『ケイコ目を澄ませて』がつまらない?原作や実話との違いについても解説【あらすじネタバレや感想評価も】
2022年12月16日公開の映画『ケイコ目を澄ませて』。
映画『ケイコ目を澄ませて』は生まれつき耳が聞こえないケイコがプロボクサーとして生きていく様を描いた実話作品で、耳が聞こえないプロボクサーの小笠原恵子の自伝「負けないで!」を原作に、主演は岸井ゆきのが務めました。
映画作品だけでも多くの賞を取り、第46回日本アカデミー賞では岸井ゆきのが最優秀主演女優賞を受賞しました。
映画『ケイコ 目を澄ませて』の口コミ評判レビューには、
- 難しい役を岸井ゆきのさんが見事に演じていた
- 心打たれる場面が多かった
- リアリティーを追及していた
- 過酷なボクシングシーンも見どころの一つ
- 音が作品の雰囲気を引き立てていると感じれた
- 頑張り続ける主人公が好きな人にはオススメ
- 好調の2022年日本映画の中でも、トップの作品
- まさに画と音の映画
という声が多数集まっています。
- 『ケイコ目を澄ませて』がつまらないとの声はなぜ?
- 『ケイコ目を澄ませて』の原作との違いや実話解説
- 『ケイコ目を澄ませて』のあらすじ
- 『ケイコ目を澄ませて』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
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目次
『ケイコ目を澄ませて』がつまらないとの声はなぜ?
2022年に公開され、その年の映画賞を総ナメにするくらい高評価を受けた『ケイコ目を澄ませて』にも少数ながら、つまらないという声があります。
そこで、そのつまらないという意見とそれに対して考察して行きます。
『ケイコ目を澄ませて』へのつまらないという意見について、こちらの3ポイントから考察します。
- 展開が淡白
- ボクシング描写が少ない
- 説明が少なくて何を伝えたいかわからない
つまらないとの声が上がる理由①展開が淡白
『ケイコ目を澄ませて』は耳が聞こえない主人公・小河恵子が生きる日常を描いた作品です。
同じボクシング映画の名作『ロッキー』のように、落ちこぼれの主人公が再起を賭けて試合に臨んだり、恋人との甘い関係性が描かれたりはしません。
飽くまで淡々とリアリティある空気感で、恵子の日常を描写していくので、退屈に感じる人が一定数いても仕方ない作風かもしれません。
大きな展開は少なく、最後の試合も意外なほどあっさり負けて終わるので「スカッとしない」という声もあると思います。
ただ、展開が少ない分、恵子が日常を過ごす中でぶつかる苦悩や、我々が普段あまり見られていない聴覚障害者のコミニティを繊細に描いています。
そういう意味では、映画だからこそ体感できる普段とは違う世界が描かれているとも言えます。
だからこそ、恵子が日々生きている静寂の世界で苦悩しながらも、最終的にはまたボクシングをするという決断が感情に響いてくるのではないでしょうか。
管理人
ドラマ自体は繊細に巧みに描かれているので、クオリティの問題というよりは、作風が肌に合うか 合わないかという問題かと思います。
つまらないとの声が上がる理由②ボクシング描写が少ない
確かに、『ケイコ目を澄ませて』は、他のボクシング映画と比べると、ボクシングをしているシーンは少ないと言えます。
劇中で描かれる試合は2試合で、その両方ともリングの外からボクサーを映しており、引いた視点でボクシングを捉えている印象です。
描かれるバランスとしては、恵子が生きていく人生の中にボクシングがあるというイメージで、ボ クシングそのものを描いている作品ではないのかなと思います。
管理人
そのため、ボクシングの試合によって手に汗握りたかったという観客には物足りなく感じても仕方ないかもしれません。
映画『ケイコ目を澄ませて』をジャンル分けするとすれば、ボクシング映画よりもヒューマンドラマの色が強いと思います。
純粋に、ボクシングシーンが熱い映画を観たい人には、『ケイコ目を澄ませて』は積極的におす すめすべき作品ではないかもしれません。
つまらないとの声が上がる理由③説明が少なくて何を伝えたいかわからない
『ケイコ目を澄ませて』の主人公・恵子は、耳が聞こえないため、基本的には声を発することはあ りません。
これにより、セリフでのやり取りが通常の映画よりもかなり少なくなっています。
映画内ではセリフに変わって、手話や筆談という視覚的な要素を用いて登場人物たちがコミニュケーションを とっていきます。
