もののけ姫に登場する白いやつ(こだま)の正体やその後について考察!海外の反応はグロいとの評価について

1997年7月12日公開の『もののけ姫』。
興行収入193億円(再上映されて現在の興行収入は201億円)を記録して、それまでの歴代興行収入1位であった『E.T』を抜いて、日本映画の歴代興行収入1位となりました。
この記録は、翌年公開された『タイタニック』に抜かれるも、第21回日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞しました。
『もののけ姫』の口コミ評判レビューには、
- 一度ではなく何度見てもその都度違う発見がある
- 鑑賞し終わった後の余韻と充実感が半端ない
- 現代社会にもサンのような自然の声に耳を傾ける人物が必要だと思った
- ジブリ作品だが、子供が観るには少しグロいかもしれない
- 敵味方や善悪の別がほとんどないのもジブリらしく素晴らしい部分
- 歳を重ねるにつれて作品の奥深さを感じれる作品
- 正義と悪が存在しなく、対立する姿は考えさせられた
- ジブリの中で、セル画で作られた最後の作品であってアニメーションが素晴らしい
という声が多数集まっています。
- 白いやつ(こだま)の正体を解説
- グロいシーンもあり、ジブリ作品だが大人向けかも
- もののけ姫のネタバレ含む感想評価と口コミ評判レビュー
- 『もののけ姫』の海外の反応について
- もののけ姫のあらすじ
- 『もののけ姫』のその後について考察
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目次
映画『もののけ姫』に出てくる白いやつ(こだま)の正体は霊
こだま|日本では遥か昔から樹木崇拝が存在
『もののけ姫』の幻想的な世界には、独特のキャラクターが多数登場しました。なかでも一番謎に包まれていたのが、白い姿をしている「こだま」の存在ではないでしょうか。
その「こだま」の正体について考察してみたいと思います。
まず、こだまの表記は漢字で書くと「木霊」となります(「木魂」・「谺」とも書く)。読んで字のごとく、樹木の精霊です。
もともと日本では遥か昔から樹木崇拝が存在し、「古事記」や「日本書記」、「延喜式」における神話の記述に既に「ククノチ」という木の精が登場していました。
源氏物語、徒然草では妖怪の類と見なされており、沖縄の伝承のキジムナーもそれに近い存在です。また、山や谷で声や音が反響する現象のことを山彦・こだまと呼ぶのは、それが山や木の精霊が応えているものと考えられてきたからです。
このように日本では昔から馴染み深い存在でもあり、我々も各種の作品や言い伝え等で聞き覚えがあるのではないでしょうか?
こだまは森の生命を擬人化した役割
「もののけ姫」内では、こだまのことをアシタカが「好きにさせておけば悪さはしない。森が豊かな印だ。」と語るように、森の生命を擬人化した役割を担っています。
特に、デイダラボッチが暴走してシシ神の森が壊滅状態となる場面では、生命を失い雨のように振り落ちるコダマの映像が、より悲惨さを強調していました。
とらえどころがなく、負傷者を背負うアシタカの真似をして仲間内でおんぶをしたり、アシタカを道案内したり、といった愛くるしい姿を見た後だけに、その大量死は非常にショッキングでありました。
また、そのキャラクターデザインは、森にいる不可視の存在を感知できるという制作スタッフの手によるものだそうです。
実際に、シシ神の森のモデルとなった屋久島の「木霊の森」では、写真にこだまのような白い何者かが写るともいわれています。(高温多湿の場所ゆえに、水の粒子が光に反射しているのが真相)
最後に残ったこだまがトトロに変化する!?
