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『シャイニング』の血の洪水の意味は?双子の正体やジャックはなぜ狂ったのか?最後の写真や犬男など徹底考察解説

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1980年12月13日、日本公開の映画『シャイニング』。

映画『シャイニング』は、ホラー映画の金字塔とも言われています。

映画『シャイニング』は、映画監督の巨匠であるスタンリー・キューブリックによる傑作の1つです。

スタンリー・キューブリック監督は、20世紀を代表する稀代の天才とも言われています。

今でもキューブリックの影響力は強く、映画史における最も偉大で影響力のある映画製作者の一人として名が挙げられます。

管理人

キューブリックは、『時計仕掛けのオレンジ』『2001年宇宙の旅』『バリー・リンドン』など、多数の名作を世に出しています。

が、映画『シャイニング』は、彼にとっては異色のホラーものです。

映画『シャイニング』は40年も前の映画ですが、近年のホラー映画のような音や幽霊のCG加工など怖がらせたりビックリさせてくるものではない、恐怖感を感じられるホラー映画となっています。

そして、原作は、アメリカの超有名作家のスティーヴン・キングの代表作の1つです。

管理人

スティーヴン・キングは『キャリー』、『IT』などのホラーものから『スタンド・バイ・ミー』のような異色ものも有名です。

it それが見えたら終わり』や『キャリー』などの有名ホラー小説は、スティーヴン・キングの代表作です。

そんなスタンリー・キューブリック監督、原作スティーヴン・キングの映画『シャイニング』。

ですが、映画のみを鑑賞するだけだと少々難解な部分もありますよね。

そこで、より『シャイニング』を楽しめるように、よく挙げられている疑問点について徹底的に考察し解説していきます。

この順番でチェック
  • 映画『シャイニング』はなぜ人気なの?
  • 映画『シャイニング』は怖い?湖西シーンはどこ?
  • 映画『シャイニング』のあらすじ
  • 映画『シャイニング』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)
  • 映画『シャイニング』を徹底考察して解説
  • 血の洪水の意味は?原作にはない映画オリジナルの演出
  • 双子の正体はジャックの前任の管理人デルバート・グレイディの娘たち
  • 犬男とタキシード紳士の正体
  • 最後の写真はジャックが輪廻転生していることを意味している
  • ジャックはなぜ狂ってしまったのか?
  • 実話なの?237号室やロケ地ついて解説
  • 鏡について
  • カーペットの柄模様の意味

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目次

映画『シャイニング』はなぜ人気なの?

映画『シャイニング』は、1980年に公開されると、興行収入9,000万ドルを超える世界的な大ヒットを記録しました。

批評家からも高い評価を受けており、2018年にはアメリカ国立フィルム登記簿に保存されました。

また、ファッションアイテムのデザインモチーフになったり、スティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット作『レディ・プレイヤー1』で映画『シャイニング』のオマージュを思わせるシーンが使用されたりするなど、公開から40年以上経過した現在でも高い人気を誇っています。

なぜ、そこまで長い間映画『シャイニング』は人気を集めているでしょうか?

管理人

そんな映画『シャイニング』の魅力は3つ、挙げられます。

人気理由①監督キューブリックのこだわりが詰まった映像だから

1つ目の魅力は、スタンリー・キューブリック監督のこだわりが詰まった映像であることです。

映画『シャイニング』では映画史上初めて、移動撮影の際のブレや振動を抑える機能を持つステディカムという機材が撮影で使用されており、ダニーが三輪車でホテルを移動するシーンやホテルまで車で向かうシーンではスムーズな映像を表現することに成功しています。

映画『シャイニング』をきっかけにステディカムは世界中で広まり、現在では映画撮影の際の常套手段として広く用いられています。

が、当時としては非常に画期的で世界中の映画ファンを驚かせました。

管理人

また、一つ一つのカットが構図や色彩等について拘りぬかれています。

娯楽ホラー作品でありながらアート映画のような美しさを放っており、唯一無二の映像となっています。

そんなスタンリー・キューブリックのこだわりが詰まった映像に新鮮な感動を覚える方が多く存在し、長い人気につながっていると考察出来ます。

人気理由②役者陣の熱演が素晴らしいから

2つ目の魅力は、役者陣の熱演が素晴らしいからです。

キューブリック監督は完璧主義者として知られています。

少しでも納得がいかなければ何度でもテイクを重ねる徹底ぶりで、役者泣かせの監督として知られています。

映画『シャイニング』もご多分に漏れず、度重なるリテイクにメインキャストは精神的にも肉体的にも追い詰められたそうです。

管理人

アカデミー賞受賞経験もあるジャックを演じた名優ジャック・ニコルソンが、斧でドアを破壊し、妻のウェンディとダニーを追い詰めるシーンは、わずか2秒という短いシーンなのにも関わらず、190以上という凄まじいテイク数を重ねたようです。