そのため、観客は画面から目を離すと、何について話しているか分からなくなるため、集中力が必要なタイプの作品であるのは間違いないです。
映画『ケイコ目を澄ませて』は、観客が集中力を持って鑑賞してくれるだろうという、ある種の信頼を持って作られているので、直接的に何かを説明するシーンもあまりありません。
恵子がなぜボクシングをするのか、辞めたくなるのかも具体的には明示されないまま物語は進行します。
それによって、何を言いたいかわからないと置いてきぼりになる人もいるかもしれません。
ただ、それでも集中を切らさず物語を追っていくことによって、どこかで恵子の感覚と一体化できるような感覚になる瞬間があるはずです。
管理人
以上のように、『ケイコ目を澄ませて』への「つまらない」という意見をまとめてみました。
上記の3点はすべて、映画のクオリティが低いということではなく、飽くまで特徴や作風です。
こういった 特徴を元に自分にとって合うか合わないか判断してから見ると「思っていたものと違っていて、つまらなかった」と感想を抱くことにはならないと思います。
『ケイコ目を澄ませて』の原作との違いや実話解説
映画『ケイコ目を澄ませて』は、2011年に出版された小笠原恵子さんによる自伝本「負けないで!」が原案となっています。
原案という言葉通り、『ケイコ目を澄ませて』はあくまでこちらを元にしたオリジナル作品といってもいいくらいかもしれません。
耳が不自由なプロボクサーという設定は同じですが、原作と比べると4点に違いがあるので解説していきます。
- 時代背景の違い
- 家族構成
- 幼少期と学生時代が描かれない
- 会長の病状とジムの閉鎖
それでは、原作と違う点についてひとつずつ解説していきます。
原作との違い①時代背景の違い
原作「負けないで!」は、実際に小笠原恵子さんがプロデビューした2010年前後のことがメイン に語られていきます。
しかし、映画では2020年12月から3月を舞台にしています。
時代背景の変更については、映画の製作が始まったパンデミックの時期を考慮し、取材や撮影が上手く進まず、中途半端な再現ドラマになる可能性を危惧した三宅監督からの提案だったそうで す。
管理人
小笠原恵子さんの感情の揺らぎは普遍的なものであると捉え、新しい「ケイコ」という人物像を創 造していくことで、原作とは違った芯の強いドラマを目指しました。
結果的に舞台が変わったことで、聴覚障害者が日々の日常生活を送る上でどのようなハンディキャップを抱えているかという表現が、さりげなく描かれるようになったと思います。
耳が聞こえない恵子は、手話と筆談、相手の口の動きを読むなどしてコミュニケーションをとるわけですが、マスクが必須になった世の中だと口の動きが分からずコミュニケーション手段のひとつがなくなってしまいます。
また、恵子のプロ3戦目は無観客試合のリモート中継という形式で開催されます。
これにより、戦いに挑む恵子の孤独と強さがより強調されることになったのではないでしょうか。
映画の作劇という面で、舞台を移したことは大きな効果があったように思います。
管理人
原作との違い②家族構成
原作「負けないで!」では、父、母、恵子、妹という家族構成なのに対して、映画では兄弟が弟に変更され、父親は登場しません。
物理的に、伝記物の完全な再現は不可能のため、不要な誤解を招くことを避けたい思いから、三 宅監督は明かな変更点を作ったとインタビューで語っていますが、その明かな変更点の1つがここだったのでしょう。
ちなみに、小笠原恵子さんの妹も聴覚障害者の方で、母親は妹につきっきりだったそうです。
管理人
また、小笠原さんは健常者と同じ学校、妹は聴覚障害などがある学校に進んだことから、後に小笠原さんが荒れるきっかけを作ってしまったのではないかと母親は考えていたそうです。
母親がボクシングを辞めることを提言するところは、原作と映画で共通する部分ですが、家族との軋轢は映画では大幅にカットされています。
恵子が現在を生きていることで生まれる、感情やドラマを徹底的にリアルに表現をするために、これらの要素は減らしていったのではないかと思います。
原作との違い③幼少期と学生時代が描かれない
原作では、小笠原さんが生まれた当初のエピソードから、プロ3戦目までのおよそ30年間が描かれています。
しかし、映画ではプロ2戦目に臨むところから3戦目が終わったところまでを描いています。
