映画『黒い家』が「ひどい・怖すぎ」なのは何故?実話なのか?あらすじネタバレや感想評価も徹底調査!
1999年11月13日公開の映画『黒い家』。
第4回日本ホラー小説大賞を受賞した、ミステリーの名手・貴志祐介の小説を映画化した作品です。
公開当時はまだ珍しかった日本の”サイコ・サスペンス”でした。
原作のグロさをさらに加速させた感がありましたが、森田芳光監督の制作ということで、ポップなテイストを加味して不思議なスピード感が残る作品に仕上がっています。
出版された翌年に保険金殺人として和歌山の有名なヒ素カレー事件と酷似していることから、当時話題になりました
映画『黒い家』の口コミ評判レビューには、
- 大竹しのぶの姿がトラウマになるほどの怪演っぷり
- ラストまで息をつかせない作品
- リアルな恐怖心を感じる映画
- 登場人物の全員、演技力がとても高い
- 震えるほどの恐怖を感じた
- 恐ろしすぎて夜眠れなくなったほどの映画
- 原作のおどろおどろしい部分を上手く切り取っている
- 一番恐ろしいのは人間だと教えてくれる作品
という声が多数集まっています。
- 映画『黒い家』の評価に「ひどい」「怖すぎ」とある理由
- 映画『黒い家』は実話なの?和歌山毒物カレー事件と酷似している件について解説
- 映画『黒い家』のあらすじ
- 映画『黒い家』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
もし、まだあなたが一度も映画『黒い家』を観ていないなら、まずはネタバレとあらすじ・感想評判の前に作品を観ておくことをおすすめします。
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目次
映画『黒い家』に「ひどい」「怖すぎ」という評価がある理由
「ひどい」という評価の理由はさまざま
映画『黒い家』はホラー小説として非常に高い評価を受けている貴志祐介の「黒い家」を原作としています。
そのため原作の読者は当然、おどろおどろしい作品になることを期待しますし、あらすじや映画の宣材写真等を見ただけの人でも「さぞかし怖い内容に違いない」と判断するはずです。
しかしながら、その作風は誰の予想をも覆し、コメディ要素を多分に含んだものとなっていました。
管理人
例えば、主人公である若槻は主任という責任ある立場でありながら、常日頃からオドオドしており、菰田家の捜索や幸子との戦闘時には必要以上にビクつき悲鳴をあげる等の醜態を見せます。
これは共感を通り越して笑いを誘うレベルであり、ともすると不快ですらあるかもしれません。
さらには、どうにも緊張感を欠くBGMによって、保険金殺人としての陰惨さが薄まってしまっている点も残念です。
エンディング曲である「m-flo」の「chronopsychology(クロノサイコロジー)」にしても、映画と曲の世界観が違いすぎて違和感しかありませんでした。
管理人
そして極めつけは、物語の核となる菰田夫妻の描き方です。
それぞれ菰田重徳を演じる西村雅彦、菰田幸子を演じる大竹しのぶの演技力については、言うまでもなく申し分のないものです。
ただ、その言動や演出が異常性を強調するためなのか、あまりにも過剰でコントを見ているような感覚にも陥ってしまうのです。
なかでも問題なのは、クライマックスとなる戦いにおいて、幸子が若槻に突然キスをしたあげく胸を吸わせ、しまいには「下手くそ」と突き放すシーンです。
確かに異常な性衝動というのはサイコパスの特徴ではありますが、殺し合いという流れを無視して唐突にこんな展開をされては悪い冗談としか思えません。
原作は終始シリアスなので、小説を読んだ方ほど、映画のこの雰囲気に違和感を覚えるのは当然でしょう。
管理人
「怖すぎ」と感じるのは俳優の演技力がすごいから
