ノマドランドの原作は全くの別物!映画と原作との違いやあらすじネタバレ感想評価
2021年3月26日、日本公開の『ノマドランド』。
主役のファーマン役を演じたフランシス・マクドーマンド、デイヴ役を演じたデヴィッド・ストラザーン以外のメインキャストは役者ではなく、実際のノマド生活をしている一般の方が撮影に起用されました。
今作はトロント国際映画祭で最高賞、ベネチア国際映画祭でも金獅子賞とアカデミー賞の前哨戦となるほぼ全ての主要な賞で全勝しています。そしてアカデミー賞では6部門でノミネートされるかたちとなりました。
また、映画『ノマドランド』の口コミ評判レビューには、
- ジーンとくる静かで深い感動映画
- 恐らく、日本の高齢者なんかよりもキツイ環境にいるのだと感じた
- 自由を感じさせる景色の映像美が素晴らしかった
- 良い映画なんだろうなと思いつつも、この映画からは何も感じることができなかった
- つらいことも沢山あり、ノマド生活が自由で羨ましいとは思えなかった
- 面白い面白くないで判断する作品ではなく、現代アメリカを象徴するものだと思った
- ホームレスではなく、ハウスレスというのが、とても印象深い
- 自分の中にはなかった生き方を見せてもらった
という声が多数集まっています。
- 原作は全くの別物。現代アメリカのリアルな底辺層
- ノマドランドのあらすじネタバレ
- ノマドランドの感想評価と口コミ評判でのレビュー
映画『ノマドランド』のネタバレとあらすじ・感想評判と一緒に、同じく金獅子賞を受賞した作品の視聴もおすすめです。
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映画『ノマドランド』原作は全くの別物。現代アメリカのリアルな底辺層
ノマドランドの原作はノンフィクション取材本で主人公
映画『ノマドランド』の原作はジャーナリストのジェシカ・ブルーダーが書いた『ノマド:漂流する高齢労働者たち』です。
原作者のジェシカ・ブルーダー自身も、本の為に約3年間ノマド生活をしている人と同じような仕事をしたり車上生活をしました。原作の内容自体は、原作者のジェシカが出会うノマド生活者の日々や、ノマド生活をせざる得なくなった経緯などが書かれているものとなっています。
ノマドランドの主人公は、架空の人物
そして、原作ノンフィクションの中で中心となっている人物(主人公)は、リンダ・メイです。しかし、映画に登場するリンダ・メイは、主人公ではなく、映画の主人公はファーマンとなっています。
実は、このファーマンという人物は、映画『ノマドランド』にだけ登場する架空の人物です。一方、原作ノンフィクションでの主人公はリンダ・メイなのです。
原作ノンフィクションでは、映画『ノマドランド』の主人公ファーマンが家を失ったエンパイアなども出てきます。しかし、映画『ノマドランド』は、あくまで原作ノンフィクション取材本から内容を持ってきただけです。
そのため、映画『ノマドランド』と原作ノンフィクション取材本では、全く別物のような内容です。原作というよりは原案に近いものですね。
ノマドランドの背景は、サブプライムローン問題などで増えたアメリカの底辺層の高齢者の実態
アメリカでは、リーマンショック、サブプライムローン問題などにより家を手放さざるえなくなった人がいます。そして、彼らはキャンピングカーなどの車上で生活を送っています。彼らはアメリカで「ノマド」と呼ばれています。
ノマドには高齢者がほとんどです。季節ごとの仕事やアマゾンなどでの短期的な仕事などしか選択肢としてありません。原作では、高齢者たちが過酷な重労働をしないと生活できない様子が描かれています。
映画の予告でもありましたが、彼らはホームレスではなくハウスレスです。日本で”ネットカフェ難民”と呼ばれる人に近いような存在かもしれません。
ノマドを送っている人は高齢者が多いため、子供がいる人も多いです。しかし、子供世代には、その世代の悩みなどもあり、ノマドを送っている高齢者は、子供や孫の家に住むのには窮屈を感じたりするそうです。
そこで、最後に残された選択肢が車上生活となっています。また、アメリカでは年々ノマド生活をする人が増えているそうです。
日本でも年金問題などがあり、先が見えないことが続いていますよね。国は違えど、アメリカのこのような実情は他人事とは言えません。日本でも今後起こるかもしれない現実を教えてくれるのが、原作本である『ノマド:漂流する高齢労働者たち』です。