単純に、映画はおよそ2時間という時間の制約があるため、人生のすべてを描くことはできないという判断から、映画ではそのエピソードを重視したという結果だと思います。
考察になりますが、実際の小笠原さんの過去はいじめや非行に走っていた時期もあり、かなり波乱万丈だったために聴覚障害者の苦悩が必要以上に取りざたされることを避けたかったのではないでしょうか。
原作の出版当時よりも今の方が「障害は個性」という考え方が浸透してきました。
小笠原さんの耳が聞こえないと判明した時に、両親が大きなショックを受けたという描写をその まま映画でも描こうとすると、障害に対するマイナスな印象が強くなってしまいます。
ちなみに映画『ケイコ目を澄ませて』は、実際にハンディキャップを背負った方々にも作品を観てもらえるように、バリアフリー上映を積極的に開催していきました。
管理人
聴覚障害者の方にも観て欲しいという想定で作るのであれば、聴覚障害者の方々が過度に胸を痛める描写は避けたかったという判断があったかもしれません。
ただ、この映画で優れているところは、恵子が荒れていた学生時代のエピソードを会長がスポーツライターから受ける取材の場で語るところにあります。
実際に起こった出来事として他者に語らせることで、程よい距離感で感傷的になることを防ぐと共に、観客が恵子に対して抱く印象に想像の余地が生まれて映画が豊かになっていると感じまし た。
原作との違い④会長の病状ジムの閉鎖
映画では、ジムの閉鎖を告げた会長が病の進行により倒れるシーンが終盤に用意されていま す。
しかし、原作では会長は既に目がほとんど見えない存在として恵子を支えており、原作出版当時は存命でジムも活気づいていました。
事実は、小説よりも奇なりとはよく言ったものですが、実際に起こった出来事とは言え「聴覚障害者の主人公が所属しているボクシングジムの会長が、目が見えないながらジムを経営している」というのは、フィクションとして見ると少し要素が多いのを否めません。
ここは、実際の出来事より映画の中のリアリティを優先して、ジムの閉鎖と少しずつ会長の健康面に危険が迫っているという設定に変更したのかもしれません。
管理人
物語の展開としても「お世話になったジムの会長が倒れて、再起を図る主人公」という方が観客としては入り込みやすいはずです。
しかし、少し間違えるとこの展開は安易なお涙頂戴ものになりかねません。
ただ、この映画の良いところは実際に会長が倒れた場面を映像として見せずに、ジムのトレーナーからの連絡で知るという出来事に対して距離感を置いているところです。
そのおかげで、恵子が再びボクシングに熱を入れるためのドラマチックな展開を保ちつつ、静かで繊細な映画の作風を損なうことなく表現できているのではないでしょうか。
以上の4つが原作と映画版の主な違いです。
管理人
原作の「負けないで!」はAmazonや楽天などの通販サイトで販売されているので、気になった方は映画との違いを確認するために、一度手にとってみることをオススメします。
改めて、原作と映画の違いを紹介してみて、小笠原恵子さんと小河恵子の異なる物語だったんだということを実感しました。
ですが、原作と映画の両方に触れてみると、そこから受けた感動や感情の揺らぎ方にそこまで大きな違いはなかったように感じました。
それほど、映画の製作陣が小笠原恵子さんという存在に敬意を払い、違いを明確にした上で、その感情を繊細に映画という表現に落とし込んだ結果だと思います。
原作も映画もどちらも素晴らしい物語なので、気になった方はぜひ両方に触れていただきたいなと思います。
『ケイコ目を澄ませて』のあらすじ
(以下、映画『ケイコ目を澄ませて』のあらすじです。)
『ケイコ目を澄ませて』のあらすじ|プロボクサー・小河恵子の日常
2020年12月、東京都荒川区にて暮らす小河恵子。
黙々と日記を書き留めて、引き締まった背中からどことなくストイックな様子が窺えます。
恵子は2019年にライセンスを取得し、デビュー戦で勝利を収めたプロボクサーです。
サンドバッグを打ち付ける音、縄跳びが床を叩きつける音、練習が行われる最中、様々な音が鳴り響きますが、恵子は全く反応しません。
恵子は生まれつき耳が聞こえない聾者なのでした。
耳が聴こえない恵子に対して、トレーナーの松本は筆談でコミュニケーションをとります。
コンビネーションミットという練習に励む、恵子と松本。
リズムを上手く掴めない恵子でしたが、トレーナーの身振り手振りを交えた丁寧な指導によってコツを少しずつ掴んでいきます。
プロボクサーとしては2戦目の試合に向けて、恵子はストイックに練習に励みます。