その甲斐もあって映画史に残る迫真の名シーンとなっています。

また、妻のウェンディ役を演じたシェリー・デュヴァルは、撮影時にスタンリー・キューブリック監督から執拗なプレッシャーを与え続けられ、精神的に不安定な状態になっていたことを撮影後のインタビューで語っています。

髪が大量に抜け落ちるほどのストレスを抱えていたそうでです。

が、ジャックに追い詰められ必死に逃げ惑い絶叫する姿は目を見張るものがあります。

ジャック・ニコルソン以上のインパクトを感じた観客も多くいたと思います。

管理人

キューブリック監督は追い詰められた人間の姿を描くためにあえてウェンディに厳しく接していたようです。

が、現代で同じことをしていたら間違いなくパワハラで訴えられていてもおかしくないと思います。

料理長のハロランを演じたスキャットマン・クローザーズも、当時69歳という年齢だったのにも関わらず、ダニーとシャイニングの能力について話すシーンでは150近くのテイクを重ねており、体力的に非常に困難な現場だったようです。

そんな役者陣の苦労の末の熱演が長い人気につながっていると考察出来ます。

人気理由③謎めいたストーリーであるから

3つ目の魅力は謎めいたストーリーであるからです。

スティーブン・キング原作の小説を映画化した『シャイニング』。

ですが、なぜジャックが妻と息子を襲うようになったのか明確な理由は明かされず、ホテルで起きた過去の惨劇についても謎のまま映画は展開していきます。

そして、映画は50年以上前のホテルで行われた舞踏会に、ジャックの生き写しのような人物が映っているという謎めいたラストシーンで終わりを迎えます。

余計な説明がなく、謎に多く包まれているからこそ様々な解釈が出来る作品となっています。

管理人

その謎めいたストーリーが長い人気につながっていると考察出来ます。

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映画『シャイニング』は怖いの?

