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『オッペンハイマー』が日本で公開しない噂はなぜ?何をした人なのか見る前に予習!【あらすじネタバレや感想評価も】

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2024年3月29日、日本公開の映画『オッペンハイマー』。

原爆の父として知られるロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記映画で第96回アカデミー賞では作品賞を含む7部門を受賞しました。

主演にキリアン・マーフィー、オッペンハイマーの妻役に『クワイエット・プレイス』シリーズなどにも出演するエミリー・ブラント、アインシュタイン役には『戦場のメリークリスマス』でローレンス役を演じたトム・コンティのほか『アイアンマン』などでお馴染みにロバート・ダウニー・Jrやマッド・デイモンなど豪華キャストも見所の作品となっています。

映画『オッペンハイマー』の口コミ評判レビューには、

  • 話は少し難しかった
  • オッペンハイマーを善人に演出しすぎ感はあった
  • 主役級のキャストばかりで見応えがある
  • 人間ドラマとしても深い内容
  • 鑑賞時間が長く感じた
  • キリアン・マーフィの魅力にハマった作品
  • 原爆を作ったことの葛藤や苦悩が濃密に描かれている
  • 予習してから見た方が内容は分かりやすい

という声が多数集まっています。

この順番でチェック
  • 映画『オッペンハイマー』が日本で公開しない噂はなぜ起こった?
  • 映画『オッペンハイマー』でオッペンハイマーは何した人?見る前に予習!原爆を作ったことの後悔とは?
  • 映画『オッペンハイマー』のあらすじ
  • 映画『オッペンハイマー』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)

もし、まだあなたが一度も映画『オッペンハイマー』を観ていないなら、まずはネタバレとあらすじ・感想評判の前に作品を観ておくことをおすすめします。

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日本で公開しない噂はなぜ起こった?

映画『オッペンハイマー』は2023年7月に本国アメリカでは公開されると、大ヒットを記録。

全世界で興行収入約9億ドルを超える2023年のアメリカを代表するヒット作品となりました。

日本では、本国での公開から半年後の2024年3月に公開されることとなりましたが、一時は公開しないという噂が流れていました。

なぜ、そういった噂が流れたのか?理由について考察してみました。

管理人

インターネットミーム:バーベンハイマーの影響

日本で『オッペンハイマー』が公開されないという噂が流れた理由は、インターネットミームとしてアメリカ国内で流行したバーベンハイマーの影響が考えられます。

このミームは、アメリカ国内で『オッペンハイマー』と同日公開された『バービー』を合わせた造語となっていますが、ハリウッドで正反対の超大作が同日に公開されるというニュースは映画ファンの中で久々の嬉しいニュースとなり、『バービー』と『オッペンハイマー』の画像を合成したミームがインターネット上で急速に広まっていきました。

配給会社のワーナーブラザーズとユニバーサルピクチャーズもこのインターネットミームをマーケティングに積極的に利用して、結果的に両作品とも大ヒットを記録することとなりました。

しかし、原子爆弾が発生した後のキノコ雲がポップアートのように使用した画像なども出回っており、原爆の被害国である日本ではこのインターネットミームは非常に批判的に受け入れられることとなりました。

管理人

その批判に追い打ちをかけるかのように、バービーの公式ツイッターアカウントがファンアートとして投稿されていたバービーの髪の毛がキノコ雲のように加工されている合成写真やキノコ雲と笑みを浮かべるオッペンハイマーの写真などを好意的に紹介したために、批判が爆発しました。

この批判が爆発した時期が『バービー』が日本で公開される直前だったこともあり、配給会社のワーナーブラザーズが謝罪し、日本語吹き替えを担当していた高畑充希さんもこの騒動について非常に悲しいといったコメントを残す事態となり、なんとか公開はされたものの、日本では興行収入ランキングで8位という結果になり、全体的な興行収入も振るわない結果となってしまいました。

