『あんのこと』の実話を解説！元ネタ事件となった新聞記事の結末について【あらすじネタバレや感想評価も】
2024年6月7日公開の映画『あんのこと』。
新聞記事にも掲載された実際にあった出来事を『22年目の告白 -私が殺人犯です-』などを手掛けてきた入江悠が監督を務めました。
映画『あんのこと』の口コミ評判レビューには、
- とても胸が苦しくなった
- 考えさせられる映画
- 見るとしんどくなる作品
- 河合優実の演技が光っていた
- 孤立と分断を描いた作品
- 現実の無常さや過酷さも強烈に実感させられる
- 実話だと知って愕然とした
- 生まれた環境などの恐ろしさを感じた
という声が多数集まっています。
- 実話を解説！元ネタ事件となった新聞記事の結末について
- 映画『あんのこと』のあらすじ
- 映画『あんのこと』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
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実話を解説！元ネタ事件となった新聞記事の結末について
主人公・杏の悲劇的な運命を描いた映画『あんのこと』。
実話を基にして監督を務めた入江悠さんが脚本も担当しました。
そんな気になる実話はどういったものだったのでしょうか？解説していきます。
管理人
元ネタ事件は朝日新聞で報じられた新聞記事
映画『あんのこと』は、2020年6月に朝日新聞社が発行する朝日新聞で取り上げられていた新聞記事が基になっています。
この新聞記事では映画と同じように幼少期に虐待を受け、薬物中毒に悩まされながらも、介護福祉士として働くようになった「ハナ」という女性のことが取り上げられていました。
映画『あんのこと』の映画プロデューサーである國貫瑞恵さんは、この記事に注目し、入江悠さんに話を持ち掛けて、映画が制作されるきっかけとなりました。
管理人
ハナの結末
映画『あんのこと』の基になった朝日新聞の記事によると、ハナさんは映画と同じように思うように勤めることが出来なくなり、夜間学校へ学ぶ計画を抱きながら自殺したと書かれていました。
プロデューサーの國貫さんはハナさんのような女性の人生を映画で残さなければならないという強い使命感に駆られ、入江悠さんに話を持ち掛けたそうです。
入江さんは話を持ち掛けられ、記事について調べた際に、ハナさんを担当し更生の手助けをしていた刑事が、実は別の更生者へ性的暴行を加えて逮捕されていたことを知り、衝撃を受けます。
そして、脚本を作り、主人公・杏と刑事・多々羅という二人のメインキャラクターを描く際のヒントにしたそうです。
入江さんは、ハナさんについて描く際に、ただ悲劇的な人生を歩んだかわいそうな女性として描き、お涙頂戴の感動ポルノにするのはやめようと考え、映画『あんのこと』の基になった記事を書いた新聞記者に取材協力をお願いし、徹底的にハナさんについてリサーチしたそうです。
その結果、悲劇的な最後を遂げてしまったハナさんでしたが、きっと過酷な日々の中でも大切にしたい記憶や楽しかった日々があっただろうと考え、鑑賞した人々が存在を身近に感じられるような描き方をしたんだそうです。
映画『あんのこと』で主人公の杏を演じた河合優実さんは前述した入江さんの「かわいそうな女性として描くのはやめよう」という考えに共感し、逆境に負けずに立ち向かおうとしていたハナさんに強い尊敬を抱きながら、熱演したそうです。
管理人
実話との違い
そんな朝日新聞の記事を基にストーリーが作られた映画『あんのこと』。
あくまで記事を基にしたフィクション作品で、全てが実話というわけではではありません。
多々羅の悪行をリークした記者・桐野のような存在は実在しません。
また、映画の終盤で杏が隣人の息子を押し付けられるシーンがありますが、こちらも事実とは異なります。
ただ、ハナさんが杏と同じように悲劇的な最後を遂げてしまったのは紛れもない事実となっています。
管理人
『あんのこと』のあらすじ
（以下、映画『あんのこと』のあらすじです。）
『あんのこと』のあらすじ｜刑事・多々羅と出会い、少しずつ人生が好転していく香川杏
足の不自由な祖母とスナック勤務の母親の三人で団地に暮らす香川杏は、中学生の頃から生活費のために売春をして家族を支えていました。
21歳になった杏は薬物中毒者となり、覚せい剤所持により逮捕されてしまいますが、人情味溢れる刑事・多々羅と出会い、彼が主催する薬物中毒患者の自助グループ「サルベージ赤羽」に通うようになり、少しずつ心を開くようになります。
多々羅の協力や施設を取材する記者・桐野の紹介によって福祉施設に勤務するようになった杏は、実家から出て初めて一人暮らしを始め、その真面目な仕事ぶりから施設長や入居者からも親しまれるようになります。