しかし、所属するジム・荒川拳闘会は会員の減少に悩まされていました。
『ケイコ目を澄ませて』のあらすじ|泥臭い勝利とボクシングジムの行方
普段はビジネスホテルの職員として働く恵子。
手際よく仕事をこなし、同僚とは手話でコミュニケーションをとるなど、職場に馴染んでいる様子です。
しかし、一歩外に出れば、コンビニ店員と会話が噛み合わなかったり、通行人とぶつかってしまったりと危険と隣合わせです。
ですが、それらが当たり前になっている恵子は気にも留めません。
そうして迎えたプロ2戦目は、なんとか判定勝ちを収めます。
ところが、母親からボクシングをいつまで続けるつもりかと問いかけられ、恵子の気持ちは少しずつ葛藤を抱えていくのでした。
その一方、ボクシングジムの会長は、スポーツライターから取材を受けます。
耳が聞こえないことのハンデと危険性を淡々と答える会長ですが、恵子の人間性について尋ねられると、回答が熱を帯びてきます。
「才能はないが、人間としての器量がある」と恵子を評する会長。
恵子への信頼と愛情を感じさせられます。
しかし、以前から抱えていた健康上の問題が深刻化してきており、会長は荒川拳闘会の閉鎖を本格的に検討し始めます。
『ケイコ目を澄ませて』のあらすじ|ジムは閉鎖、会長は病で倒れる
気力が上がらない恵子はボクシングを休みたいと考えるようになります。
そんな中、荒川拳闘会の閉鎖が正式に決まりました。
発表の場に居合わせていなかった恵子は、松本からの連絡に動揺を隠せません。
ジムの閉鎖は決まったものの、会長とトレーナーの松本と林は懸命に、会員の移籍先を模索します。
恵子は設備が整ったジムへの移籍を打診されて、話を聞きに行きます。
しかし、移籍候補のジムの会長に素っ気ない態度をとります。
それでも、ゆっくり考えたらいいと移籍候補のジムの会長は譲歩してくれました。
こんないい話はないのにと呆れる松本と林。
どこ吹く風といった様子の恵子は、いよいよボクシングを休むことを会長に伝える決心をします。
ところが、ジムで目撃したのは、恵子の試合のビデオを見る会長の姿。
気を取り直し、恵子は涙をこらえながら、会長と一緒にシャドーボクシングをします。
そんな中、会長が倒れて病院に運ばれてしまい少しの間、会長は入院することになります。
プロ3戦目に向けて完全に腹が決まった恵子は、より一層練習に身が入るのでした。
以上、映画『ケイコ目を澄ませて』のあらすじでした。
果たして恵子の試合は一体どうなるのか?
結末が気になる方は、実際に映画を観ることをオススメします。
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『ケイコ目を澄ませて』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画『ケイコ目を澄ませて』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|聾者のボクサーを真摯に描いた、静かで熱いヒューマンドラマ
映画『ケイコ目を澄ませて』は、実在した聾者のボクサー、小笠原恵子さんの自伝本『負けないで』を原案としています。
2020年の舞台を移し、圧倒的なリアリティで聾者のボクサーを体現した岸井ゆきのの演技と三宅唱監督の演出が評価されて、日本最古の映画雑誌キネマ旬報の2022年度日本映画の1位に輝きました。
小河恵子は、耳が聞こえないプロボクサーです。仕事をしながら、ボクシングの練習をストイックに重ねており耳が聞こえないハンディキャップをもろともせずに、デビュー後の最初の2試合は勝利を収めます。
管理人
しかし、母親からいつまでボクシングを続けるつもりかと問われたことをきっかけに、ボクサーとしての今後に迷いが生じ、そこにジムの閉鎖が追い打ちをかけてきます。
ボクシングを休むことを一度は決心した恵子でしたが、会長からの檄もあり、再びボクシングと向き合います。
ところが、以前から体調面で問題を抱えていた会長が病に倒れ、入院することに。負けるわけにはいかなくなった恵子はプロ3戦目の試合に挑みます。
障害がある人物のスポーツを題材にした映画ということで、あからさまに涙を誘うような展開や演出だったらどうしようという心配もありましたが、1人の人間を真摯に描いた静かで熱いヒューマンドラマでした。
耳が聞こえない恵子には、ボクシングをする上でも、日常生活を送る上でも、様々なハンデがあります。