バービーにあまり馴染みがない日本で受け入れられにくかったという事情もあるのかもしれませんが、バーベンハイマーの影響も興行不振の理由の1つであると考えられます。

この騒動もあり、『オッペンハイマー』は原子爆弾について描いた作品であり、バービー以上の批判が集まることが考えられたために、日本で公開しないという噂が流れたと考えられます。

管理人

このバーベンハイマーの騒動によって、アメリカ国内と日本国内では原子爆弾投下についての価値観が大きく違っていることが浮き彫りになったと言えます。

日本国内でも無事に公開された『オッペンハイマー』

バーベンハイマーの騒動もあり、日本では公開されないのではという噂が流れた『オッペンハイマー』。

ですが、2024年3月に日本国内で公開されると、バービーの日本国内での興行不振といった不安とは裏腹に興行収入10億円を超えるヒットとなりました。

この結果となったのは、これまで『インターステラー』や『TENET テネット』といった数々のヒット作を世に送り出しているクリストファー・ノーラン監督の作品であることや、作品の出来が素晴らしかった点、第96回アカデミー賞で作品賞を受賞した点などに理由があると思います。

管理人

ただ、日本国内では、映画『オッペンハイマー』で原爆による日本の被害状況について直接的な描写がなかったことに対して批判的な意見も上がりました。

この作品をきっかけにアメリカ国内でも原爆投下の歴史について再認識し、若い世代につながっていく流れが出来ることを期待したいものです。

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オッペンハイマーは何した人?見る前に予習!原爆を作ったことの後悔とは?

映画『オッペンハイマー』は、実在した人物であるロバート・オッペンハイマーを描いた伝記映画となっています。

約3時間というかなり長尺の映画で、観る前に軽く予習した方が作品に入り込みやすいと思います。

オッペンハイマーは何をした人なのか?その概要について紹介していきます。

管理人

原子爆弾の生みの親・オッペンハイマー

オッペンハイマーは、アメリカ出身の物理科学者として原爆開発のプロジェクトである「マンハッタン計画」のリーダーとして抜擢され、リーダーシップを発揮し、1945年に原子爆弾を開発した人物として知られています。

開発後の1945年8月6日に広島、8月11日に長崎で原爆が投下され、ご存知のように日本は壊滅的な被害を受けて降伏します。

終戦に大きな貢献をしたということで、オッペンハイマーは世界初のニュース雑誌として長きに渡ってアメリカで影響力を持つTIME誌で表紙を飾るなど英雄として扱われ、一躍時の人となりました。

原爆を作ったことへの後悔

そんなオッペンハイマーですが、英雄として羨望のまなざしを受けながらも、日本の被害状況や原爆の恐ろしさについて苦悩するようになり、当時のアメリカ大統領トルーマンと面会をした際には原爆投下への後悔を口にし、大統領を激怒させ、それ以降面会を許可しなかったというエピソードまで残っています。

1960年に終戦後、初めて日本を訪れた際には政府関係者からの監視もあったためか原爆投下について後悔はしていないという趣旨の発言をしましたが、続く1964年に非公式に来日した際には原爆被害者に対して、涙を流しながら何度も謝罪の言葉を口にしたというエピソードも残っており、原爆を作ったことに対しての後悔があったことが感じ取れます。

また、1945年の原爆開発以降、ソ連との核兵器開発競争が勃発し、世界は核兵器の恐怖に晒されるようになります。

このような状況を作ったことについても、1965年のインタビューでオッペンハイマーは強い後悔の念を口にしていました。

管理人

その後、オッペンハイマーは1967年2月に62歳でその生涯に幕を閉じました。

映画『オッペンハイマー』のあらすじ

以下、映画『オッペンハイマー』のあらすじです。

『オッペンハイマー』のあらすじ|「マンハッタン計画」のリーダーとして抜擢されるオッペンハイマー

原爆の父としてアメリカで英雄として称えられたオッペンハイマー博士は、1954年 ソ連のスパイである疑いをかけられてしまい、公聴会で執拗な詰問を受けており、過去について語り始めます。

