ナイトメア・アリー|あらすじネタバレを考察して原作小説は実話が基なのか徹底解説!リリスがスタンに近付いた理由とは
2022年3月25日、日本公開の映画『ナイトメア・アリー』。
「ナイトメア・アリー 悪夢小路」の原作小説を映画化した今作の『ナイトメア・アリー』。
ですが、この原作小説は、1947年にも『悪魔の往く町』というタイトル名で映画化されており、2度目の映画化作品となっています。
監督は『パシフィック・リム』や『シェイプ・オブ・ウォーター』を手掛けたギレルモ・デル・トロ。
映画『ナイトメア・アリー』の口コミ評判レビューには、
- 主人公が闇に落ちて行って、それが面白かった
- 全体的に淡々と進むノワール映画
- 怪しい雰囲気や美術はさすがデル・トロ監督といったところ
- ラストのオチは途中で予想がつく感じ
- 重苦しい気持ちになりつつも満足できた映画
- 原作も読みたくなった
- 世の中の因果応報を感じた
- 怖さが続くなんともぞわぞわする作品
という声が多数集まっています。
- 映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ
- 映画『ナイトメア・アリー』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
- 映画『ナイトメア・アリー』の考察解説
- 原作小説は実話をもとにしたものなのか
- リリスがスタンに近付いた理由について
もし、まだあなたが一度も「ナイトメア・アリー」を観ていないなら、まずはネタバレとあらすじ・感想評判の前に作品を観ておくことをおすすめします。
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目次
『ナイトメア・アリー』のあらすじ
(以下、映画「ナイトメア・アリー」のあらすじです。)
『ナイトメア・アリー』のあらすじ|見世物小屋との出会い
主人公スタンは、生まれ育った田舎の実家を死体と一緒に燃やします。
そして、バスに乗り込むと、終点近くのバス停で小人病の男が入っていくのを見つけ、好奇心から見世物小屋に行きました。
大勢の観客の中、興行主であるクレムは声を張り上げて、獣人(ギーク)の餌やりを25セントで見ることができると宣伝します。
スタンは見物をしましたが、25セントを払わずに会場の奥へと移動するとクレムに見つかり、小屋の撤去の手伝いを命じられます。
その後、次の会場での宿と食事を出すことを条件にラジオをクレムに売る事になり、スタンはクレムたちと同行することになりました。
旅の途中でギークが逃げ出してしまい、スタンとクレムは屋敷の隅に隠れるギークを見つけます。
どうにかスタンはギークを檻に入れることに成功しましたが、石で殴られ負傷してしまいました。
クレムはスタンに身体を休めるように伝え、見世物小屋で働く提案をし、スタンもそれを受け入れました。
見世物小屋で働くことになったスタンはピートとジーナという中年夫婦が行う「読心術」のショーを手伝うことになりました。
『ナイトメア・アリー』のあらすじ|読心術の習得
酒浸りのピートはショーの途中で眠ってしまったため、ジーナは咄嗟の機転を利かし、お客の身近な故人を降霊させるショーに切り替え、会場に大きな感動を与えました。
その後、ジーナはお客にあくまで事実では無くショーだと伝えます。ショーに感動したスタンはピートに読心術を教わることになりました。
ある日の晩、ギークの容態が悪化し、クレムとスタンは教会に放り捨てて帰りました。
クレムの情報によると、ギークの作り方は簡単で、悪魔の小路(ナイトメアアリー)に迷い込んだ者に一時的にギークになることを提案し、酒を与え続けて働かせ続ければ良いとのことでした。
ショーでの失敗以来、酒を控えていたピートでしたがついに我慢の限界を迎え、スタンに酒を頼み、大量にアルコールを摂取してしまい、次の日の朝に亡くなってしまいました。
生前ピートが封印したという危険な技が載ったメモを見つけたピート。
好意を寄せていた電流ショーの使い手である女性・モリーと一緒に見世物小屋を去り、2人で読心術を使ったショーを行うことを決めました。
『ナイトメア・アリー』のあらすじ|スタンの悪しき野望
2年後、スタンのショーはチケットが毎回完売するほど大成功しておりました。
ある日のショーに来たリリスという心理学者から読心術が嘘だと主張されますが、咄嗟の機転でリリスの鞄の中身を銃だと言い当てて、観客から拍手喝采を浴びました。
ショーの後、リリスから自分を仕向けたのは息子を亡くしたキンブール判事夫妻だと聞ききます。
そこで、リリスからもらった情報をもとにスタンは夫婦の前で降霊ショーを披露し、たくさんの礼金を貰いました。
もはや詐欺師と化しているスタンに対しアシスタントのモリーは、降霊ショーを辞めるようにお願いします。
しかし、リリスと組んで大富豪を騙し大金を得ようとしているスタンは聞く耳を持ちませんでした。
スタンを信頼したキンブール判事は有数の資産家であり、妻のドリーを流産で亡くした過去を持つグリンドルを紹介します。
スタンはキンブール判事からの礼金を預け、リリスに協力をお願いしますが、グリンドルは危険だから辞めるべきだと忠告します。
以上、「ナイトメア・アリー」のあらすじでした。
果たして、スタンの行く末はどうなってしまうのか?