しかし、その一方で映画『黒い家』を「怖すぎる」と評価する声があるのも事実です。
特にその「怖すぎ」という評価については、何と言っても大竹しのぶの演技に集中していました。金石が言うように何しろサイコパスは良心が欠如しているので、目的のためには手段を選ばないし(実の子供も躊躇なく殺めるほど)、衝動的に行動するから理屈も通用しません。
話も通じなければ思考回路も分からない、そのような人間のかたちをしながら中身は人間に非ざる存在というのは恐怖以外の何者でもありません。
大竹しのぶは本当にその得体の知れない恐怖を体現していました。
終盤、若槻との死闘で見せる狂気の表情は心底ゾッとさせるものです。
管理人
そして、そんな人間が身近にいるかもしれない、と思わせる日常感。それが最も怖いポイントです。
サイコパスと呼ばれる人たちが、もしかしたらあなたが接客する人物かも、上司や同僚かも、あるいは親戚かもしれないとしたら、これほど怖いことはないでしょう。
存在すら定かでない幽霊や悪魔と違い、確実に被害が及ぶわけですから。
また、他では若槻が恵を救出すべく菰田家を捜索するシーンについても、どんなにおぞましい物が出てくるか分からない、まるでおばけ屋敷のようなスリルに溢れていました。
人間の心の闇が詰まった、そして真っ暗で文字通り黒い家には常軌を逸した物、凄惨な犯行の痕跡がこれでもか、と登場します。
ホラー映画の王道のシチュエーションながら、その見せ方も巧く、幸子に見つかりそうなシーンも含め極上の緊張感を味わえました。これで若槻の異様な怖がり方がなければもっと良かったのですが…。
管理人
このように、とかく賛否の分かれる映画『黒い家』ですが、様々な意見の中でも「一番怖いのは人間であることを思い知らされる」という点と「コメディが前面に出過ぎていて雰囲気を損なう」という点はおおむね一致しています。
せっかく怖さを追求できていながら、なぜか捻りが加えられ、普通にシリアスに作られなかったことが惜しまれます。
その点、韓国映画の『黒い家』は一切ふざけた演出がないブルータルな作りで完成度も高いのですが、どこか足りないところがあるのも確かです。
管理人
原作小説、邦画版、韓国映画版を比較し、いずれが一番怖いか、我々は人間のどこに恐怖を感じるか、を考えるのも一興だと思います。
映画『黒い家』は実話なの?和歌山毒物カレー事件と酷似している件について解説
和歌山毒物カレー事件と似ている部分がある
映画『黒い家』公開の前年である1998年、日本社会を震撼させる事件が起きました。
それが「和歌山毒物カレー事件」です。
同事件では、地域のお祭りのカレーにヒ素を混入させ無差別に人々を殺傷する残酷さや、死亡者4人を含む計67人もの中毒者を出した被害の大きさが類を見ないものとして長きにわたって世間を騒がせました。
そして、翌年1999年に映画『黒い家』が公開された時、事件との類似性が注目されることとなります。
事件は林真須美(現在は刑が確定し死刑囚)の単独犯とされていますが、その逮捕に至る過程で、真須美と夫の健治が数々の保険金詐欺をおこなっていたことが判明しました。
これは白アリ駆除業をしていた健治が、仕事で使うヒ素を故意に摂取して高度障害の保険金をせしめたことをきっかけに、夫婦で同様の犯行を繰り返していたようです。
やがては保険金目的で知人にもヒ素を食べさせるなどしており、際限なく保険金を詐取しようとする行動は正に映画『黒い家』の菰田夫妻を連想させます。映画を観た人は、もしかしたら『黒い家』は「和歌山毒物カレー事件」を基に作られたのでは?と思うかもしれません。
管理人
しかし、ご周知のように映画『黒い家』は貴志祐介の小説を原作としており、その小説も1997年に出版されていますので事件とは無関係です。
実際は生命保険会社に勤めていた作者の経験を基にしている