映画『シャイニング』をこれから鑑賞するという方の中には、ホラー映画ということもあってどれくらい怖い映画なのか気になっている方も多くいると思います。

結論から言うと、他のスプラッターホラー映画のように過剰な描写があるわけではありません。

なので、ホラー映画が苦手という方でも鑑賞しやすい作品だと思います。

ただ、R15指定ということもあって、注意すべきシーンもいくつかあります。

管理人

そんな周囲の必要な怖いシーン4つを挙げてみます。

怖いシーン①風呂場の腐敗した女性の死体

ジャックが279号室を訪れると、浴室に美しい女性が全裸で立っており、ジャックがその女性を抱きしめます。

すると女性は老婆に変わり、やがて腐敗した死体に変貌を遂げていくシーンがあります。

突然美しい女性がグロテスクな姿に変貌を遂げてしまうため、ショックを受けてしまう方もいると思いますので注意が必要です。

管理人

また、女性のヘアや乳房が映りますので、ご家族で鑑賞する際にも注意が必要な怖い気まずいシーンとなっています。

怖いシーン②双子の姉妹

シャイニングの能力を持つダニーが三輪車でホテル内をぐるぐると移動していると、双子の姉妹が現れ、次の瞬間に殺害され死体が横たわっているというシーンがあります。

おそらくこの双子はジャックの前の管理人によって殺害された双子の姉妹です。

その不気味な姿がトラウマになったという方も多くおられますので、鑑賞の際には注意が必要です。

管理人

怖いシーン③ウェンディとダニーを殺しにかかるジャック

ジャックは映画の中盤から精神的に追い詰められていき、遂に終盤では斧を持ってウェンディとダニーに襲いかかろうとします。

が、このシーンはジャック・ニコルソンの狂気的な演技もあって、非常に恐ろしく、注意が必要なシーンとなっています。

また、ウェンディ役のシェリー・デュヴァルが恐怖に怯え、絶叫する姿も死を感じた人間の恐怖感が見事に表現されています。

怖かったと語っている方が多くいるので、鑑賞の際には注意が必要です。

管理人

怖いシーン④ホテルに流れ込む血の洪水

不思議な能力を持つホテルで、一家三人は様々な幻を目撃することとなります。

が、特に印象的なのはホテルに大量の血の洪水が流れ込むシーンです。

ホテルでこれまで起きた惨劇を示唆するような不気味なシーンです。

が、おびただしい量の血が部屋を呑み込んでいく様に恐怖を感じるという方も多くいると思いますので、鑑賞の際には注意が必要です。

管理人

映画『シャイニング』のあらすじ

以下、映画『シャイニング』のあらすじです。

『シャイニング』のあらすじ|冬期休暇の間、山奥のホテルに住むことになったトランス一家

冬期休暇に入る都市部から遠く離れた山奥にあるオーバールックホテルにて、休暇中の管理人の職に就くことになったジャック・トランスは、支配人のアルマンからジャックの前に冬期休暇の間、管理人をしていたチャールズ・グレイディという男が精神に支障をきたし、家族を惨殺した挙句に自殺したという恐ろしい事実を告げられます。

しかし、気にも留めない素振りで妻のウェンディと一人息子のダニーを連れてホテルでの生活をスタートさせます。

未来の出来事への予知能力を持つダニーは、ホテルが閉鎖される日に同じく不思議な能力「シャイニング」を持つ料理長のハロランに声をかけられます。

ハロランから、このホテル全体もシャイニングを持っており、これまで様々な事件が発生していることや237号室には絶対訪れてはならないという忠告を受けるのでした。

『シャイニング』のあらすじ|ホテルでの不思議な現象の数々

激しい吹雪に見舞われる中、だだっ広いホテルにて生活を行うトランス一家。

執筆中の小説を完成させようと躍起になるジャックでしたが、孤独感からなのか徐々に家族に対して苛立ちを見せるようになり、妻のウェンディに不満をぶつけるようになります。

ダニーは、シャイニングの能力を持つホテルにて血の海が流れ込む様子や不気味な双子の少女の幻覚を見るようになり、ハロランからの忠告を受けていたにも関わらず誘われるように237号室に足を踏み入れてしまいます。

ジャックが家族を殺害してしまうという悪夢に悩まされていることをウェンディに打ち明けているところに237号室での心霊現象にて首に真新しい痣を付けたダニーが姿を見せます。

アルコール依存症を患っているジャックが以前、酔っ払ってダニーに怪我をさせた経験があることから、ウェンディはダニーの痣がジャックによるものだと決めつけ、ジャックを非難するのでした。

『シャイニング』のあらすじ|精神を蝕まれ、ウェンディとダニーに襲い掛かるジャック

ジャックはホテルでの幻覚に悩まされるようになり、存在しない何かと会話を楽しんだりと精神に支障をきたすようになります。

遂にジャックはウェンディたちを襲おうとしますが、ウェンディがバットで応戦し、気絶したジャックを倉庫へと閉じ込めることにしました。

ハロランはダニーの能力によるSOSを受けて、吹雪の中、一家を救うために急いでホテルへと向かいます。

夜になり、部屋で突然目を覚ましたダニーが口紅でドアに「REDRUM」という文字を書きますが、鏡に反転した文字が「MURDER(皆殺し)」になっていることにウェンディは気付き、恐怖のあまりに絶叫してしまいます。

次の瞬間、斧を持ったジャックが二人に襲い掛かるのでした。

果たして、ウェンディとダニーはジャックから逃げることが出来るのか?