結末が気になる方は実際に映画を観る事をオススメ致します。
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映画『ナイトメア・アリー』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画「ナイトメア・アリー」の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|ギレルモ・デル・トロらしいダークな映像で綴られた男の数奇な人生
グリンドルの屋敷に招かれたスタンはウソ発見器にかけられますが、なんとか切り抜けることに成功し、グリンドルの信用を得たスタンは大金を受け取るようになりました。
リリスの協力を得られないスタンは彼女のオフィスに進入し、グリンドルの情報を盗み、亡き妻ドリーがモリーと雰囲気が似ていることに気付きました。
ドリーの降霊を催促するグリンドルに対し、亡き妻・ドリーが眠る墓場でドリーに扮したモリーを登場させますが、グリンドルは嘘を見破り逆上し、モリ―に殴りかかりました。
スタンは咄嗟にグリンドルを殴り殺し、グリンドルの側近も車で轢き殺しました。この行動に、スタンを見損なったモリーは彼の元から離れていきました。
スタンはリリスのオフィスに行き、預けていたお金を出金しようとしますが全てリリスによって1ドルにすり替えられていました。
挙句の果てに強盗犯扱いを受け、逃亡することになりました。
貨物列車で逃げる道中、スタンは亡き父親の夢を見ました。
幼少期に父親からひどい扱いを受けたスタンは、病気になった父親を凍死させ、実家と一緒に燃やし、見世物小屋で働くことになりました。
逃亡生活が続き、酒浸りとなったスタンに見世物小屋のオーナーが一時的にギークになることを提案します。
その手口は、かつてクレムが教えてくれたものと全く一緒で自分の皮肉な運命をスタンは受け入れ、微笑むのでした。
本作『ナイトメア・アリー』は、ウィリアム・グレシャムの同名小説を実写映画化した作品で今回が1947年の作品に続き、二度目の映画となります。
管理人
メガホンをとったのは、鬼才ギレルモ・デル・トロ監督で『パンズ・ラビリンス』に代表されるようにダークファンタジーな世界観と映像演出が魅力的な監督となっております。
近年では映像だけでなく、作品の完成度も評価されており、2017年の監督作『シェイプ・オブ・ウォーター』はアカデミー賞の作品賞を受賞するなど高く評価されております。
そんな監督の最新作である本作は、見世物小屋を舞台としたダークな雰囲気とまるでグリム童話のような因果応報のストーリー展開となっています。
デル・トロ監督の魅力が詰まった作品ですね。
管理人
主人公のスタンを演じたのはその演技力の高さでこれまでにアカデミー主演男優賞に3度ノミネートされた経験もあるブラッドリー・クーパーです。
ひどい幼少期の象徴であった実家と父親を燃やし、成功を納めた後にギークとしての最後を迎える男の皮肉な人生を見事に演じておりました。
見世物小屋を舞台としているため、グロテスクな描写もありますので刺激が強い映像が苦手な方は注意が必要です。
ホラー映画が好きな方やダークなファンタジーが好きな方にぜひオススメしたい作品となっております。『ナイトメア・アリー』のみんなの口コミ評判レビュー
映画『ナイトメア・アリー』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「ミステリーが好きな方はハマると思う」「見終わった後は病みつきになるような感覚を味わえる」「異世界感がすごく、のめり込んで見れた」「後味の悪い映画」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★☆星4
この作品は、本当に、観客を引き込ませるのが上手だったと思います。
不気味すぎるサーカスの仕掛けの映し方だったり、危険な香りを終始感じさせる音楽、そして光と影のコントラストがとても印象的です。
もうあっという間に心を持っていかれました。
こんな想いになれた映画は久しぶりです。正直、家に帰ってからもなんだか心が落ち着かない、体がソワソワするような感覚です。