映画『黒い家』は実話を基にしているわけではなく、生命保険会社に勤めていた作者の経験によるところが大きいと思われます。
奇妙な偶然ですが、映画『黒い家』は作品が世に出た直後に現実で似たような事件がおこってしまった珍しい例なのです。
また、現実の事件との類似に関していえば、これも作品より後の2012年に発覚した尼崎事件も、『黒い家』を連想させると言われているようです。
尼崎事件についてはあまりにも複雑かつ長期に及ぶ事件なので、ここでは詳細に触れませんが、主犯である角田美代子(拘留中に自殺)の途方もない数の犯罪には、支配下においた人間に自殺を強要し保険金を詐取した件も含まれています。
また、角田が乗っ取った複数の家族の自宅から犠牲者の遺体が次々と発見された点も、映画さながらの凄惨さでありました。
事件の全体像を見ると、角田が幼少期に劣悪な家庭環境にあり、親の愛情を知らずに育った結果、倫理観の欠片もなく、己の欲望のために他人の家族を破壊し尽くしたことが分かります。
管理人
それもまた、映画『黒い家』の菰田幸子と重なる部分でしょう。
映画『黒い家』のあらすじ
(以下、映画「黒い家」のあらすじです。)
『黒い家』のあらすじ|仕組まれた目撃
生命保険会社で査定業務を担当する若槻慎二は日々、悪質な顧客の対応に追われていました。
ある時、会社に「自殺でも保険金は下りるのか?」という奇妙な問い合わせがあり、若槻は電話の主が自殺するのではないかと思い、丁重に応じます。
後日、若槻は菰田重徳(こもだ しげのり)という顧客から名指しで訪問の依頼を受けます。
訪問先の菰田家は雑然としており、重徳の立ち振る舞いや表情にもどこか普通でないところがありました。
重徳は家にいるはずの息子、和也に呼びかけますが返事はなく、若槻に部屋の襖を開けるよう頼みます。
次の瞬間、若槻の視界に入ってきたのは、首を吊って死んでいる和也の姿でした。
『黒い家』のあらすじ|菰田夫妻の過去
和也の自殺には不自然な点が多く、受取人である重徳も毎日のように会社に来ては催促を繰り返します。
若槻はこの件が保険金殺人であることを疑い、独自に調査を開始します。
すると、重徳には保険金詐取の前歴があること、妻の幸子とは小学校時代に同級生だったこと等が分かりました。
若槻は2人の母校で当時の作文を入手し、恋人の黒沢恵の伝手で、金石という心理学の助教授に鑑定を依頼します。
金石は作文を見て重徳をサイコパスと診断し、若槻に警告しますが、同時に重徳に対し異常な執着を持ち始めました。
やがて保険会社は自殺を認定し、重徳に多額の保険金が支払われました。
しかし、若槻は契約の内容から次は妻の幸子が殺されると推測し、幸子に匿名で警告の手紙を送ってしまいます。
その頃、何者かに切り刻まれた金石の死体が発見されました。
『黒い家』のあらすじ|加速する凶行
一方、金石とは別に2人の作文を調べていた恵は、妻の幸子の方こそ「心がない人間」であるとの結論に達します。
それを裏付けるかのように、今度は何と重徳が両腕を切断され、またしても保険金が請求されました。
会社はついに契約解除のプロ、通称「潰し屋」の三善を差し向けます。
若槻はさらに、幸子の前夫との子も同様に首吊り自殺をしていたことを突き止めます。
幸子の犯行を確信する若槻でしたが、その時に幸子は若槻の家に襲撃をかけるところでした。
偶然それを目撃した若槻は身を潜め、幸子の独り言によって恵がすでに拉致され殺されようとしていることを知ります。
急いで菰田家に向かう若槻。
真っ暗な中、異常な家を恐る恐る捜索していくと、そこには「潰し屋」三善の死体がありました。
若槻は絶望しつつも、ついに拷問され弱りきった恵を発見します。
しかし、2人で家を脱出しようとしたところ、外からは幸子の帰宅を告げる車の音が聞こえてくるのでした。
以上、「黒い家」のあらすじでした。
2人が生き残る手段はあるのでしょうか?