結末が気になる方は実際に映画を観ることをオススメします。

以上、映画『シャイニング』のあらすじでした。

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映画『シャイニング』の感想評価とみんなの口コミ評判レビュー(※ネタバレ有)

以下、映画『シャイニング』の感想評価(ネタバレ・ラスト結末含む)と口コミ評判です。

感想評価(※ネタバレ有)|スティーブン・キングの同名小説を巨匠キューブリックが映画化

映画『シャイニング』は、大ヒットした『グリーンマイル』や『スタンド・バイ・ミー』、『クリスティーン』などの原作作品を世に送り出した人気小説家であるスティーブン・キングの同名小説を、映画史に残る名作である『2001年宇宙の旅』、時計じかけのオレンジ』、そして『フルメタルジャケット』などで知られる巨匠スタンリー・キューブリックが実写映画化した作品です。

「シャイニング」という不思議な能力に包まれた人里離れたオーバールックホテルが冬季休業する間、ホテルの管理をすることになった一家に訪れる惨劇を描いた作品になっています。

作品中のすべてのカットがまるでアート作品を観ているかのような完璧な構図でまとまっており、ホラー映画ながらその映像の美しさに観客は序盤から引き込まれていきます。

以前の管理人が精神異常をきたし、家族を殺害した上で自殺したという忠告を気にも留めず、管理人になったジャック、妻のウェンディ、そして、ホテルと同じく「シャイニング」という不思議な能力を持つ息子のダニーの三人はホテルでの生活をスタートしていきます。

管理人

人里離れたホテルでの孤独や不思議な能力の影響で、ジャックは徐々に精神異常をきたしていくようになり、ダニーもその能力によって、これまでホテルで起きた惨劇にまつわる幻に悩まされるようになったことから、一家の間にどんどんと溝が出来ていくようになります。

ダニーは不思議な双子の少女の幻やホテルが血の海に飲み込まれていく幻を見るようになります。

が、不気味でありながらも幻想的な映像で表現されていて、一度見れば忘れられないインパクトを観客に残します。

遂にジャックは斧を持ってホテルの能力によって促されるようにウェンディとダニーを襲うようになります。

『カッコーの巣の上で』でアカデミー主演男優賞を受賞するなど高い評価を受けるジャックを演じる名優ジャック・ニコルソンの狂気的な演技は凄まじいものがあり、特に斧でウェンディとダニーが隠れる部屋のドアを叩き割ろうとするジャックの姿はホラー映画史に残る名シーンだと思います。

管理人

最終的にウェンディとダニーはなんとか逃げ切り、ジャックは吹雪の中で凍死することになります。

ラストは、ホテルで50年以上前に撮影された舞踏会の写真の中にジャックにそっくりな人物が映っている様子が描かれます。

ジャックが元々ホテルの支配人の生まれ変わりだったことが示唆される意味深なシーンで終わりを迎えます。

なぜジャックが家族を襲うことになってしまったのかについては、ホテルの不思議な能力の影響なのか、閉鎖的な空間によって精神的に不安定になったためなのか、具体的に明言されることはありません。

また、その他についても、全体的に謎が多いのでモヤモヤする方もいるかもしれません。

が、作品の重厚な雰囲気やホラー映画なのに美しい映像、そしてジャック・ニコルソンの怪演だけでも十分に楽しめる作品だと思います。

管理人

映画『シャイニング』のみんなの口コミ評判レビュー

『シャイニング』の口コミ評判レビューには、このような評判が多い印象です。

「カメラワークや色彩は、この映画のこの監督の最大の魅力」「超能力系と心霊系を足したような不思議なホラー映画」「不気味で得体の知れない不快感が終始続くことで生まれる心理的恐怖が『シャイニング』最大の特徴」「徐々に恐怖が増していき、最後の雪の中の迷路は名シーン」

それでは、実際の口コミ評判レビューを詳しく見て行きましょう。

★★★★☆星4

超能力系と心霊系を足して割らずにぶちまけたようなカオスで不思議な作品です。

びっくり系のホラーではなく、不気味で得体の知れない不快感が終始続くことで生まれる心理的恐怖が映画『シャイニング』最大の特徴だと思います。

ただ、ストーリーがかなり難解です。

物語の根幹である、父親のジャックがおかしくなった理由がかなり分かりにくいと思いました。

仕事によるストレスなのか、閉鎖空間によるストレスなのか、ホテルであった惨殺事件が原因なのか、はたまた元々狂っていたのか、考察の余地が広大過ぎて解釈に困りました。

その為、万人に薦められる映画ではないと思います。

ただし、1980年代のホラーは『バタリアン』や『死霊のはらわた』等、スプラッター系の映画が多く、グロテスクな描写で恐怖を煽る作品が多い中、心理的な恐怖演出を取り入れた映画『シャイニング』は確かに革新的で名作ホラーと言える作品ではあります。