アシタカがすでにこだまの存在を知っていて、エミシの村では自然と人間の共存が図られていたことをうかがわせるのに対し、甲六(アシタカが助けた負傷者)が「こいつらがシシ神を呼ぶんだ。」と恐れているのも、双方の立場を明確に表現していました。
最後に一体だけ登場した生き残りのこだまは、大木が消え新芽だけになってしまった森の象徴です。
これから遥かな時間をかけてその数を増やし再生していくのか、それともあっという間に消滅させてしまうのかは人間次第ということでしょう。
「もののけ姫」のこだまは、日本人が慣れ親しんだ言い伝えの木の精霊、ということになりますが、宮崎監督は「もののけ姫はこうして生まれた」内のインタビューで、最後に残ったこだまがトトロに変化する、とも冗談まじりに述べています。
「となりのトトロ」もまた、自然崇拝の世界観を持った作品であり、トトロの存在も超自然的なもの。2つの作品が意外なところでつながっていたとしても、不思議ではありません。
映画『もののけ姫』にはグロいシーンもある!ジブリ作品だが大人向けである理由/ネタバレ含む感想評価と口コミ評判レビュー
(以下、映画「もののけ姫のネタバレ含む感想評価と口コミ評判です。)
ネタバレ注意!感想評価|人間ともののけの対立を描くメッセージ性ある映画
もののけと人間が共存か闘いどちらを選ぶかを色々な登場人物の視点から描いている作品。相反する二つの種族が生き残る為に闘う姿は切なさや生きることを考えさせられる内容になっています。
その中立的な存在であるサン・アシタカの種族を越えた愛や絆には感動できるところです。作品全体として神秘的な印象が強く、こだまや山犬など現実世界とは駆け離れた存在であるもののけがリアルに表現されています。
ラストではシシ神が人間の暴挙の為に荒ぶる神となり人間、もののけ、自然全てを壊していくシーンは圧巻です。シシ神が自分勝手な理由で調和を乱す人間へ制裁を加えるシーンでは、作り手が現代人に対しても様々なメッセージを伝えていると感じました。
また、子供が見るにはグロいシーンもあり抵抗あるかもしれません。しかし、痛みや苦しみの中で出会いがあり、アシタカと出会うことによりサンの心が変わっていく姿を見ていると、人はこうして成長していくんだなと実感させられます。
ネタバレ含む口コミ評判レビュー「ジブリアニメの中でも異彩を放つ作品」「深く考えさせられる作品」
『もののけ姫』の口コミ評判レビューには、「子供の頃はグロいところもあり、また見たいとは思いませんでしたが、年齢を重ねてみると深く考えさせられると気付ける作品です」「文化や森そのものの畏れの描き方は何度見ても感服」「時代背景、公開されたのも昔ですが、現代社会を表している映画」「世界観に夢中になって、何度でも見たくなる作品」という評判が多い印象です。
★★★★★星5
『もののけ姫』はジブリアニメの中でも異彩を放つ作品と言えます。「アニメーションは子どもの為のもの」と宮崎駿は常に意識してきた部分ではあるが…あまりに大人向けのストーリーです。グロいシーンや緻密な描写、演出などがそうです。
でも、子どもは子どもながらに楽しめば良いと感じますし、大人は大人で教養や知識を持って見なくてはいけない作品がジブリアニメーションだと感じます。
もののけ姫はタイトルがそうさせる様に、サンが主人公だと思われがちですが、当初は「アシタカせっ記」というタイトルになる予定であり「アシタカ」が主人公の映画です。アシタカが死と共存し己の道を切り開く姿は誠に美しく、気高い存在に感じるものであります。
30代男性
★★★★★星5
もののけ姫は舞台を室町時代としていますが、現代の社会でも同じ事が起こっているという印象を受けました。自分たちの利益を追求するばかりで、自然を壊し、生き物たちの住処を奪ってしまっている様子が現代と通じていると思います。
作中では神々を自分のものにしようとし、森を枯らし村を壊してしまいます。いつか現代の社会でも同じ事が起こるのではないでしょうか。自分たちの生活のことばかり考えるのではなく、自然環境を保護し、バランスの取れた活動が未来の地球の保全につながると思います。
サンは自然とともに力強く生きており大変好きなキャラクターです。自然の声に耳を傾ける姿はとても印象深く残っています。現代社会にもサンのような人物が必要であると思います。