しかし、映画『ケイコ目を澄ませて』ではそれらのことを大袈裟に描かず、恵子にとっては当たり前のこととして描きます。
それゆえに、作品のリアリティが生まれて、展開が進むにつれて、物語にどんどん没入してしまいました。
管理人
主人公を演じた岸井ゆきのさんの演技も圧巻です。実際にボクシングジムトレーナーとしての経験も豊富で、多くのボクシング映画の監修にも関わっている、松浦慎一郎さんとのミット打ちのシーンは思わず見入ってしまいます。
劇中で音楽がかかるシーンはほとんどありませんが、ミット打ちや、縄跳びの音などがリズミカルに環境音として響き、心地よく映画にのめり込ませてくれます。
三宅唱監督の、音楽にも造詣が深いゆえの、そういった繊細な演出も細部まで光っていました。
ジムの会長を演じた三浦友和さんの演技も素晴らしいです。
一挙手一投足に説得力があり、本当にボクシングジムの会長なのではないかと思ってしまいます。
ときに熱く、ときにユーモラスな佇まいの存在感に温かみを感じさせ、恵子について語るインタビューのシーンでは何度見ても涙がこぼれてしまいます。
キネマ旬報の2022年度1位の映画に選ばれたとおり、日本映画史上に残る傑作だと思いました。
管理人
3戦目の試合に臨んだ恵子は、呆気なくKO負けしてしまいます。
ラストに、一区切りついた恵子はいつものランニングコースだった河川敷で物思いに耽っていたところ、対戦相手と偶然再会し、前向きな気持ちを取り戻してトレーニングを再開するのでした。
静かな映画ではありますが、観た人の心に響いてくるような作品です。『ケイコ目を澄ませて』のみんなの口コミ評判レビュー
映画『ケイコ目を澄ませて』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「主人公のケイコ役を演じている岸井ゆきのさんとジムの会長の三浦友和さんの演技は必見」「ボクシングの動きに細部までこだわっているのが伝わってきた」「場人物の人生を深く考えさせらた」「フィルムで撮影されたざらつきのある質感の映像が心に焼き付いた」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★☆星4
「目を澄ませて」というタイトルですが、チケットを買うときに「耳を澄ませて」とうっかり言ってしまいました。
普通は「澄ます」ものは耳ですが、耳の聞こえないケイコは「耳を澄ませて」も仕方がありません。
というわけで「はい」しか、ケイコを演じた岸井ゆきのさんには台詞はありませんが、まさに「目を澄ませ」続けた彼女の存在感に驚きます。
また、ケイコは手話を使うか、文字を使うかでしかコミュニケーションの取りようがないのですが、それ以上にボクシングジムでトレーナーのミットに向かって拳をぶつけるのが彼女のコミュニケーションであるようです。
ボクシングのシーンで編集でごまかすのは、例えば相手の拳が鼻に当たってケイコが鼻血を出すようなときだけでしょう。
ミットの動きに合わせて乱れることなく動くケイコの右腕。これがひとつながりのショットで表現されます。
岸井ゆきのさんはじめ、演じられた俳優たちがどれほど訓練したことかと苦労がしのばれます。
40代男性
★★★★☆星4
この映画は、生まれつき耳が聞こえないケイコがプロボクサーとして生きていく様を描いた作品です。
特に印象に残ったのは、ジムの閉鎖がわかってからのケイコと会長の練習のシーンです。
二人の間にはセリフはもちろんないですが、ケイコと会長の関係性がよくわかるシーンです。
ジムがなくなったら、こうして二人は練習を共にすることもなくなるのかと見ていて切ない気持ちになりました。
セリフがないぶん表情やしぐさで伝わってくるものが多いのがこの作品の良さです。
また、「音」が作品の雰囲気を引き立てていると感じました。
私たちが普段気に留めることもないような、風の音、電車の音、日常の音。
ケイコが感じている世界と健常者が感じている世界を意識させられる作品でした。
30代女性
★★★★☆星4
生まれつき耳が聞こえない主人公である小笠原恵子さんがプロボクサーのテストに合格し、通算3勝1敗の成績を残した実話に基づく映画作品となっています。
見るべき点として、ボクシングの動きに細部までこだわっているのが伝わってくることが挙げられます。
いくら俳優とはいえプロの動き、しかもボクシングを演技するのは至難の技だと考えられます。
さらに加えて主人公は耳が聞こえないため、それも含めた動きをしなくてはなりません。
それらの表現を巧みに演出しているため、手に汗握る展開が続くことになっています。