40代女性

★★★★★星5

言わずと知れた有名な作品です。スティーブン・キングが大好きで、スタンリー・キューブリック監督も大好きなので当然何度も見ています。

とはいえ、スティーブン・キングはこの映画について全く気に入らなかったそうで、そのためのちにテレビシリーズを自分の肝いりで作っていますが。

そういう話があると、どこが気に入らなかったのだろうとますます気になります。

が、両方とも見て、両方ともに良さはありましたが、映画『シャイニング』の勝ちだと思っています。

いくつも印象的なシーンがあります。この映画では廊下がひとつキーとなる舞台ですが、その奥に現れる女の子の双子。

オーディションでたまたま応募してきたとのことですが、そうした偶然からこのシーンが生まれたなんて驚きです。

血が大量の波となって押し寄せるシーン。

原作には全くこういった部分はないのですが、恐怖という感覚を映像化するとはこういうことなのでしょうね。

映像だけなく心理的にも鳥肌の立つのが、ホテルのロビーでジャックが小説をタイプライターで打っていると思いきや、そこには「ジャックは仕事ばかりで遊ばない。ジャックは馬鹿になる」という文章が延々と打たれている、という場面です。

いろいろなフォントで打たれたあの文章だけであれほどの恐怖を見ている人に与えることができるなんて…。

俳優ジャック・ニコルソンの、斧でトイレのドアを壊すときの表情は、この映画のポスターになっているので知らない人もいないほど有名ですが、それにしても彼の狂気に満ちた表情は必見です。

ダニーがそれまで何度も口にし、書いていた「redrum」の意味がここではっきりするのです。

私が一番好きなシーンは、ラストでオーバールックホテルの写真の中にジャックが楽しそうな表情で写っているところ。

このシーンはほかの映画でもマネされるほど、こわくない映像でこわさを出すという手法ではピカいちではないでしょうか。

50代女性

★★★★★星5

ジャック・ニコルソン演じる小説家志望のジャックの狂気に満ちた人間への変貌が見ていて恐ろしいストーリーです。

冬の間閉鎖されるホテルの管理人をすることになった家族、大きなホテルにジャックと妻、幼い子供の三人。

ホテルがジャックを変えていくのですが、そのホテルは恐ろしい呪いのホテルだったのです。

スティーブン・キングの・小説の映画化と言うだけで怖そうな第一印象です。

が、そこにキャストの演技が加わり、始まってすぐから不気味な空気しか感じません。

雰囲気を作るキャスティングがすごいと、感心しました。

心理描写も緻密で、どのシーンも見ていてすごく怖いけど、目が離せない作品です。

ホラーですから霊的な怖いシーンも満載です。

正体のわからない何かに追い詰められていく怖さと、ジャックが恐ろしい顔で妻や子供を追いかけていくシーンの迫力で、思わず目を塞ぎたくなってしまうシーンが随所にありました。

私的には途中、もうこれ以上見るのが怖い!と言う心境になったくらいです。

内容も興味深いですが、画面の恐怖感を味わうだけでも十分楽しめるのではないかと思いました。

50代女性

★★★☆☆星3

この映画は幽霊やシャイニングという霊能力など非現実的なものがたくさん出てきます。

が、私が一番怖いと思ったのは、主人公ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)が大切な家族に次第に狂気を出し始めることです。

舞台の雪山の完全に外界から遮断されたホテルの中でこの狂った夫から、子供を守らなければなならないスリル感と恐怖感でした。

家族が別人のように変わってしまう、信頼している夫が豹変して斧をもって大切なわが子と自分を追いかけてくる。

そんなウェンデイ・トランス(シェリー・デュバル)の恐怖感が同じ母親としてすごく感じたことを強く覚えています。

双子の幽霊や、老婆の霊などの幽霊よりもジャックが一番怖かったです。

血文字やエレベーターから大量の血が噴き出している幻影などもしっかりと恐怖を演出できており、ホラー映画が好きな人にはとても映画だと思います。出演俳優たちの演技力は最高でした。