結末が気になる方は実際に映画を観てみることをオススメします。
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『黒い家』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
(以下、映画「黒い家」の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。)
感想評価(※ネタバレ有)|日常に潜む異常者の恐怖
トラウマになりそうな最後
幸子は帰宅してすぐに、家の状況から侵入者がいることに気付きました。
そして巨大なハモ切り包丁を手に、鬼の形相で侵入者を探し回ります。
若槻と恵はとっさにクローゼットに隠れますが、わずかに音を立ててしまいました。
それを聞き逃す幸子ではありません。
クローゼットの隙間から2人に包丁が突き刺されようとした瞬間…パトカーのサイレンの音が飛び込んできます。
すんでのところで幸子は姿を消しました。
その後、菰田家からは十数体の死体が見つかりましたが、逃走中に車で転落したと思われる幸子の生死は不明なままでした。
日常を取り戻しつつある若槻にある日、他支社の敏腕社員から深夜に会う約束が取りつけられます。
しかし、会社に現れたのは死んだと思われた幸子でした。
幸子は獣のような咆哮をあげながら包丁を振り回し、噛みつき、金的攻撃など全力で若槻の命を奪おうとします。
若槻も死に物狂いで抵抗し、幸子の首を絞めて息の根を止めたかに見えました。
ところが幸子は息を吹き返し、なおも包丁で若槻を切りつけます。
満身創痍の若槻は這いつくばりながらも幸子が凶器としたボーリング球を拾い上げ、渾身の力で幸子に叩きつけました。
頭部を破壊され、今度こそ幸子は生命活動を停止するのでした。
全てが終わり、若槻と恵の関係も修復に向かいつつあります。しかし、若槻の心には未だ幸子のトラウマが残るのでした…。
邦画サイコホラーの代表作
映画史における1990年代は『羊たちの沈黙』に端を発するサイコサスペンス、サイコホラー映画が隆盛を極めた時代でもありました。
1999年公開のこの『黒い家』も「人間が一番怖い」と思わせるような、邦画サイコホラーの代表作と言えるでしょう。
管理人
特に映画『黒い家』が怖いのは、菰田夫妻の生活感に満ちたリアルな隣人っぷりです。
大竹しのぶと西村雅彦の怪演は見事と言うほかないのですが、もちろんここまで異常ではないにしても、普段の我々の生活において、このような常識のない人間に遭遇することは結構あるのではないでしょうか?
不特定多数と接する仕事をされている方なら、なおさらです。
そういった話が通じない、理屈が通らない人の断絶感が再現されていて、思わず身震いするほどでした。
その点では、昨今のカスタマーハラスメント問題にも通ずるところがあるように思います。
そして映画『黒い家』ならではの視点が、金石と恵のサイコパスに対する考え方です。
金石は悲観主義者で、なかばレッテルを貼るように診断をしては、彼らに興味を持つかたわら、冷たく突き離すようなスタンスでいます。
さらに環境・遺伝等の要因でサイコパスは増殖し続け、我々の社会はいずれ彼らに取って代わられる、と絶望的な未来を予測するのです。
その一方で恵は、人間の内面はまるで宇宙であり一人一人が違うのに、型にはめることは間違っている、それに「心がない人間」などいない、と思っています。
いわば彼らを理解しようと寄り添う姿勢です。
管理人
恵は幸子に酷い目にあわされたにも関わらず、子供は自分が扱われたように世間に対処する、したがって幸子もあのような生き方しかできなかった、と同情的です。
幸子は子供時代、実の親から虐待されていただけでなく、保険金目当てに殺されそうになったこともありました。
原作小説で恵は、理解のできないもの、異常なものにレッテルを貼って排除してしまう金石の方こそ逆に危険であるとの指摘をしています。
既存のサイコサスペンス映画は限りなく金石寄りの描き方ではありますが、サイコパスに対するアプローチは果たしてどちらが正解なのでしょうか?
ただ、我々の暮らす日常においてこのようなシリアルキラーに遭遇することはないにしても、常識も理屈も通じない理解不能な人間が多く存在するのは事実でしょう。
管理人
生命保険業界に限らずとも職種によっては、日々そのような人たちと対峙せざるを得ないわけです。
原作では、若槻の会社に菰田夫妻以上に凶悪・屈強な顧客(明らかに保険金殺人者)が現れ、新たな戦いが始まるところで幕を閉じました。