時代はちょうど第二次世界大戦が始まりそうな、世の中が暗く不穏な空気の漂う時。
この作品に大きく関わるサーカスや人々を楽しませるパフォーマンスといったものは、当時の人々にとって将来の不安を忘れられる娯楽だったのだろうなと想像します。
だからこそ魅せる側は徐々に度を超えて、卑劣な見世物を用意し観る側も自分達が安心するために、そして娯楽だからという理由で過激な見世物も正当化し楽しんでる。
そこの不気味さ、がもうゾクゾクしました。
セットや、衣装、映し方でとても良く表現されていたと思います。
また、昼のサーカスの顔と、夜の雨が降る中で過ごすサーカスの表情の違いがすごすぎて、不気味さが倍増していました。
また勝手な考察ですが、前半のサーカスでのシーンは夜はほどんと雨がふり、後半はほぼ雪が降っていました。きっと主人公スタンの心を表していたのかなとも思います。
常に淀んで決して太陽のように明るくはないけれど、前半は心に温かさがまだあったから雨。後半は、心も冷たくなり雪が降っていたのだろうと思います。
また、俳優陣も素晴らしかったです。ケイト・ブランシェットの登場シーンはもう、圧倒的存在感すぎて思わず息をのみました。
まさに女王、妃、という言葉がぴったりな、上品でとてつもなくミステリアスで美しいです。
彼女が言葉を発するだけで、魔術にでもかかってしまったかのような気分になります。
ケイトブランシェットが、低音ボイスで話すときは、私も思わず体が固まってしまうほど、支配力の秘めたセリフになっており目が離せませんでした。
ブラッドリークーパーさんが演じるスタンの、心の弱さや危うさも上手に表れていました。
結末は割と想像できてしまうので、ストーリーの驚きやどんでん返しなどはありませんが、世界観にしっかりと浸れる映画です。
ゾクゾクとした体験をしたい方にはぜひオススメしたいです。
20代女性
★★★★☆星4
『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督の作品ということで、かなり期待をしながら観に行きました。そんな期待を裏切らない、面白い作品でした。
主人公がどんな過去を背負っているのかがわからないまま登場し、徐々に明らかになる展開も興味をそそられました。
読心術を学んでからは、人が変わったように成功を追い求める姿も危うさがそこかしこに感じられ、ひやひやしながら観ました。
そして、素晴らしかったのは、ケイト・ブランシェット!もともと演技派の良い女優さんだと思っていましたが、今回の謎の精神科医役もぴったり。
何を考えているのか、敵か味方かわからず、物語をより面白くさせていました。
ラストも、ある程度予想はついたものの、「やっぱりこうなったか~」と納得できるものでした。
40代女性
★☆☆☆☆星1
一言でいうと、「後味の悪い映画」でした。誰か幸せになった人いるの?という後味の悪さです。
予告編を見たときは、少し不思議な世界で主人公が不思議な体験をするのかなと思って、少しホラー感ありのファンタジー系を期待していました。
が、内容としてはそうではありませんでした。父親殺しのトラウマを抱えた主人公が、詐欺を働くために見世物小屋の一番かわいい子を奪います。
そして、詐欺商売がうまくいきはじめたら、このかわいい子を捨てて妖艶な美女に走るというとんだろくでなしの話でした。
最後にはろくでなし主人公は妖艶な美女に騙され一文無しとなり最下層の人間、いや人間以下の立場に転落していくというあらすじです。
思い返してみても、気分が悪くなるストーリーです。
以前、人肉を食べる世紀末の映画をみて気分が悪くなったけれど、これに次ぐ気分の悪さを感じました。
ダークファンタジーではなく、ただのダーク映画としか思えませんでした。
不幸のどん底を見るのが好きな人には面白いかもしれませんが、ダークファンタジーを期待する人は見ない方が吉だと思います。
キャストはいいのでもうすこしファンタジー感を強めに出したらお勧めできる映画になったかもしれないなと思いました。
50代女性
★★★☆☆星3
ナイトメアアリーはアカデミー賞常連の男女が中心となっている映画です。
