コクリコ坂からのその後や続編、原作との違いについて徹底解説【あらすじネタバレ感想評価も】

2011年7月16日公開のジブリ映画『コクリコ坂から』。
1980年に連載されていた少女漫画『コクリコ坂から』を原作とした18作目となるジブリの長編アニメーションです。
興行収入は2011年の邦画第1位となる44.6億円で、第35回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞しました。
キャッチコピーは「上を向いて歩こう」で、坂本九の『上を向いて歩こう』が挿入歌として劇中では流れるシーンがあります。
主題歌は『さよならの夏〜コクリコ坂から〜』で、『ゲド戦記』でも主題歌を務めていた手嶌葵が歌っています。
- その後はどうなった?続編についても
- 原作との違いについて解説
- 映画内では解説されていなかった点を原作漫画を交えて解説・考察
- コクリコ坂からのあらすじネタバレ
- コクリコ坂からの感想評価と口コミレビュー
- 主題歌・挿入歌とキャスト・吹き替え声優一覧
目次
「コクリコ坂から」のその後!続編も考察して解説
その後は原作漫画で描かれている
映画でも原作漫画でも海と風間が異母兄妹ではないことが分かったところで終わっています。
しかし、原作漫画では、北斗さんに向けた手紙で1年後のことが数ページだけ描かれています。
主人公の海の手紙で、海本人の進路は書かれていないのですが、風間とは仲良くしている描写があります。
そして、風間はと言うと商船大学へと入学しています。映画内では国立大を目指すと言っていましたが、原作漫画では父親と同じ、船の道へと進んでいます。
妹の空はボーイフレンドに囲まれてご満悦という描写があります。
映画内でそういった描写はありませんでしたがm原作漫画の空通りのイメージといった感じです。
弟の陸は映画内では、まだ小さかったですが、急激に身長が伸びて海を超える身長となっていました。
2人の下宿人も、それぞれOLと教師として就職したことが描かれています。
続編はなさそう。
海と風間の恋の行方は気になるところですが、続編が出る可能性はほぼないでしょう。
原作である漫画も完結していますし、終わり方もほぼ一緒です。
何よりジブリ作品で続編が出ることがないので、『コクリコ坂から』の続編が出ることもないのが予想されます。
コクリコ坂からの映画と原作との違いについて解説
海は好きな人を忘れる為に風間を好きになった
ジブリ映画の『コクリコ坂から』は1980年に連載されていた少女漫画を原作としていますが、原作とはだいぶ話の内容が違います。
そもそもですが、原作漫画の『コクリコ坂から』はジブリで映画化されるまで決して有名とは言えない作品でした。
「なかよし」にて連載されていましたが、不人気の為に6話で打ち切りが決まり8話で完結となっています。
その為、ラストの展開の持っていき方も急展開と言わざる得ないものとなっています。
カルチェラタンの話は映画オリジナル
まず映画と原作漫画の大きな違いは映画では、カルチェラタン存続の話がメインで、それに付随して海と風間の恋が展開していくかたちになっています。
しかし、原作である漫画ではカルチェラタンの話などは一切出てきません。原作漫画では風間や水沼が主体となって学生運動はしているのですが、それは麻雀で負けたお金を取り返す為にやっていることなのです。
しかも、表向きは学生運動ということで他の生徒たちには内緒でやっていることなのでタチが悪いという、かなり不純な動機です。
原作漫画では北斗さんは男性キャラクター
また、海たちの家に下宿している女性の北斗さんですが、原作漫画では男性キャラクターとなっています。そして、この北斗さんが海の好きな人なんですね。
北斗さんが下宿してからの4年間、海は北斗さんに対して片想いをしています。映画では医師設定でしたが、原作漫画では獣医師を志している北斗さんは映画と同じ様に海たちの家である下宿先を出ていくことになります。