20代女性
★★★★★星5
「もののけ姫」は宮崎駿監督が描いたジブリ作品の中でも、特に訴えるものが明確で強い作品です。
また、もののけ姫はジブリ作品の中でも少し大人向けの映画で、小さいお子様がいたりするところには向かないと思いました。人の首が飛ぶグロいシーンや動物が祟られるシーンに関しては子供には良くないと思ったからです。
この物語は自然を率いるヒロインのサンと、人間を率いるエボシの戦いに、人間ながら自然の尊さを理解し、尚共存の道を模索し奔走するアシタカの物語だと私は解釈しました。
工業化が進み森が減り、結果として地球温暖化が進んでいく結果になることを、この作品が出た時点で宮崎駿監督は示唆していたのやもしれません。
私は森の代表格、つまり王者といえば熊を連想しましたが、あえて山犬という元は人間の手で持ち込まれ野に放たれた生き物を使い、鹿や猪といった野生動物との共闘を描いたのではと想像させます。
恋愛物語としても挙げられますが、私としては自然の尊さや人間のおぞましさや欲深さ、共存の可能性を深く考えさせられる作品だと、大人になり改めて感じました。
20代男性
★★★★★星5
ジブリ作品で一番好きなのが『もののけ姫』です。初めて子供のころに観たときは、グロいシーンなど正直こわい印象が強く、あまり好きではありませんでした。それでも毎年のように観る機会があり、歳を重ねるにつれて作品の奥深さにのめり込むようになりました。
言わずもがな『もののけ姫』の中にはさまざまな問題提起や歴史や文化が詰め込まれ、調べれば調べるほど知識が身につき、その事柄に想いを馳せるようになります。またジブリの中で、セル画で作られた最後の作品ということもあり、絵の細部にまでスタジオジブリの方たちの魂が感じられるのも特徴の1つです。
キャラクターについても誰も彼も魅力的で、アシタカやサンだけでなく、あの時代に女でありながら強くかっこいいエボシに飄々としたジコ坊、そしてなにも語らずともわたしたちの心を捕らえたコダマたち。敵味方や善悪の別がほとんどないのもジブリらしく素晴らしい部分だと思います。
2020年に映画館での再上映を観た際には、オープニングのタイトル表記とアシタカせっ記の曲だけで涙が溢れそうになるほど感動しました。生と死と再生をこれほどまでに強く美しく生々しく描いたアニメは後にも先にもないのではないでしょうか。
30代女性
*映画「もののけ姫」のみんなの口コミ評判レビューは当サイトが独自で集めたコンテンツです。引用の際は必ず引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。
映画『もののけ姫』の海外の反応は圧倒的な高評価
海外でも人気なジブリですが、『もののけ姫』の評価などは一体どんなものなのでしょうか。
日本では、DVDレンタルしないと視聴できないジブリ作品ですが、日本・アメリカ・カナダ以外の動画配信大手Netflixではジブリ作品を視聴することが可能です。
イギリスの大手紙ガーディアンではジブリ作品の評価で、1位に輝いたのは『もののけ姫』でした。また、アメリカAmazonのレビューでも星4.8とかなりの高評価となっています。
一部ですが、レビューサイトに載っていた『もののけ姫』の評価を翻訳しました。映画の評価の高さや、考えさせられるといったレビューから、グロい部分もあり、子供向けではないなど様々な海外の反応がありました。
海外の反応①
海外の反応②
人間側が悪い、自然側が良いなどの区別はここでは付けられません。エボシのやり方は完璧ではなかったかもしれません。しかし、エボシの行動は立派で、エボシは捨てられた人たちの社会を上手く作り守っていました。不純な動機もなく、エボシは皆んなから慕われていました。
また、森の神たちも完璧ではありませんでした。彼らは人間を思いやることなく、人間と同じようにお互いを憎しみ合いました。人間と森の神たちの間に立ち、調和するアシタカの姿には感動しました。
海外の反応③
アニメーション、ストーリー、声優と全てが一流です。この映画を何回見ただろうか。何回見ても変わらず好きな作品です。ただ、グロいシーンもあるので子供には向かないかもしれません。