増え続けるモンスターに対処するのはフィクションの世界だけでは済まない、他人事ではないことを思い知らされる点が、この作品の怖いところだと思います。また、映画『黒い家』の大きな特徴として「笑い」の要素がふんだんに盛り込まれていることが挙げられます。
あらすじを読む限りは陰惨でシリアスな世界観しか想像しようがないのですが、映画は驚くほどコメディタッチなのです。
能天気なBGMやギャグを挟む演出は、映画の雰囲気を損なっているように感じました。
管理人
また、映画『黒い家』の最重要人物である菰田幸子および重徳の異常性は恐ろしいほど伝わってくるものの、その演技の過剰な部分はまるでコントのようでもありました。
特に最後の殺し合いの最中に、幸子が若槻に胸を吸うのを強要するくだりは完全にギャグでしかありません。
たしかに「恐怖」と「笑い」は紙一重である、とよく言われています。
それは「異常」のさじ加減ひとつでどちらにも転び得るからです。
しかし、それを表現するのにこの原作・題材は相性が良くないように感じました。
管理人
その点では、2007年に再映画化された韓国版『黒い家』がハードで重苦しく、雰囲気がまるで違っているので、比較してみると面白いでしょう。
映画『黒い家』は日常に潜む異常者の恐怖を描き出しています。
悪魔や超自然といった遠い存在ではなく身近な恐怖を感じたい方や、特に接客業の方にぜひオススメしたいです。
『黒い家』のみんなの口コミ評判レビュー
『黒い家』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「実際に起こり得る事件をテーマにしているので、ドキドキハラハラしながら引き込まれた」「人間の中にある黒い部分が露わになっていく姿が、とても不気味」「本当に狂っている人物像を表現していて見事の演技だった」「保険会社に勤めている人は一度見たほうがいいかもしれない」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★★星5
『黒い家』は原作の本も読んでいます。
本当に怖いのは幽霊やお化けではなく、気の狂った人間なのだと思わせるような話です。
全体的にじめっとした、何か悪いことが起きそうな雰囲気が出ていて、冒頭からなんだか嫌な感じがします。
大竹しのぶの演技が、本当にキチガイじみていて、「あっやばい人だ。関わってはいけない。」という危機感を覚えます。
大竹しのぶの家で彼女を救出しに行くシーンは本当にハラハラと恐怖心が強く、手を覆って隙間から見るような感じでした。
保険会社に勤めている人は一度見たほうがいいかもしれません。
あんな人はなかなかいないかもしれませんが、少しはあるあるが見つかるでしょう。
貴志祐介の本は、どれもこれも恐ろしい人間が出てくるし、なかなか映像化しづらい物が多いと思いますが、こちらは原作のおどろおどろしい部分を上手く切り取っていて、良くできているなと感心します。
30代女性
★★★★★星5
大竹しのぶさんの怪演ぶりが凄まじかったです。
作品のキャッチコピーでもあった「この人間には心がない」という…まさにそういう常人ならざる女・菰田幸子を演じています。
彼女は他者を犠牲にして保険金をせしめていくのですが、その姿が和歌山のカレー事件の容疑者をほうふつとさせるとして話題になりましたが、実は、この作品の原作が世に出た方が事件よりも早く…偶然にしてはできすぎだなと当時思ったものです。
主人公は生命保険会社に勤務する若槻(内野聖陽)でしたが、正直、見終わった時にはまさに大竹しのぶさんがダークヒロインだったな、と思いました。
そして、貴志祐介さんはご自身の作品を映像化するとカメオ出演することが多いですが、この作品にもさらりと登場しています。
ご本人、楽しんでるなという風情がファンにはたまりませんでした。
50代女性
★★★★★星5
元々、原作小説を読んでいて、その内容の濃さとおぞましさから映画化が決まったと聞いた時には「これは無理だな」と思いました。
とはいいながらも、主演が大竹しのぶということで期待をして映画館に向かいました。
観た人なら皆さんこのシーンを覚えていると思いますが、終盤での胸を舐めろの場面に笑っていいのか恐怖していいのか、とまどいました。
作者自身が保険会社に勤務をしていたということと、和歌山のあの事件があったので、「この話は本当にあったエピソードをいくつかまとめているのではないか」と思いました。
海外の映画が「見た目」に怖さを置いているとしたら、この作品のように人の想像力というか「内面」に怖さを置いているホラーはあとで思い出したりして怖くなります。
本当にあるかもしれない、というか和歌山の事件(カレー事件の前の保険金事件)が実際にあるので、より怖さがます映画だと思います。