海はちょくちょく北斗さんに対してアピールしているものの、北斗さんは海のことを妹のようにしか見ていません。北斗さんも去ろうとしているところに現れたのが風間です。
打ち切りとなって急展開となった為か、海が風間を好きになった理由が北斗さんを忘れる為のようにしか見えない点が原作漫画ではあります。
お爺ちゃんは生きていた!原作漫画には出てこないキャラも映画には登場
お爺ちゃんは生きている
映画では海のお爺ちゃんは亡くなっているように描かれていましたが、原作漫画では生きています。
しかし、お爺ちゃんだけ住んでいる家が違うのです。
ここも原作漫画との違いですが、海の両親が結婚する際に、祖父母たちは反対したので両親2人は駆け落ちしたとなっています。
しかし、原作では、反対したのはお爺ちゃんだけです。
そして、納得できなかったお爺ちゃんが家を出て行っている設定になっています。
小野寺や立花は原作漫画には出てこない
映画では、小野寺が風間の両親が立花であることを明かすことによって、海と風間が兄妹ではないことを確固たる証明となっています。
しかし、原作漫画では小野寺や立花の登場といった話はなく、海のお母さんの説明により2人が兄妹ではないことが分かります。
海の性格が違う
映画内では料理もできたり、しっかり者のキャラクターとなっています。
原作漫画でもしっかり者ではあるものの、ご飯には毎回イワシ料理だったり、下宿代をしっかり取ることなど倹約家なキャラクターとなっています。
また、映画内の海では想像できないですが、原作漫画では誕生日の日をアピールして、下宿先の人たちにプレゼントを買ってくるようになどプレッシャーをかける場面などもあります。
他にも、海のお母さんがアメリカで財布を落として帰れなくなってしまったエピソードなんかもあります。
映画と原作漫画では違いが多くある『コクリコ坂から』ですが、色々な設定を変えたことによって大ヒットが生まれたものだと思います。気になる方は、ぜひ原作の漫画も読んでみてください。
管理人
映画内では解説されていなかった点を原作漫画を交えて解説・考察
コクリコ坂の由来
実在する坂ではありませんが、横浜にある代官坂がコクリコ坂のモデルと言われています。
原作漫画で海と北斗さんが2人で坂を歩いているとき、この坂にはひなしげの花が沢山咲いていました。
フランス語で、ひなしげのことをコクリコと言うことからコクリコ坂となっています。
海は、どうしてメルと呼ばれているの?
学校の友達など親しい人から海は皆んなからメルと呼ばれています。映画内では特に解説などありませんでしたが、原作ではしっかり説明されています。
名付けたのは北斗さんで、コクリコの説明をしている下りで海はフランス語で何て言うのかと聞いたのがキッカケです。
フランス語で「海」を意味する「la mer(ラ メール)」から来たもので海が中一の時から北斗さんが海のことをメルと呼んでいるのです。
信号機の意味|信号機でコミュニケーションをとっている
海が揚げている旗と風間が揚げていた旗が違ったのは気付いたでしょうか?
信号旗だけ意味があって、海が揚げているのは「航海の安全を祈る」で、風間が揚げているのは「ありがとう」と言う意味の信号旗になっています。
しかし、映画公開のポスターでは旗が逆になっていることから、何か意味があるのではないかと話題にもなりました。
コクリコ坂からのあらすじ
(以下、映画「コクリコ坂から」のあらすじです。)
コクリコ坂からのあらすじ|カルチェラタン取り壊し反対の学生運動
松崎海は朝早く起きて下宿先の人たちに朝食を作って、家の庭から国旗の付いた旗を揚げるのが日課でした。
そして、その旗に返すように船から旗を掲げる男子高生がいました。
海は学校に着くと、クラスメイトから学校新聞に海のことではないかと思わせる記事があると言われます。
記事には少女はどうして旗を揚げるのかという詩が書かれていました。
その頃、男子文化部の部室棟となっている「カルチェラタン」が老朽化により取り壊されそうとしていました。