海外の反応④
『もののけ姫』はキャラクター、ストーリーともに、とても優れています。私だけでなく、子供たちも好きで、家族は宮崎駿のファンです。この映画を見終わったとき、誰もが自然をより愛せるようになっているでしょう。
海外の反応⑤
いろんな人にオススメできる映画です。音楽の良さは頭にずっと残っています。このアニメの完成度に、どれだけ情熱を注いで制作されたのか伺えます。スタジオジブリの1番のお気に入り映画です。
海外の反応⑥
ジブリ最高の映画!物語、音楽と共に素晴らしく、幻想的な世界に引き込まれました。自然と人間の対立は現代についても考えさせられるもので、お互いの特徴をよく掴んでいると感じさせられます。戦闘などグロい部分もあり、子供向けではないものの、ジブリ映画の素晴らしさが伝わります。
海外の反応⑦
この物語に正義や悪はありません。アシタカとモノノケはどちらも主人公であり、どちらも正しいことだと思います。唯一の悪役は憎しみと無知です。自然と人間、双方の立場に立って考えることがいかに難しい問題であることを感じさせられます。
海外の反応⑧
アシタカやサンが注目されがちですが、私が一番好きなキャラクターはエボシです。彼女は女性を支援し、ハンセン病患者などを受け入れて仕事を与えています。森のことを考えると難しい問題ですが、エボシの行動は人々を発展させる行動です。
映画『もののけ姫』のあらすじ
(以下、映画「もののけ姫」のあらすじです。)
もののけ姫のあらすじ|タタリ神の襲来
かつてこの国が深い森に覆われ、太古の神々が棲んでいた時代。
ある日、エミシ(蝦夷)の末裔の村に住むアシタカは山の異変を察知し、村人を避難させます。矢倉に登って様子をうかがうと、異形のものが山から下りてきました。
それは、イノシシの神が負の感情により変化した、タタリ神と呼ばれるものでした。タタリ神はそのまま村へ向かって突き進んでいきます。
村の危機を救うため、アシタカは呪われることを承知で、弓を射ってタタリ神の命を奪います。そして、タタリ神に掴まれたアシタカの右腕は呪いで汚染されてしまいました。
村の巫女ヒイ様によると、呪いによるアザはいずれアシタカを死に至らしめる、ということです。
さらにヒイ様はタタリ神の体から出てきたつぶてを見せ、イノシシの神は西の国でつぶてによる重傷を負い、逃走する間に呪いを集めてタタリ神となってしまったことを話します。
また、その地へ行って、何が起きているのか曇りなき眼で見据えれば、呪いを解く手がかりが得られるかもしれないことを説明します。
アシタカは座して死を待つよりも、呪いを解く術を見つけようと、相棒であるアカシシのヤックルに乗って西の国へ旅立つことにしました。出発に際し、呪われた者の見送りは禁忌であるにもかかわらず、許婚のカヤは黒曜石の小刀をアシタカに渡します。
もののけ姫のあらすじ|シシ神の森
アシタカは道中、戦に巻き込まれ、地侍に襲われますが、弓で返り討ちにします。村に立ち寄ると、地侍を倒したことに感謝するジコ坊なる男が接触してきました。
ジコ坊につぶてを見せ、何か知っていることはないか尋ねると、「獣たちが太古の姿のまま生きているシシ神の森に行けば何かわかるかもしれない」と答えます。
翌朝、アシタカは1人でシシ神の森へと向かいました。
森では石火矢(火縄銃のような武器)で武装した一団が山犬を倒そうとしています。山犬の体当たりにより、一団の何人かは谷へと突き落とされていました。
偶然そこへ通りかかったアシタカは、その負傷者を救助します。さらにアシタカは、石火矢によって傷を負った山犬の手当てをする人間の少女を見かけます。
アシタカが近づいて名を名乗るも、その少女は一言「去れ」とだけ声を発し、姿を消しました。
山には森の精霊のコダマ(木霊)が多数いて、負傷者を運ぶアシタカを道案内するかのように誘導していきます。やがて彼らは、コダマの母である立派な木のもとへと着きました。
アシタカが辺りを見回すと、遠くに不思議な生物の群れが見えます。すると、突然右手が暴れ出しましたが、泉の水の中に入れると静まりました。
その後はなぜか体が軽くなったばかりか、負傷者の具合も良くなり、彼らが住んでいる村まで連れ帰ることができました。
もののけ姫のあらすじ|たたら場の人々