世界一の経済大国であるアメリカですが、このように底辺層の高齢者たちは過酷な生活、労働をしています。
映画だけでは伝わらなかったものもあります。映画で興味を持った方は、一度原作本も一緒に読んでみてくださいね。
映画『ノマドランド』のあらすじネタバレ
(以下、映画「ノマドランド」のあらすじネタバレとラスト結末です。)
ノマドランドのあらすじ|車上生活をするファーン
アメリカで経済危機が起きたことで、ネバダ州エンパイアのUSジプサム社で成り立っていた町は、企業の閉鎖により住所まで消されてしまいます。そうして、エンパイアの住人は退去に追いやられてしまうのでした。
USジプサム社で働いていた夫を亡くした、初老の女性ファーンは家財を売り払い、キャンピングカーで車上生活をしていました。
冬にファーンはAmazonで倉庫の仕事をしながら、キャンピングカーの駐車代と生活費を賄っていました。仕事は楽ではなかったものの、同じキャンパー仲間のリンダ・メイや他の仲間と共に楽しく過ごしていました。
ある時、リンダはファーンにあるイベントに誘います。イベントは、ファーンやリンダのような生活をするノマド生活者が集まるイベントでした。
ファーンは乗り気ではありませんでしたが、後日そのイベントに顔を出しに行きます。
ノマドランドのネタバレ|ノマド民の集まり
イベントは、ノマド生活者で助け合う為、支援する事が目的のものでした。主催者は実際にノマド生活をし、その内容をYoutubeに投稿しているボブ・ウェルズです。
ノマドの生活者は、それぞれの生活に様々な理由を持ちつつも、各々の寂しさを持っていました。ノマドたちは焚火を囲みながら、それぞれの寂しさを分かち合います。
ファーンは、ノマド生活者によるダンスパーティで、デビットとも親しくなります。思いのほか、ファーンは沢山の人と交流し、充実した日々を送ります。
ノマドランドのネタバレ|アラスカへ向かう老人
ノマド生活者によるイベントが終わりを迎え、それぞれ砂漠から解散していきます。沢山のキャンピングカーかその場から徐々に去り、その場はまた静けさに包まれるのでした。
ファーンはしばらくその場に残っていましたが、まだもう一台、キャンピングカーが残っている事に気づきます。
ある時、ファーンはキャンピングカーのタイヤのパンクに気づきます。未だにその砂漠の地に停車していたキャンピングカーの元に助けを求めにファーンは向かいます。
中からはかなり年をとっている老婆がでてきました。キャンピングカーの基本も知らないファーンに嫌味を言いつつも、ファーンの車のパンクの対処に助けてくれます。
老婆はスワンキーという女性でした。ある時スワンキーは、立ち眩みを発症して具合を悪くします。ファーンがそれを心配し、スワンキーのキャンピングカーのベットまで連れていき看病をします。そこで、スワンキーは隠していたことをファーンに話しました。
スワンキーは末期のガンを持っていたのです。しかしスワンキーは、病室で死ぬのは勘弁だと言います。ノマドとして旅をしながらアラスカへ向かい、もう一度美しい自然の中でカヌーを漕ぎたいと言うのでした。
後日、スワンキーはファーンと別れの挨拶をし、スワンキーはアラスカへと旅立ちます。ファーンは再び一人になるのでした。
ノマドランドのネタバレ|デビットとの時間
ファーンはある国立公園で、公園のスタッフとして働く事になります。そこには友人のリンダと、以前ノマドのイベントで出会ったデビットに再開します。
3人は再び仲を深めていきますが、特にファーンとデビットは仲を深めていきます。
リンダには夢がありました。廃棄されたもので家を作り、廃屋で暮らすという夢です。しばらくして、リンダは次の地へ旅立っていきます。
デビットは、公園横のハンバーガーレストランで働いていました。ファーンもそこのスタッフとして働きます。
ある時、デビットの息子がそのレストランに訪れます。息子は、もうすぐ子供が生まれてくるので実家に戻ってきてほしいと伝えに来たのでした。
デビットは、しばらく家と向き合っていなかったために、父親としてどうすればよいか分からないと困っている様子でした。そんなデビットをファーンは、おじいちゃんとして向き合えばいいと勇気づけます。
後日、勇気づけられたデビットは、ファーンに置き手紙を残して家へ向かいます。置き手紙には、近いうち是非家に来てほしいという内容が書かれていました。
ノマドランドのネタバレ|ファーンが車上生活を好む理由