1926年にイギリスのケンブリッジ大学に留学をしていたオッペンハイマーはホームシックで周りに馴染めずにいたところ、量子学の父であるニールス・ボーアに認められ、彼の推薦のもとにドイツ・ゲッティンゲン大学に向かい、ハイゼンベルクといった優秀な研究者と出会い、物理学研究を極めていきます。

1929年にアメリカ・カリフォルニア大学で助教授となったオッペンハイマーの物理学講義は評判を呼び、少しずつ広まっていきますが、研究とは別にオッペンハイマーは様々な政治思想に興味を持っていたことや、弟のフランク、妻のキティが共産党員であったことから、共産党員ではないかと疑いを持たれていました。

そんな中、1942年にオッペンハイマーはアメリカ軍のグローブス大佐から原子爆弾開発のプロジェクトである「マンハッタン計画」のリーダーとして抜擢されます。

『オッペンハイマー』のあらすじ|日本に投下される原子爆弾

当時ドイツはアメリカより先に核分裂を発見しており、ハイゼンベルクといった優秀な科学者が多数存在していたことからオッペンハイマーは脅威を感じていました。

ユダヤ人であるオッペンハイマーはナチスドイツよりなんとしても先に原子爆弾を開発するため、周囲を有刺鉄線で囲んだ大規模なロスアラモス国立研究所を設立し、ナチスドイツから亡命してきた者を含む優秀な研究者を集結させ、日夜研究に励んでいました。

研究者の中には後に水爆の父として名を馳せるエドワード・テラーの姿もあり、意見の衝突がありながらも研究は進んでいきます。

1945年5月にドイツが降伏を宣言したことから、原爆不要の声があがりましたが、オッペンハイマーは未だ降伏をしない日本の存在を伝え、日本に原爆を投下して戦争を終わらせると宣言し、研究を進め、トリニティ実験を成功させて遂に原爆が完成します。

研究所全体が歓喜の声をあげる中、原爆の圧倒的な威力を目の当たりにして以来、オッペンハイマーは強い恐怖を抱くようになっていました。

アメリカ軍は8月6日に広島、8月9日に長崎に原爆を投下し、日本は壊滅的な被害を受けて降伏、戦争は終結します。

『オッペンハイマー』のあらすじ|原爆投下の罪悪感に苦悩するオッペンハイマー

終戦の立役者となったオッペンハイマーは、原爆の父として英雄のように賞賛されますが、原爆投下への罪悪感に悩まされるようになり、当時の大統領であるトルーマン大統領と面会した際も原爆開発の後悔を語り、激怒されてしまいます。

1949年にソ連が原爆の開発に成功したことを知ったオッペンハイマーは、核開発競争を防ぐために水爆研究に反対の意を示しますが、過去の共産党員との関わりからソ連のスパイであると疑われることとなり、公聴会が開かれることになってしまいます。

オッペンハイマーの疑惑について暗躍していたのは、アメリカ原子力委員会の委員長であったルイス・ストローズでした。

彼は過去にオッペンハンマーに恥をかかされたことをずっと根に持っており、彼を公職から追放するチャンスをずっと窺っていたのでした。

以上、映画『オッペンハイマー』のあらすじでした。

果たして、オッペンハイマーはストローズの思惑通りに公職から追放されてしまうのでしょうか?

結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。

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映画『オッペンハイマー』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)

以下、映画『オッペンハイマー』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。

感想評価(※ネタバレ有)|原爆の父・オッペンハイマーの半生を巨匠クリストファー・ノーランが描いた3時間に渡る超大作

映画『オッペンハイマー』は、原子力爆弾の生みの親として知られる科学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた作品となっています。

監督を務めたのは、『ダークナイト』や『インセプション』といったヒット作品で今やハリウッド屈指のヒットメーカーとして知られるクリストファー・ノーランで第96回アカデミー賞で監督賞や作品賞など7部門を受賞し、高い評価を受けました。

そんな映画『オッペンハイマー』は、日本の歴史の上で避けては通れない原子爆弾を作るまでの経緯やなぜ日本に投下されたのか、そして開発したオッペンハイマーの苦悩やその後の転落などが描かれていきます。