週刊カルチェラタンの編集長でもある風間は生徒会長の水沼と一緒にカルチェラタンの取り壊し反対の学生運動を行なっていました。
海がクラスメイトと昼食をとっていると、カルチェラタン取り壊しの反対運動が始まり、風間は屋上から池に飛び込む伝統の飛び込みで抗議活動をします。
その飛び込みに驚いた海は、池に落ちた風間に手を差し伸べるも写真部に写真を撮られてしまうのでした。
コクリコ坂からのあらすじ|仲を深めていく海と風間
その後、抗議活動が学校新聞の一面にもなり、風間にはファンクラブができるほど有名になっていました。
海の妹である空も風間のファンになっていて飛び込み時の写真を買ったりしていました。
空は飛び込み時の写真に風間のサインが欲しく、姉の海にカルチェラタンまで一緒に付いて来てほしいと誘います。
そして、海と空は2人でカルチェラタンに行き、空は風間からのサインを貰います。
新聞を作る作業をしていた風間でしたが、海は風間が手を怪我していることに気が付きます。その為、海は新聞を作る作業の手伝いをするのでした。
家に帰宅した海は、料理をしようとしますがお肉がないことに気付き、坂下の肉屋まで買いに出掛けようとします。家を出ると部活終わりの風間とすれ違います。
海は風間の自転車の後ろに乗せてもらい、肉屋で送り届けてくれ、さらにコロッケまで奢ってもらうのでした。
コクリコ坂からのあらすじ|海の父親
それから海は風間たちの作る新聞作りの協力をするようになりました。そして、海はカルチェラタン存続の為に、掃除して綺麗にすることを提案します。
海が家に帰ると、空と下宿している北斗さんが風間や水沼について話していました。
近々、医者になる為に海たちの住む下宿先から出て行くことになっている北斗さんから、自分の送別パーティーに風間や水沼を呼ぼうと言い出します。
パーティーに来てくれた風間に海は自分の家を案内します。
海の父親は船乗りでしたが、朝鮮戦争に出た際に命を落としてしまっていました。
そして、父である澤村雄一郎の写真を見せると、風間は驚いた顔をします。
家に帰った風間はアルバムを取り出して、海の家にあった同じ写真を眺めるのでした。
コクリコ坂からのネタバレ含む感想評価と口コミレビュー
(以下、映画「コクリコ坂から」のネタバレを含む感想評価と口コミ評判です。)
ネタバレを含む感想評価|青春したくなるジブリ映画作品
原作である漫画を読んでから、改めて映画を観てみましたが、原作の漫画を大幅に変えたからこその成功した作品かなと思えました。
ジブリらしさがある映画雰囲気に、結末まで海と風間が兄妹なのではないかと思わせる演出にドキドキして見入ってしまいます。
恋愛だけじゃなく、学生運動など当時の雰囲気が伺えるのが原作とは違い良いところでした。
所々に入ってくる挿入歌や、ラストの主題歌が流れるシーンも上手くマッチしていたと思います。
海の告白シーンところも印象深かったのですが、一番印象に残ったのは海のお母さんが風間が父・雄一郎の息子だったら素直に会いたいと言うところですね。
雄一郎の隠し子であったとしても、雄一郎の血が繋がっている息子なら会いたいと言えるところには、亡くなってもまだ雄一郎に対しての気持ちが伺えるシーンでした。
アクションやファンタジーな面もない、ジブリ映画ですが、ふとした瞬間に観たくるジブリ映画です。
口コミレビュー
★★★★☆星4
コクリコ坂からは、宮崎吾朗監督の2作目の作品です。ゲド戦記はみていないのですがコクリコ坂は気になったので見ました!なぜかというと声優が長澤まさみさん、岡田准一さんと他の方々も皆さん豪華です。
ストーリーは青春系の学園ドラマですが、主役の海と俊の運命が気になりました。時代背景も1960年代ということで坂本九さんの上を向いて歩こうがとても合っています。
学生運動という物がよくわかりませんが、学生運動がよく行われていた時代だったのですね。最後までテンポもよくあっという間に見終わってしまいましたが、ラストの展開が大好きでした!