しばらくしてファーンが車を動かそうとしていた時、車が故障していた事に気づきます。仕方なく車を修理に出しますが、修理よりも新しく車を買った方が良い値段でした。
ファーンはお金を貸してもらいに、実の妹の元へ帰ります。実の妹は既婚しており、不動産として成功している旦那さんがいました。
そこで食事中、ファーンは失礼と知りながらも旦那さんの商売に疑問をぶつけてしまいます。ファーンは住人から何としても大金を取るような仕事に不満を持っていました。
しかし、ファーンは「だれもがあなたのような思考ではない」と返されてしまいます。ファーンは言い合いになりそうになりますが、妹が優しく止めるのでした。
ファーンが家を出発する日、妹はお金を貸してくれます。しかし、「本当は一緒に家にいてほしかった」と伝えるのでした。それでも1人で生活する事を選択するファーンを尊敬しているとも伝えます。
ファーンは妹の家から離れた後、デビットの帰った家に訪れます。デビットは暖かくファーンを迎えますが、デビットのノマドらしい雰囲気はまるでなくなり、おじいちゃんとして孫を可愛がっている様子でした。
デビットの家族も暖かくファーンを迎えます。夕食を共にし、ファーンとデビット家族は良い関係になっていきます。ファーンはデビットの家のゲストハウスに泊めてもらえることになりました。
後日、デビットは一時的にここにいるのではなく、ずっとここに住まないかと好意を伝えます。ファーンなら誰とでも上手く付き合えるし、一緒にいたいと言うのでした。
ファーンは一晩考えますが、綺麗なゲストハウスで寝ていても落ち着かず、キャンピングカーの寝台に戻ってしまいます。ファーンはここが自分の居場所だと再確認すると、翌朝には静かに次の地へ旅立ちます。
ノマドランドの結末ラスト|思い出は永遠
1年ほどが過ぎ、ファーンは再びAmazonの倉庫で働きに来ます。
今年も行われるノマド住民のイベントに参加すると、アラスカに旅立ったスワンキーの死を知ります。スワンキーは無事に目的の地にたどり着き、カヤックを漕ぐという夢を叶えた後に他界しました。ノマド住民はスワンキーの死に祈りを捧げます。
ファーンは、イベントの主催者であるボブに本音を打ち上げます。ファーンは亡くした夫を忘れられず、過去に囚われたままでいると打ち明けました。
ボブもまた、その気持ちが理解できると語ります。ボブは数年前、息子が自殺をして生きる意味を失ったと言います。しかし、それが理由で他人を助ける事に生きがいを見出したと語ります。
そして、ノマドの唯一のメリットは最後の別れを知らないという事だと言います。ノマド住民はいつも「さようなら」の代わりに「いつかまたどこかで」と言います。
ボブは別れて数年たった後も知っているノマド住民に出会うことがいつもありました。だから自分もまた、息子と再会できるし、ファーンもまた、いつか旦那さんに合えるとボブは言います。
その後、ファーンは元住んでいたエンパイアの地へ赴きます。廃屋と化した自分の家を訪れた後、吹っ切れたようにファーンはいつものキャンピングカーへ戻り、次の地へ旅立って行くのでした。
以上、「ノマドランド」のあらすじネタバレとラスト結末でした。
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ノマドランドの感想評価と口コミ評判でのレビュー
(以下、映画「ノマドランド」の感想評価と口コミ評判です。)
感想評価|ノマド民の美しく儚い生き様
この映画は、主人公以外ほどんどが俳優ではなく実際のノマド住民であるというのが醍醐味です。完全に創られた創作物ではなく、そこにノマド住民の言葉があることで実際のノマドとして暮らす人々の姿を垣間見る事ができます。
まるで映画とドキュメンタリーが融合したような構成で出来ていました。
ファーンに関しては特に、自由を求めてというテーマが強くありました。しかし、その自由は理想に描いた時のものよりも凄く孤独で、並では耐えられないものであることが根強く描かれていました。
ノマド住民たちが集まっていても、ファーンが大切な家族に囲まれていても、彼女には必ず孤独がありました。しかし、その孤独を理解し、尊重する人々の姿も見受けられます。
誰かに恵まれていると思いきや次の日には一人になっていたり、周りに恵まれていても独りを選んだりなど、言葉にはできないファーンの孤独が繊細に描かれています。