映画は、原爆の父としてアメリカ国内で英雄扱いされていたはずのオッペンハイマーがソ連のスパイであることを疑われ、公聴会で詰問を受けて過去を振り返っていくシーンから始まり、その後は過去の回想と公聴会のシーンが交互に描かれ、時間軸がバラバラになるため、混乱してしまう可能性がありますので注意が必要です。

優秀な頭脳を持ったオッペンハイマーですが、留学していた際に教授を青酸カリ入りのりんごで衝動的に毒殺しようとしたり、既婚者である女性キティと略奪婚をしたり、原子力委員会のストローズの過去について卑しい靴売りと空気の読めない発言をするなど、欠落した感性があったことが明らかになっていきます。

そんなオッペンハイマーが中盤ではユダヤ人であったことからナチスドイツより先になんとしても原子爆弾を作るために躍起になり、原爆の開発に成功、戦争を終わらせるために降伏をしない日本に対して原爆を投下、英雄として称賛される姿が描かれます。

日本人として、この展開については胸が苦しくなりましたが、オッペンハイマーは原爆での被害者のことを考えて称賛されながらも罪悪感のあまりにずっと苦悩する姿が描かれていきます。

管理人

オッペンハイマーを演じたのは、演技派俳優のキリアン・マーフィーですが、揺れ動く天才科学者の繊細な感情を見事に演じ切っており、アカデミー賞受賞も頷ける圧巻の演技となっています。

その後、オッペンハイマーは原爆への消極的な発言や水爆への反対の意を示していきますが、その事に目をつけた原子力委員会のストローズは過去に共産党員との関わりがあったことからオッペンハイマーがソ連のスパイであるとでっち上げ、彼を公職から失脚させようと暗躍します。

ストローズは過去の発言や行動によって恥をかかされたという極めて幼稚な理由からオッペンハイマーを陥れようとしており、原爆開発の達成感と罪悪感の狭間で苦悩しているオッペンハイマーとは対照的に描かれ、その視点の違いがとても興味深いです。

オッペンハイマーの視点はカラー、ストローズの視点はモノクロの映像で描かれているので、それぞれの考えに注目しながら鑑賞するのも面白いと思います。

管理人

ラストシーンでは、物理学の第一人者であるアインシュタインとオッペンハイマーの会話が描かれますが、天才科学者でしか味わえない苦悩をリアルに表現されたシーンとなっており必見です。

3時間という長尺で科学者の半生を描いた作品と聞くと、とても退屈な印象を持ってしまいますが、クリストファー・ノーランならではの映像表現によって展開していくため、飽きることなく楽しめる作品となっています。

原爆を取り扱った作品ということで拒否反応が持ってしまう方がいるのも当然ですが、一度先入観を取っ払って鑑賞することをオススメします。

『オッペンハイマー』のみんなの口コミ評判レビュー

『オッペンハイマー』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。

「原子爆弾の開発を進める中で抱く葛藤が垣間見えた」「狂気的な天才の苦悩と大虐殺にも等しい成功を描いた作品」「ストーリーの過去未来が交互に描かれ、少し観にくい」「途中でなかだるみするようなこともなく、あっという間にエンディングになった」

それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。

★★★★☆星4

オッペンハイマーは原爆の父と言われた物理学者の一人で第二次世界大戦当時、アインシュタインに並ぶ物理学者でした。

作品の感想としては、政治家な部分と科学者として描かれたオッペンハイマーの二人のオッペンハイマーがいて、最初でこそ、科学者で戦争を終わらせようという考えで原子爆弾を作っていたんですが、途中からとある人物の妨害工作で自分の立場が危うくなり始めると自己の保身のために原爆を使用しようとするなど葛藤が書かれていて、科学者ってとりあえず言われたものを作ればそれで終わりじゃあないの?という科学という分野の裏側を見ることができた映画に見えます。

だからオッペンハイマーが自己保身で原爆を使い、成果に満足した一方で、このような危険な兵器を作り上げたことについての後悔のほか、彼の家族が今も原子爆弾について父の後悔を伝え歩いて広島を訪れるなどといった事を見ても彼の生涯は平たんではなく、急勾配のある生涯だったように感じました。

40代男性

★★★★☆星4

クリストファーノーランの作品が大好きで、毎回映画館で観ています。

今回もノーラン作品という情報だけで、内容に関しては無知過ぎる中で鑑賞。難しかった、、、!