そんな矢先、福祉施設が手違いによって杏の給与明細を実家に送ってしまったために杏の居場所を知った母親が勤務先に怒鳴り込んできます。
『あんのこと』のあらすじ｜順風満帆な生活も束の間、杏を襲う試練
大暴れしながら杏を連れて帰ろうとする母親でしたが、杏の仕事ぶりを評価している施設長がなんとか追い返します。
施設長の温かい言葉に救われた杏は涙を流しながら、仕事に戻りました。
義務教育すらまともに受けることが出来なかった杏は福祉施設で働きながら、夜間中学にも通うようになり、順風満帆な生活を送っていました。
しかし、そんな日々も長くは続かず、人員整理のために福祉施設の仕事を失ってしまい、学校も長期休講になってしまったため杏は不安な日々を過ごすようになります。
不安な日々に追い打ちをかけるように施設を取材していた記者・桐野の記事によって多々羅が更生施設の女性たちに性交を強要していたことが明らかになり、多々羅は逮捕されてしまうのでした。
『あんのこと』のあらすじ｜再び売春をすることになってしまう杏
信頼していた多々羅に相談することも出来なくなり、杏は孤独を感じるようになります。
そんな中、隣に住むシングルマザーの女性から幼い息子のハヤトを託されてしまい、仕方なくハヤトの世話をするようになります。
戸惑いながらも献身的にハヤトの子育てをする杏は次第にやりがいを感じるようになっていました。
そんな中、再び居場所を突き止めた母親が杏の前に現れ、祖母が病気になってしまったことを理由に杏を実家へと連れ戻し、生活費のために再び売春をするよう命令するのでした。
果たして、杏はどうなってしまうのか？
結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。
以上、映画『あんのこと』のあらすじでした。
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映画『あんのこと』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
（以下、映画『あんのこと』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。）
感想評価(※ネタバレ有)｜入江悠監督らしいリアリティのある描写が胸を打つ話題のヒューマンドラマ
映画『あんのこと』は、重度の薬物中毒患者で売春によって家族を養っている主人公・杏の姿を描いたヒューマンドラマになっています。
監督を務めたのは、『SR サイタマノラッパー』で注目を集め、『22年目の告白 -私が殺人犯です-』など話題作を次々に手掛ける鬼才・入江悠監督です。
リアリズムのある描写に定評がある入江監督ですが、映画『あんのこと』でもその魅力が溢れており、冒頭から杏が売春を行い、薬物に溺れるショッキングなシーンが描かれます。
管理人
そんな杏は運命的に人情味あふれる刑事・多々羅と出会ったことから、彼が主催する更生施設に出入りするようになり、施設を取材していた記者・桐野の紹介によって、毒親という言葉がぴったりの母親から離れ、福祉施設に勤務するようになるなど少しずつ状況が好転していきます。
演技派俳優の佐藤二郎さんが演じる刑事・多々羅は破天荒でありながら、人情味やコミカルな面も併せ持つ個性的なキャラクターで、佐藤さんの演技力を堪能することが出来ます。
母親に暴力を振るわれ売春を強制されながらも、足の不自由な祖母のために家族を見捨てることが出来ずに絶望し、うつろな表情を浮かべていた杏が勤務する福祉施設で利用者や施設長から信頼され、夜間中学に通うようになるなど、明るい表情に変わっていく様子は観ているこちらも幸せな気持ちになれます。
ここまでの展開だと普通の感動的なヒューマンドラマに見えますが、そうはいかないのが入江監督で、その後は心から信頼していた多々羅が桐野の記事によって、更生施設の女性たちに強制性交をしていたことが明らかになり、逮捕されてしまうというまさかの展開になります。
更に活き活きと仕事をしていた福祉施設を事実上の解雇となり、夜間学校も長期の休講となってしまったために、杏はまたもや不安定な精神状態に陥っていきます。
隣に住んでいた女性から突然幼い息子ハヤトを託された杏は、不器用ながらも献身的に子育てを行い、少しずつ前向きになっていくのですが、杏の居場所を突き止めた母親が突然に姿を現し、難病を患った祖母のために再び売春を強制され、杏はまたもや人生のどん底に堕ちていく救いようのない展開が続いていきます。