特に徳丸理事長の「エスケープか!」の台詞がたまりません。主題歌も含め劇中流れる曲が全部良いのでそこも含めて観てもらいたい作品です。
30代女性
★★★★☆星4
最初に思ったのは、ジブリの絵ながらジブリらしくない筋書きだな、ということです。らしくないというだけで面白くないという意味ではありません。全くファンタジーの要素がないジプリというのは少なく、思い出してみても数えるほどですが、これはその一つです。
主人公二人が惹かれ合い、しかし一旦は離れ、その後再度ただならぬ関係であることに気付いて近づく。青臭い青春モノと言えばひとことで片付くのでしょうが、現代劇にしなかったのが幸いして違和感無く、また昔の日本人の、良い意味での誠実さがあちこちに現れ、主人公を助けていくところは、見ていて清々しい気持ちになりました。
今の日本人は頭が良すぎて狡猾に過ぎるのではないか、もっとストレートに自分の気持ちに素直に動いてよいのではないか、そんな気持ちになりました。
個人的には、主人公らが助けを求めに行く社長さんがちょうどそういうキャラクターで、仕事を後回しにしてでも子供の言うことを真剣に聞いてやろうとする姿勢をとるところがとても気に入りました。
40代男性
★★★★☆星4
50年ほど前のお話ですが、人間の根本はあまり変わっていないかもと思わせられます。海と俊は劇的に出会って以降、親交を深めますが、兄妹かもという事実が浮かび上がり、ハラハラドキドキさせられます。
実際は親友同士の子だということで、ほっとしました。親同士が仲良しなので、気が合うのかもしれないですね。戦後ほどない時期の設定なので、今と比べれば娯楽どころではないのでしょうが、支え合って生きる様子に胸を打たれます。
俊は父の友に育てられたわけで、実の親ではないのにしっかり育っていて、立派な人に巡り合えて良かったなと思います。こういう場合、カミングアウトの方法が難しいでしょうが、わだかまりなく受け止められていますね。
40代女性
★★★★☆星4
一言で言うと、昭和と今の時代との違いが様々な角度で見えてくる作品です。昭和のどこか懐かしい風景と共に流れる物語。舞台は横浜の港町、理不尽な大人と戦う個性溢れる中学生が物語の中心です。
主人公のメルの日常を軸に学生運動や青春の葛藤が描かれています。今の時代を生き抜く私たちとはまた違った迷い、不安、怒りがあり、いつの時代も変わらない人とのつながり、喜びが作中で物語を盛り上げます。
最初は敵対していた学生諸君が、いつのまにか一致団結して、一つのことを成し遂げるのは、やり方や考え方は違えど、昭和も今の時期も変わりないことだと感じました。大人になるにつれて忘れてしまった、見ないようにしてしまった、学生の頃の熱い気持ちを思い出させてくれる作品ではないでしょうか。
買い物からコロッケを食べながら帰るシーンが私の中でとても印象深いのは、きっと岡田准一さん演じる風間俊がメルに差し出す時に放つ一言の言い方、声がハマりすぎでいるからでしょう。
20代女性
*映画「コクリコ坂から」のみんなの口コミ評判レビューは当サイトが独自で集めたコンテンツです。引用の際は必ず引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。
主題歌・挿入歌とキャスト・吹き替え声優一覧
主題歌・挿入歌
主題歌は手嶌葵の歌う『さよならの夏〜コクリコ坂から〜』です。『ゲド戦記』でも主題歌を務めた経験もあり、ジブリで主題歌を務めたのは今作で2度目となりました。
また、主題歌の『さよならの夏』は1976年の森山良子のカバー曲となっています。手嶌葵の方は多少ジブリっぽさがアレンジされていたり、歌声も違うので、森山良子の『さよならの夏』はまた違う感じの雰囲気な曲になっています。
手嶌葵は、この他にも、『朝ごはんの歌』『初恋の頃』『紺色のうねりが』の挿入歌も歌っています。
また、挿入歌として坂本九の『上を向いて歩こう』も劇中で流れます。
キャスト・吹き替え声優一覧
松崎海 |日本語吹き替え声優-長澤まさみ
風間俊 |日本語吹き替え声優-岡田准一
松崎花|日本語吹き替え声優-竹下景子
松崎空|日本語吹き替え声優-白石晴香
風間明雄|日本語吹き替え声優-大森南朋
北斗美樹|日本語吹き替え声優-石田ゆり子
広小路幸子|日本語吹き替え声優-柊瑠美
徳丸理事長|日本語吹き替え声優-香川照之
悠子|日本語吹き替え声優-手嶌葵
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