ノーラン楽しみ!ワクワク!と思っていたら全然ワクワク!という内容でなく、、、会話のテンポもすごく早くて、内容についていくのが大変でした。

もう少し事前に勉強しておけばよかったと何度も思いながら観ていました。

でも、さすがノーラン。難しい伝記作品でも、ノーラン節は光っていて、観る者を飽きさせない。

主演のキリアンもノーラン作品の常連。素晴らしい演技で魅せてくれました。

3時間の作品だけど、全く長さを感じさせず、最後まで観れました。次観る時にはもう一度歴史を勉強してから観たい

30代女性

★★★★★星5

原爆の父としてマッドサイエンティストのイメージでしか見ていなかったロバート・オッペンハイマーの生涯を多方面から考察して、狂気的な天才の苦悩と大虐殺にも等しい成功を描いた作品でした。

原爆開発の陣頭指揮を執った事への後悔からか冷戦時代には水爆開発に反対した人格者に見える一面があるものの、ヴィシュヌ神の化身クリシュナに自分自身の姿を重ねていることから根っからの破壊者である事を自覚している人物なので、映画の演出はオッペンハイマーを善人に演出しすぎと感じる方も多いと思います。

オッペンハイマーは、『バットマン ビギンズ』でスケアクロウを演じたキリアン・マーフィーが演じていますが、どこか遠くを眺める様にただ佇むシーンに哀愁を感じ、妻との絆に救いを求めているようなシーンに1人に弱い人間なんだと思ってしまいます。

豪華な出演人には、アインシュタイン役を演じた戦場のメリークリスマスのジョン・ロレンスをはじめとして、オッペンハイマーをスカウトして来たレズリー・グローヴィス役のマット・ディモンやオッペンハイマーの妻役のエミリー・ブラントなど人気を博した映画の主演級がキャストされているので、感情の機微を複雑で面白かったです。

40代女性

★★★★☆星4

主人公であるロバート・オッペンハイマーは原爆開発の中心人物であり、原爆を作ったことに対する葛藤や苦悩が濃密に描かれていました。

科学技術の進歩に対する倫理的な問題をどう受け止めるかという重いテーマが作品全体を貫いています。

爆弾開発の緊迫感や、政治的な駆け引きや裏切りなど、人間の脆さや醜さが存分に描かれ、人間ドラマとしても深い内容であったと思います。

ストーリーの過去未来が交互に描かれ、少し観にくい作りになっていたため、鑑賞時間が長く感じられました。

オッペンハイマーの苦悩には大変同情をしますが、日本人としてはやはり複雑な気持ちになってしまうのは致し方ないことだと思います。

心が辛くなる方も多いかもしれないので、人間ドラマを見る作品として割り切った方が良いかもしれません。

30代女性

★★★★★星5

原爆投下後に英雄と持て囃されたオッペンハイマーが戦後数年後には、マッカーシズム吹き荒れる政権下のアメリカで、左翼思想を根拠に非国民扱いされている公聴会での痛々しい姿から物語は始まります。

当時トルーマン大統領との面会で、「自分の手が血だらけに汚れている気がする…」と弱音を吐いた彼に、トルーマンは「地獄へ行くのは投下を決めた自分だから、何も君が気に病む必要は無い」と慰めたその舌の根も乾かぬ数分後、彼の退席を確認したその直後に側近に向かって「あんな臆病者を二度と自分の前に連れて来るな!」と激怒したという逸話が残っています。

当時の彼の悔恨は、アメリカ人の主流派のそれでは無かったのかも知れないし、現在でも多くのアメリカ人が、“原爆投下が戦争終結を早め、多くのアメリカの若者(軍人)の命を救った“と頑なに信じて疑わない事でしょう。