ラストでは、ハヤトが児相に連れて行かれたことから完全に生きる希望を失ってしまい、杏が覚せい剤を打って自ら命を絶つという悲劇的なシーンを迎えます。
自分なりに努力を重ね、人生を好転させようと一生懸命な杏が自分の力ではどうすることも出来ない事情によって、何度も窮地に追いやられてしまい、最終的に自ら命を落としてしまう様子は本当に救いようがなく、鑑賞しながら苦しい気持ちになってしまいます。
管理人
杏を演じた若き演技派女優・河合優実さんの迫真の演技もあり、杏の心情に感情移入させられます。
2020年の実話を基にした作品ということで、実際にこのような悲劇的な人生を辿った女性がいると思うと、ますます胸が苦しくなってしまいますが、映画『あんのこと』を通して、それぞれが平等に幸せに生きていくためにはどうすべきなのか考えるのも良いのではないでしょうか。
『あんのこと』のみんなの口コミ評判レビュー
『あんのこと』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。
「主人公あんの苦悩と希望、そして絶望を鮮烈に描き出していた」「ドキュメンタリー的な撮影手法がリアリティだった」「感情移入してしまうと息苦しさすら感じさせられる作品」「この子のモデルになった女性の命を忘れてはいけないと思った」
それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。
★★★★★星5
「ふつう」に生きたいあんと、そうさせない家庭環境や社会環境について描かれていました。
実際に起きた事件をもとにしての作品ということで、社会の中の薬や売りのような歪みに対して課題を提示してくる内容になっています。
思わず目を背けたくなるような残酷なキツさもありながらあんを取り巻く周りの環境の存在を鮮明に露わになっていると思います。
あんが日記を燃やすシーンは心がえぐられるような痛さがありました。
日記は真っ当に働いてやっと得たお金で買ったもの。そしてそこに助けてくれた恩人、一緒にご飯を食べて笑い合えた人、初一人暮らし、子供の留意点等、彼女が積み上げてきたものが記されていて、あんの精一杯生きた証がそこにありました。
燃やし、窓から落ちた日記はあんそのものでした。
薬物、毒親、汚職、社会の問題に目を背けてはいけない、目を背けたくなるような残酷に囲まれて生きている人がいることを知らされる映画でした。
20代女性
★★★★☆星4
私はこの『あんのこと』という映画はかなりの名作ではないかと思います。大好きな作品です。
この映画を名作だと思う理由は大きく二つあります。
まずは、この話が実話をもとにつくられていて、その内容が今の日本の社会で、自分の事であろうとなかろうと、この映画のような苦しい状態になっている人がいるという事を観ている人が想像できるという事だと思います。
そしてもう一つは、河合優実さんと佐藤二郎さんはじめ役者の方たちの表現力の高さだと思います。
上記の二つの理由が合わさって、この映画は、ただの社会の苦しい側面を伝えるだけの映画ではなく、個性的な演技で魅せることによって「名作の映画作品」として素晴らしい作品になったのではないかと思います。
40代男性
★★★★☆星4
映画『あんのこと』は21歳の主人公・杏ちゃんの切なくて過酷な大変な人生が見れる作品です。
昨今の令和にありそうでとてもリアルで辛いです。
実際に杏ちゃんのような女の子がリアルにいるとか考えると胸が締めつけられる思いでした。
そして、親に感謝したいとも思いました。
次から次へと襲い掛かる試練に対して、目を背けてはいけないと考えさせられる作品です。
辛い環境の中でも必死に、生きようとする杏ちゃん。感動とかお涙頂戴エピソードよりもこういうリアリティのある作品も見た方が良いと感じましたね。
河合優実さんの演技力が凄く光るものがって、すごかったです。
素晴らしかったです。
30代女性
★★★★☆星4
とにかく重く、出演者の演技も素晴らしいのでリアリティーもあり、感情移入してしまうと息苦しさすら感じさせられる作品です。
しかも実話を基にしているというので、ただ重いだけでなく生きるという事や、生まれた環境といった事を改めてあれこれ考えさせられます。
主人公のあんは、母親の虐待によりまともに学校にも行かせて貰えず売春を強要されジャブ中になる等、正に地獄と言える環境で育っていました。
ですがそんなろくでもない毒親でも、自分の母親というしがらみは強烈で、成長してもそこから抜け出せないというのが切なかったです。
実話がベースであるが故に、こんな鬼畜な母親と、過酷な環境で生きる女性が現代の日本にも存在するのかという驚きと同時に、親ガチャに大失敗するとこんな人生になるのか、という恐ろしさをまざまざと見せつけられる感覚でした。