現代の日本では見かけませんが、見世物小屋と移動遊園地が一緒になったものが昔のアメリカでは人気がありました。そこで成り上がっていく人間の物語です。
当時は世界恐慌でどん底の時代です。だから成り上がるための描写がすごいですね。
読唇術で人気者になって自分が世の中の人気者になっているという気持ちは、とてもいい気分だったのでしょう。
しかし彼はさらに一歩上をいこうとしました。支配をしたくて酔いしれるというのは、下から這い上がってきた人間にとっては最高の時間だったでしょう。
でもやりすぎでどん底まで落ちるという対比の凄さに身震いします。あの栄光からあんな仕事をしろと言われるなんて。
残酷な作品だと思います。
40代男性
★★★★☆星4
ホラーでもない、ミステリでもないノワール映画です。
ホラーでもミステリーでもないのにひたすら怖さが続くなんともぞわぞわする作品でした。
ミステリーが不得意な方は無理かなと思いますが、ミステリーが好きな方は謎が多いので好みかなと思います。もし迷っているなら観た方が良いです。
いま世界的にメンタリストや占い師、預言者などをYouTubeやテレビで見かけますよね。
この映画にある世界大戦前あたりから同じことを繰り返して、悪夢や悪夢を人間自身の手で生み出しているのだなということがよくわかります。
人間の真髄的なものを描いているからこそ、余計にホラーよりミステリーよりも怖いのかもしれません。
30代女性
★★★★☆星4
ナイトメアアリーは小説を映画化したもので、過去にも「悪夢の往く町」というタイトルで映画化されているものをギレルモ・デル・トロ監督が再度映画化したものです。
デルトロ監督の定番であるモンスターは出てこないですが、監督ならではの不気味さや恐怖感の煽りはまさしくデルトロ節が炸裂しています。
直接は出てこないものの作中にはモンスターを思わせる描写が多く出ています。
映画冒頭から漂う不穏な雰囲気と終始感じる嫌な予感は心穏やかには見られないですが、そのハラハラ感に目が離せなくなります。
ラストシーンで自分の悲惨な結末をわかっていながらも宿命として受け入れる姿は、開き直りのようでもあります。
生きること、成り上がることに疲れ、気力を失って諦めてしまったのかもしれないと思わせられます。
嘘を纏い、偽り続けて生きてきた主人公の最後に辿り着いた末路が、偽物として惨めに生きていく最底辺の有様です。
皮肉というか、むしろ彼にはその結末しか待っていなかったのではないかと感じさせます。
終始嫌な感じを胸に抱えますが、見終わった後は病みつきになるような感覚を味わえます。
20代男性
★★★★☆星4
まず、キャストの方がとても豪華でいいと思いました。
映画の内容も1939年代の話で、自分が生まれていない時の話だったのでとても興味が湧き見ていて面白かったです。
見世物小屋という言葉は聞いたことも無く、初めて知った言葉で初めて知った世界だったのでとても奇妙な感じがしました。
この作品は、全く知らず、たまたま見た作品だったのですが異世界感がすごい作品だったので面白くのめり込んで見ていました。
「ナイトメア・アリー 悪夢小路」という作品を原作に作成されたサスペンスだったようですね。
原作も気になるので次は「ナイトメア・アリー 悪夢小路」のほうも観たいと思いました。
あくまでこれは私の意見だったのですが、面白かったのに評価はあまり良くないみたいで何故なのか気になります。
20代女性
★★★★☆星4
元々デル・トロ監督の作品が好きで、ブラッドリー・クーパーやルーニー・マーラ、ケイト・ブランシェット、ウィレム・デフォーなどキャストも豪華なので視聴しました。
全体的に淡々と進むノワール映画ですが、サーカスの怪しい雰囲気や美術はさすがデル・トロ監督といったところでした。
ミステリアスな雰囲気の主人公スタンが野心に芽生えてじょじょに転落していく様や、ケイト・ブランシェット演じる博士との頭脳的なかけひきなど、飽きずに楽しめました。
団長役のウィレム・デフォーも雰囲気にマッチしていますし、ルーニー・マーラが繊細で美しいです。