40代男性
★★★★★星5
冒頭からホラー感が画面いっぱいに広がります。それから最後までずっと怖いです。
特筆するべきは大竹しのぶさんの狂気っぷりではないでしょうか。
乳房丸出しで内野聖陽さんを追い詰めるシーンは圧巻で、正直チビリました。
内野さんもまだ若くて今では想像できないほど華奢、演技も繊細で弱気な青年役を好演していました。
小林薫さん、西村雅彦さん、石橋蓮司さん等々脇を固める方々の演技も完璧で、20年以上前の映画にもかかわらず、それぞれの表情、所作を今でも鮮明に思い浮かべることができます。
映像美、演出の妙、役者さんの演技、どれも一級、間違いなく森田芳光監督の最高傑作だと思います。
そして何より、私にとってこれまで見たなかで一番怖いホラー映画です。2度と見たくないと思うほどに。
50代女性
★★★★☆星4
さわやかな印象しかなかった森田監督のダークなサスペンス映画。
とにかく大竹しのぶが怖い、始終怖いし、不穏。あまりにも鬼気迫る演技で魅せてきます。
西村正彦の怪しい感じもすごく、大竹しのぶによりコントロールされている捨て駒の一人感をうまく出していました。
実際にこのような事件は世界でも多発しているのだろうが、この作品は犯人たる夫婦に人の心が全くないところが描かれており、まさに“黒い”のです。
罪悪感はなく、金に取りつかれた狂人が住む家が黒い家なのです。
終盤の恋人救出から犯人との対峙のシーンまで手に汗握りすぎ、恐ろしすぎて夜眠れなくなった覚えがあります。
この作品で貴志祐介を知ったのですが、なぜこのようなサイコパスを描くことが出来るのか、凄い人だと思いました。
40代女性
★★★☆☆星3
もともと内野聖陽さんが好きで、それだけの理由で『黒い家』を観ました。
原作・リメイク版は観ていません。CATVで深夜に1人で観て激しく後悔しました。
序盤は、内野さん若いな~気弱な好青年役もいいな~、後に大河ドラマで主役やったり、熱い検視官や刑事だったり、とんびの昭和のお父さんだったり、朝ドラのパパから乙女な美容師まで幅広い役柄を演じていくんだなと感慨深かったのですが、菰田一家が出て来てからそんなことは吹っ飛びました。
とにかく、西村まさ彦さんのカクカクした挙動不審な動きと、何の音だか分からないノイズが不気味で気持ちが一気に暗くなりました。
大竹しのぶさんもさすがの怪演で、狂気がすごいです。
ショッキングな演出と不快な音と、癖の強い登場人物でお腹いっぱいです。
後半はとにかく犠牲者がどんどん出てきて画面を直視出来ませんでした。ホラー映画が好きな方は平気かと思いますが、私はダメでした。
生まれながらのサイコパスを描いていますが、大竹しのぶさんの圧倒的な強さにちょっと笑ってしまいました。無敵過ぎます。
森田監督の映画ってこんな感じだったかなと、何か違和感がありました。
40代女性
★★★★☆星4
生命保険会社に勤めるサラリーマンの家で起こる保険金詐欺夫婦を描いたリアルなホラー作品です。
この作品でまず光るのは大竹しのぶえの正しく怪演が目を引きます。
時期的に、保険金殺人なのや、カレーに毒を盛る事件なども起こった時世であり、本映画は意外とリアルな側面もあります。
物語の大詰めで大竹しのぶが主人公の内野聖陽演じる若槻を大竹しのぶ演じる幸子が鬼の形相で追い詰めヌードになっていたので、非常に脳裏に焼き付いています。
大きな金額のお金は人を狂わせてしまうものだという事実と、一番怖いのは幽霊などではなく、人間自身の「欲」が一番怖い物だという事をこの映画でつくづく感じました。
古い映画ですが、ストーリも映像も古さを感じず普遍的な内容だと思います。
40代男性
★★★★★星5
映画『黒い家』は、作家・貴志祐介原作で第4回日本ホラー小説大賞受賞した日本ホラー小説大賞受賞作の中でもトップクラスの傑作です。
この作品を監督したのは、映画『黒い家』同様に心神喪失・心神耗弱者の罪と罰を描いたサイコサスペンス『刑法第39条』も監督した森田芳光監督です。
映画の内容的には『保険金殺人』というキーワード一言で説明出来る単純な物語ですが、作品のキャッチコピーにあるように『この人間には心がない』の惹句が、この作品の見所を遺憾なく表現していて、昔の良き時代の角川映画を想起させます。
モンスターや化け物などを登場させて人を恐怖に陥らせるのではなく、一番身近な存在の『人間』自体が一番怖いことを私に教えてくれた記念碑的作品です。
30代男性
*映画「黒い家」のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。