更にあんには何とか地獄を抜け出して、幸せになって欲しかったけど、現実の無常さや過酷さも強烈に実感させられる作品となっています。
40代男性
★★★★☆星4
『あんのこと』が実話をベースにしていること、そして重い題材を扱っているという前情報を持って、鑑賞しに行きました。
実際に映画を見て、一瞬たりとも目を逸らしてはいけない作品だな、と心から感じました。
ヒロインの杏が置かれた環境は、私にとってはにわかには信じがたいものでした。
小学4年生で小学校を中退してしまったため、漢字もほとんど読めないし、計算もほとんどできない。
生きていくために必要な知識が、根こそぎ奪われてしまっているような、無防備な状態。
家はゴミ溜めのような状態で、母親から散々に暴力を振るわれている。
足の悪い高齢の祖母もいる。
杏自身は母親からの暴力に耐えながら、薬物にも手を出しているし、自殺未遂も重ねている。
そんな状況でどうやって生きてきたのだろう、と漠然とした疑問を抱えつつ、これだけの壮絶な環境を必死に生き抜いてきた命なんだなと感じながら映画を見進めていました。
日本には様々な支援制度がありますが、それに杏があまり当てはまらないことにも驚きましたが、杏がここまで成長する前に手を差し伸べる大人はいなかったのはなぜか、という疑問もわきました。
きっと、彼女を救おうとした大人はいたのかもしれないけれども、下心があったりだとか、杏の心を開くことができなかったりだとかでうまくいかなかったのかなと想像していますが、それでも彼女ときちんと向き合ってくれる大人との出会いが乏しかったことが何よりも悔やまれました。
30代女性
★★★★☆星4
視聴中、母親の態度に心がグッと辛くなるシーンが多くありました。
酷い虐待の中、それでも主人公の杏ちゃんは、多々羅や桐野の手助けを得て直向きに明るく成長していく姿にほっとしました。
本来の杏ちゃんは真面目で優しく、心も強い女の子です。
ですが母親の春海による暴力や搾取により、生きる希望もありません。
春海から逃げたいけど、足の悪い祖母を見捨てることも出来ずにいた杏ちゃん。
それを救ってくれたのは、間違いなく多々羅刑事でしょう。
終盤多々羅が逮捕されなければ、杏には違った未来があったはずです。
しかしそれでは多々羅の被害者が増えてしまうので、桐野のどうしようもない心の葛藤ももう少し見たかったです。
母親である春海は、人としても母親としても最低ですが、その春海を育てたのは一見優しい祖母の恵美子です。
殴られる孫を見ても、狼狽るだけで何もしない恵美子から、春海もまた母親からネグレクトされ、辛い子供時代を過ごしたと容易に想像できます。
杏にはまだ子供はいませんが、預かった子供を必死に育てていたので、彼女だけは負のループを立ち切れる可能性があったと思います。
『あんのこと』は実話を元にした映画だと知り、杏ちゃんのような女性が実在していることに愕然としました。
40代女性
★★★★★星5
観る前から覚悟を求められるような、ずしりと胃に砂が詰まるような物語です。
でもきっとこんな女の子は、日本中にそして世界中にいるんだろうなと思わずにいられない重たいリアルな話でした。
あん＝杏（河合優実）は実母から虐待され、心を閉ざし、薬に逃げ、生きるために身体を売る…そこには闇しか見えず、しかし刑事の多田羅（佐藤二朗）が関わったことで、ほんの少しだけ、ベクトルが変わったかに見えました。
自分にも、なにかできるかもしれないと思えた瞬間の幸福をほんのすこしの表情筋の変化で悟らせる、河合優実さんの芝居に胸を打たれ、いつもおちゃらけたイメージの佐藤二朗さんが全身でぶつかってくる姿に圧倒され…見終わった瞬間には放心してしまいました。
もしも何か一つの要素が違っていたら、あんの人生は違った方向に転がることができたのだろうか…？と脳の中がぐちゃぐちゃになりそうでした。
セーフティネットがずたぼろの今、街には沢山のあんがいる。いるんですよ、同じバスの中に、電車の中に、その群れの中に。
自分だけは絶対に大丈夫、などとは絶対に言えません。しっかり生きねば。
そしてきちんと自分と、周りを見て、あげるべき声をあげたくなり、この子のモデルになった女性の命を忘れてはいけない、という鋭い刃のような一本でした。
50代女性
＊映画『あんのこと』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。
引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。
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