでゾクゾクしていました。
そして映画館で視聴し、最初の死んだ目をしていた彼女が、同じ自分にとっての「正しい欲」を持った人と出会い語り合えわかり合えた後での目の輝きが全く異なり、自信をもって生を全うしているのを見て、私たちは本当に多様性を知っていただろうかと痛感しました。
稲垣吾郎演じる検事と同じように、画一された普通を信じきって、それ以外を排除していたのではないかと自分に問いかけるきっかけにもなりました。
最後のシーンで検事はどこまでわかち合えただろうか、希望があると思いたいです。
40代女性
*映画『正欲』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。