着いた村は製鉄をおこなう「たたら場」であり、その作りはまるで城郭都市のように立派なものでした。命を落としたものと思われていた者が戻ったことで、村は喜びに包まれ、アシタカも歓待を受けます。
通常、たたら場は女人禁制なのですが、そこでは指導者となるエボシを始めとして、たくさんの女たちが働いていました。
エボシは行き場のない女や、見放された病人たちを引き取って保護し、仕事を与えていたのです。そして、得られた鉄で石火矢を作り、略奪者から身を守っていました。
また、彼らが開拓した場所は山の神々から奪った土地でもあるため、それを取り戻そうとする獣の神たちとも戦いを繰り広げているようでした。
村人から、山の主たる大イノシシ(ナゴの守)を石火矢で狩ったという話を聞き、アシタカは顔を強張らせます。ナゴの守を傷つけ、タタリ神へと変えさせた犯人はここの村人たちだったのです。
指導者エボシもまた、アシタカの見せたつぶてを自分たちのものだと認めます。ナゴの守の呪いがかかったアシタカの右腕は、それを聞き暴走寸前でした。
しかし、病に冒された村長をはじめ、多くの村人はエボシを庇います。確かにエボシはシシ神の山を破壊して神々の怒りを買っていますが、それは人々の生活のためでもありました。
エボシはまた、山に棲む神やもののけたちの中には「もののけ姫」と呼ばれる、山犬に育てられた人間の少女もいることを語りますが、いずれにしろ、敵対するものは全滅させるつもりでした。
以上、「もののけ姫」のあらすじでした。
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映画『もののけ姫』のその後について考察
含みを持ったラストシーン
ラストシーンにおいて再会を約束しつつも、それぞれ別の道を生きることになったアシタカとサン。
その後の2人はどうなったのでしょうか。まず、劇中での2人の関係を整理してみましょう。
最初にアシタカと出会ったサンは人間である彼を拒絶していました。自分のことを助けてもらっても感謝するどころか「なぜ邪魔をした」と食ってかかっています。
それが、「生きろ。そなたは美しい。」との言葉に動揺し、シシ神もまたアシタカを助けたことで、段々と心を開き、人間と森の共存を本気で考える姿勢を認め、行動をともにするようになりました。
ただし、最終的にサンは「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない。」と語り、アシタカは「それでもいい。サンは森で、私はたたら場で暮らそう。共に生きよう。」と答え、それぞれの生活を選択しました。
描かれなかったラストシーンの真実の絵コンテ集
実は、劇中では描かれませんでしたが、後に公開された絵コンテ集では、そのセリフの前にアシタカがサンにプロポーズをしているのです。
そこで敢えて作中に男女関係を持ち込まず、安易なハッピーエンドにしなかったことで、作品のテーマ性に筋を通した結末となりました。宮崎監督は後のインタビューで、アシタカとサンはその後も良好な関係を続け、頻繁に会っている旨の発言をしています。
アシタカにはこの先大変な試練が待っている
そこで重要なのは、アシタカにはこの先大変な試練が待っているという監督の見解です。
山は平和になっても、人間が生きている限り自然破壊は免れ得ず、自然と人間がどこで折り合いをつけるか、という問題は常についてまわるのです。
アシタカは今後、山を守るサンと山を開発したいたたら場の板ばさみになって苦しむことでしょう。そして、それでも両方の立場を尊重し、傷つきながら生きていくのです。
しかし、それはまさしく今を生きる人類の姿でもあるのです。
歴史的な視点で見ると、映画の時代設定は室町時代後期と推察されますが、間もなく混乱の戦国時代が到来するわけで、やはりその先は明るいとは思えません。
それでも、この映画の主題は「生きろ」です。たたら場が壊滅したことで甲六は「何もかもおしめえだ」と絶望しますが、妻のトキは「生きてりゃ何とかなる!」と力強く励ましました。
アシタカとサンの未来を想像するとき、やはり我々は作品から勇気をもらうものであります。
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