正直ラストのオチは途中で予想がついたのですが、実際その出来事か起こるとゾクゾクするというか、世の中の因果応報を感じました。
ラストのブラッドリーはまさに怪演でした。あの狂気的なシーンを1テイクで撮ったというのが驚きです。
主人公が転落していく系の映画が好きなので、重苦しい気持ちになりつつも満足できました。
象徴的に登場する胎児がエンドロールでフォーカスされているのもまた、不気味でよかったです。
原作も読みたくなりました。
20代男性
*映画「ナイトメア・アリー」のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。
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ナイトメア・アリーの考察解説|原作小説は実話をもとにしたもの?リリスがスタンに近付いた理由について
原作小説|1947年の映画「悪魔の往く町」について
本作『ナイトメア・アリー』は、ニューヨーク出身の小説家ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの小説が原作です。
小説家ウィリアムが1946年に発表した小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」の映画化で、1947年に公開された「悪魔の往く町」以来、2度目の映画化となります。
「ナイトメア・アリー 悪夢小路」はウィルアムの経験が活かされた小説となっており、ノワール作品として出版以来、カルト的な人気を誇っています。
高校卒業後に職を転々としていたという経歴は、浮浪者であった主人公のスタンと通ずるものがあります。
管理人
また、1937年にスペイン内戦に参加した際にサーカス団員と親しくなり、制作へと繋がっていきました。
宗教や共産主義を唱えたマルクスやスピリチュアルな世界へと傾倒していった彼の思想が随所に詰まっている作品となっております。
今作の主人公スタンの悲劇的なラストと同様に、原作小説家・ウィリアム自身も1962年に自殺を遂げているという点は非常に興味深いです。
1947年にエドマンド・グールディングが監督した1度目の映画化である「悪魔の往く町」は、当時のヘイズコードの影響などもありました。
しかし、今作『ナイトメア・アリー』にはショッキングな映像は少なく、ストーリー展開もマイルドな仕上がりになっております。グールのグロテスクな描写などはありません。
古い映画では、白黒ならではの風合いや、モリ―役のコリーン・グレイのエキセントリックな衣装など魅力的な部分も多く、一見の価値はある映画です。
リリスがスタンに近付いた理由について
作品の中盤から重要な役割を果たすキャラクター・リリスは当初キンブール判事の依頼により、スタンに近付き、読心術について疑いを持っていました。
しかし、後に二人で手を組み、心理学者であるリリスが患者の情報を伝え、スタンは降霊ショーで次々と富を得ていきます。
ですが、スタンがグリンドルの降霊ショーを失敗した直後に彼を裏切り、全てのお金を奪って彼の元を去っていきます。
では、なぜリリスはスタンに近付いたのでしょうか?
その理由は大きく分けて2つに推測する事が出来ます。
その1つは、単純に彼を利用してお金儲けが出来ると思ったからです。
スタンも同じように彼女を利用してお金儲けをしようと考えていました。
しかし、徐々に彼女のペースに乗せられ、肉体関係を持ってからは彼女に信頼を寄せ、ついには禁じていた飲酒まで行ってしまいます。
ですが、彼女の方がスタンよりも一枚上手で、金を儲けた後は裏切る気でおり、最初から最後までスタンを信頼するつもりなど無かったのです。
もう1つは、グリンドルへの復讐と考える事が出来ます。
彼女の胸には大きな傷があり、スタンが理由を尋ねると権力者に逆らったからと答えています。
権力者であるグリンドルは、妻が死んだ後に女性に対してひどい行いをしてきたと自白しています。
そこで、リリスはグリンドルと過去に関係があり、胸の傷はグリンドルのよるものだと推測できます。
そんな彼に自らの手を汚さずに復讐を行うため、スタンに近付いたのではないかと考える事が出来ます。