どことなくつきまとう寂しさを感じる映画ですが、そこからふいに生じる人間関係や壮大な自然に美しさを見いだせる素晴らしい映画でした。
口コミ評判でのレビュー「感動とともに震えました」「自由を感じさせる景色の映像美も素晴らしい」
映画『ノマドランド』の口コミ評判レビューには、「派手な映画ではないが、心情が丁寧に描写されており、静かなひと時を過ごしたい時にお勧めの映画」「ノマドと聞けば、自由なイメージしかなかったが、実際はそんな事はないのだと知れた」「映画というよりは、路上生活者のドキュメンタリー映像のようなもの」「何のために生きるのか、何のために働くのかを考えさせられた」という評判が多い印象です。
★★★★☆星4
あまりみるジャンルの映画では無かったのですが、最近youtubeなどやSNSでノマドワーカーというのをよく見たり聞いたりしていたので、外国のノマド情勢がみれるのかと思い見てみました。
最近のご時世のせいで、家族や友達にも会わずほぼひとりで生活している今みるとすごく共感する部分がありました。終盤のおじいさんの言葉で作品の全貌が見えて、感動とともに震えました。とても素敵な映画です。
手放しで全部良いと言える作品ではないのかもしれないのですが、ジーンとくる静かで深い感動があります。アメリカでこんな風に暮らす高齢者がいるのか、と勉強にもなりました。
広大な大地をひた走る主人公の行き方は悲しさもあるが晴れ晴れともしていて。その雰囲気が映画の中でずっとしていて鬱屈とした空気が流れる雰囲気のある映画でした。
30代女性
★★★★☆星4
アカデミー賞ノミネート作品の中で作品賞有力ときいて公開初日に観に行きました。
フィクションとドキュメンタリーの間というか、ほぼドキュメンタリーに近いような感覚の映画で主演女優含めた数人以外は一般の本物のノマドの人々が出演していたということを観賞後に知って驚きました。
とても素人とは思えないくらいに自然に馴染んでいて、あれは演技ではなく素の人柄で出演していたのかなと思えるくらいに不自然さのかけらもありませんでした。今までに観たことのない新しい映画だと思います。
主人公ファーンや多くのノマドの人々は大切な人や積み上げてきた人生を失った経験をしています。映画観て学べたことは人間は結局は1人であるということ、人との関わり方や人生何かを背負い過ぎて窮屈で重荷になってる人々が多いこと、何も持たないことへの恐怖感以上にそれが身軽で自由であることを知れました。
自由を感じさせる景色の映像美も素晴らしく、とても印象に残っています。
30代女性
★★★★★星5
家を失ってしまい自然の中を自家用車で生活していく人の話です。普通が普通じゃないんだなと知るきっかけになる作品だと思いました。
生き方や考え方、愛す事や哀しさ、人間の1人1人の個々の強さや儚さ、そして自然の広大さ美しさ、その中での厳しさ激しさがスクリーンからすごくバシバシと伝わってきました。
色々な感情が入り混じりながら進んでいく話を見ながら、自分の考え方や人間としての生き方などを見直されました。生きるってこう言う事なんだ、生きていく上での人々の歩み方、全てが分かる作品になっていたと思います。
本当にこれは全世界の人に見てほしいです。
20代女性
★★★★★星5
この映画は、アメリカの地方都市で栄えた産業の衰退から生じた、主人公の喪失と再生がテーマとなっています。時間の経過とともに少しずつしかし確実に変化していく主人公の心情が、主人公が訪れる先々での荒々しい自然描写と重ねられ、押し付けがましくなくごく自然に描写されています。
傍から見たら時に頑固でまた不器用にも見える主人公ですが、彼女の視点から見た世界観に共感できるところも多々ありました。タイトルの通り主人公は流浪の民のような生活を自ら選んで始め、そして続けていくのですが、その中で様々な人々と出会いやがて喪失を乗り越えて前に進む姿勢に、時間による癒しと人間の心の強さ、微かな希望のようなものを感じました。
決して派手な映画ではありませんが、心情が丁寧に描写されており、静かなひと時を過ごしたい時にお勧めの映画かと思います。
40代男性
*映画「ノマドランド」のみんなの口コミ評判レビューは当サイトが独自で集めたコンテンツです。引用の際は必ず引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。
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