それでも彼の優しさと弱さとは、思想や信条を越えたアメリカの良心と言う事も出来るし、人類普遍のヒューマニズムの体現と捉える事も出来ます。

戦後、アインシュタインを始めとする科学者達が、野放図な軍拡競争に反対したのは有名な話。

長らく、“それでも彼は遂に広島・長崎を訪れる事は無く、被爆者と面会する事も無かった…“と言われていましたが、つい先般、生前彼が被爆者の代表女性数人と通訳だけで面会し、号泣しながら謝罪をしたと言う証言がニュースで報じられていました。

“我は死なり。全ての破壊者なり…“

人類は過ちも犯すが、それでも人類普遍のヒューマニズムは…それでも生き続ける。人は人を信じてきっと良いのだと、そんな事まで色々と考えさせて貰いました…

20代男性

★★★★☆星4

クリストファー・ノーラン監督の作品だったので上映を楽しみにしていました。

3時間という長い映画ですが、途中でなかだるみするようなこともなく、あっという間にエンディングになりました。

日本人としては、「原爆の父」を描いた作品なので、正直なところ、複雑な心境はもちろんあります。

しかし、原爆をアメリカ側から眺める作品は少ないので、見なければならないと思って映画館に足を運びました。

オッペンハイマーは、自分が中心となって完成させた原爆の実験が成功する場面に立ち会いました。

自分が作り上げたものが完成した、そして実験が成功したことは、技術者にとって喜ばしいことでしたが、同時に彼は、原爆が実際に使われることで、どのような惨劇が起るのかを予測できていました。

オッペンハイマーは、広島・長崎に行った現地を見たわけではありませんが、彼の心の目には広島・長崎の惨状が見えていました。

キリアン・マーフィーが苦悩するオッペンハイマー博士を見事に演じていました。

戦後、オッペンハイマーが、「共産主義者」」のレッテルを貼られながらも核軍縮を唱えるようになったのは、自分の作り上げた原爆がもたらした惨劇への罪滅ぼしだったのでしょう。

アメリカという国家は原爆投下をかたくなに正当化しています。

そんな中で、「原爆の父」と呼ばれた男が、核軍縮を唱えたことに、一人の日本人として救いを感じました。

監督・俳優陣の仕事のすばらしさにも脱帽しました。DVDになったらまた見てみたいです。

50代男性

★★★☆☆星3

『オッペンハイマー』を観て、天才科学者としての彼の高揚感や、難問を解く喜びをもっと深く描いてほしかったと感じました。

数学が好きな私としては、原子爆弾開発という難題に挑む過程での彼の興奮や執着心をもっと見たいと思いました。

映画では、開発後の罪悪感が強調されていましたが、成功するかどうかの不安や、科学者としてのプライドいった、アインシュタインのような他の天才科学者にも共通するような葛藤がもう少し描かれていれば、より共感できたと思います。

天才科学者である彼にとって、そのような葛藤は当たり前のものかもしれません。

が、一般の科学好きとしては、科学者としての成功と苦悩がバランスよく描かれた作品を期待していました。

この映画ではその側面がやや少ないと感じました。ただの数学好きの感想です。

40代男性

★★★★☆星4

ノーラン監督がどのように原爆をアメリカ視点で描かくのか知りたくて見に行きました。

日本の観点からしか原爆について教わっていなかったので、ある意味新鮮な気持ちで見ることができました。

オッペンハイマーの後悔する気持ちがリアルに思い浮かび、何と言えない考えさせられる作品でした。

科学が大きく発展しても、それを活用する人間が大きく発展していなければ、取り返しがつかなくなる危険性があることを再認識しました。

難しい役柄を見事に演じたキリアン・マーフィの魅力にハマった作品でもあります。

苦悩する表情、鼓動、仕草など細かい部分まで見事に演じ切っています。

ただし、広島と長崎の被害を直接描いたシーンがない点だけが、少し残念に感じました。

40代男性

*映画『オッペンハイマー』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。

引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。

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