鑑賞終了時には、こちらまで汗をかいてしまっていました。
ボクシングが好きな人、また、頑張り続ける主人公が好きな人にはオススメすることができる作品となっています。
20代男性
★★★★★星5
好調の2022年日本映画の中でも、トップの作品。というより、日本映画史上に残る名作だと思います。
私は、視覚障害者用の字幕付き上映を観たのですが、それぞれの場面で後ろに流れる音がある時は、人物の心情を表してたり、この後の物語を予感させたりと多くを語ってくれます。
それから人物たちの表情やリアクションが映画をより濃密で繊細なものにしてくれています。
河原で岸井ゆきのさん演じるケイコとボクシングジムのオーナーの三浦友和さんがペットボトルの水を飲み合う、ただそんなシーンを少ないセリフと演技だけで、感慨深い場面に仕上げていきます。
脇役陣もみんな見事だし、そこに魂が込められています。最後にやはり、岸井ゆきのさんの渾身の演技。これは絶対に観るべき作品だと思います。
50代男性
★★★★☆星4
この映画を見た感想は、リアリティーを追及しているなと思いました。
中でも主人公のケイコが悩みを抱えながらもボクシングに取り組んでいいる姿勢は、心が打たれる場面でした。
同時に人間ドラマでも、ケイコとジムの会長のお互いに対する複雑な思いが上手く描かれていたなと思いました。
特にジムを閉鎖しなければいけない状況になった時に、ジムの会長の計らいでケイコの事を受け入れてくれるジムを探していたボクシングジムの人達とのやり取りが印象的でした。
ケイコが本当は会長と一緒にボクシングが一緒にやりたいと言う思いが伝わってきたのが良かったです。
そして過酷なボクシングシーンも見どころの一つです。もう一つの注目するべき点は、演じている役者陣です。
主人公のケイコ役を演じている岸井ゆきのさんとジムの会長の三浦友和さんの演技は必見です。
40代男性
★★★★★星5
『ケイコ 目を澄ませて』は三宅唱監督作品という事もあり、とても楽しみにしていました。
演出はもちろんの事、月永さんの撮影も素晴らしかったです。
フィルムで撮られた暖かさが、映画全体を包み込んでいたと思います。
また、映像だけではなく音も素晴らしかったです。ミットを打つ音、街の雑音、または静寂。そして役者の息遣い。
『ケイコ目を澄ませて』はまさに画と音の映画だと思います。そしてもちろん岸井ゆきのをはじめとする役者陣も良かったです。
台詞は少ないけど、誰かと同じ動きをする事がこんなにも感動するのかと感心しました。
言葉で通じ合えなくても、同じ動きで人と人は分かり合えるのではないかと思いました。
また人の温かさの中にも、移り行く街や人も描かれていて、社会のちょっとした意地悪っぽさもありましたが、主人公のケイコのように強く生きたいと映画館を出た時にそう強く感じました。
30代男性
★★★★★星5
主演の岸井ゆきのさんの演技が好きで、ちょうど飛行機にあったので見ました。
主人公の通うジムのオーナーは数少ない女性で身体的にもハンデがある主人公を大切に扱っていてとても感じのいい人です。
耳が聞こえない分、生活の中で心無い言葉をかけられたり、不便な思いをしたりすることの多い主人公ですが、周りの人達が暖かく視聴者にとっても安心出来る存在です。
途中、通ってるジムが閉鎖してしまい主人公はやりきれなさを感じます。新しいジムを紹介してもらうもあまりピンとこず…。
感動のラスト!という訳ではないですが、主人公たちの毎日がこれからも続いていくことを感じさせる描写が見事でした。
10代女性
★★★★☆星4
聴覚障害を持つボクサーという、とても難しい役どころを岸井ゆきのさんが見事に演じ切っています。
世の中の理不尽や不条理にたくさんぶち当たりながら、それを打開することなんて出来ず、自分の内側に溜まっていくフラストレーションをある時ある瞬間に爆発させるエネルギーがスクリーン越しにも伝わってきます。
特に良いと思うのは、目の演技です。聴覚障害者故に、細かな表情の演技が求められたと思います。
何かを諦めた時の哀しい目、絶対に諦めないという強い目がとても印象的で、映画を見終わった後もいつまでも心に残ります。
映画のタイトルが『ケイコ目を澄ませて』というのもとても良いです。
まさに澄ませるような岸井ゆきのさんの目を何度でも観たい、そんな映画です。
40代女性
*映画『ケイコ目を澄ませて』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。