ラストに関しては、そういうことってある?って感じです。

30代女性

★★★★☆星4

映画『シャイニング』は海外映画の中でも私が好きなホラー映画の一つです。

海外映画は、日本のホラーと違い、ゾッとする雰囲気で見せるホラーよりは、直接襲ってくるような幽霊などが多い印象があります。

シャイニングは後半は狂った父親に襲われて、逃げるシーンはありますが、前半は雰囲気でゾッとするシーンが多数あり、そこが私は気に入っています

特に、ダニーの前に現れた双子とのやりとりところは本当にこわかったです。

また、昔の映画かかわらず、液体が流れる様子の迫力がすごいです。

エレベーターから多量の血が溢れてくる場面は迫力がありますが、不自然ではない血の不気味さが現れていて、当時この表現ができるのはすごいなと思いました。

30代女性

★★★★★星5

最初に入るシーンからわかるスタンリー・キューブリック監督しかできない雰囲気が出てくる、鳥肌が立つぐらいいやな予感しか無いBGMが最初から何故かわからないけれど恐怖が感じます。

それからいよいよストーリーが始まります。

自分的には作品の半分まではかなりマイペースの感じがするけれども、何故そのホテルに立ち往生になった理由と主人公のジャック・トランスのバックストーリーなどを説明する為になるので仕方ないと思います。

ジャックが悪夢を見始めてからホテルの影響がだんだん強くなってくるし彼は徐々に狂気に落ちます。

それから私の中一番好きなシーンが登場します。気が狂ったジャックが斧を持って自分の家族を襲おうとしたシーンです。

映画『シャイニング』の中から誰でも知ってると思うですが、それほどスタンリー・キューブリック監督の才能がわかる時が経つに連れて未だに忘れない素晴らしい作品です。

20代女性

★★★☆☆星3

シャイニングは、原作にあった要素が大分改変されたのが気になります。

原作を読まずに映画のみを観た場合は主人公のジャックが妄想を抱いて凶行に及んだのかなと思う作り方になっているように感じました。

ホテルの通路などの配置がシンメトリーになっているので、映像全般が幾何学的で不可思議な印象を持ちました

恐らく現実世界とあちらの世界を鏡のように描きたかったのかもしれません。

ジャックが狂気に犯された原因がよく分からない状況で、ジャックは妻のウェンディーや息子のダニー、ホテルの料理長のハロランに襲いかかるようになってきてからはホラー映画らしさが出てきます。

ダニーの超能力であるシャイニングがあまり活かされていなかったように感じており、彼の能力の凄さは映画では感じられませんでした。

但し、映画自体はよく出来ていると思います。

50代男性

★★★★★星5

幼少期にテレビで、幼い坊やが誰もいないホテルの絨毯を三輪車できこきこ走っているシーンを目にして、何て美しい映像なのだろうとずっと心に焼き付いていました。

当時は「子供は見ちゃダメ!」とすぐにテレビを消されてしまったのですが、大人になってから原作小説を読み、幼少期の記憶はこれだったのかと映画にたどり着きました。

冬の間は雪に閉ざされてしまうホテルの住み込み管理人として、元教師の主人公とその妻と息子が一冬を過ごすこととなります。

が、いわくつきのホテルで次々と不気味な出来事が起こり…という展開です。

幽霊の類いが一家を襲う王道展開ではなく、主人公が妻子を攻撃し始めるのが、何とも絶望的で悲しいです。

ジャック・ニコルソンのインパクトが有名ですが、もっと主人公の内面に迫って欲しかったです。

原作小説では家族を愛する主人公が徐々にホテルの闇に染まって壊れていく様子が描かれていました。

が、映画では初登場シーンからもう怖いんですよね。そこがちょっと不満でした。

衣装やセットもオシャレなので、ストーリーとは別にただ雰囲気を楽しむのもいいかもしれません。

ただ、私の友人は「自分のお父さんが暴れる人なのでこの映画を見ていたら息苦しくなる」と言っていたので、そういった方は要注意です。

私的には五本の指に入る大好きな映画です。

40代女性

*映画『シャイニング』のみんなの口コミ評判レビューは当サイト『シネマヒッツTV』が独自で集めたコンテンツです。

引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。

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シャイニングの考察&解説|血の洪水の意味は?原作にはない映画オリジナルの演出

「斧で叩き割った扉の隙間から顔を覗かせるジャック」、「双子の少女の霊」と並び、「シャイニング」を象徴するシーンが「血の洪水」です。

このシーンもまた数多くの作品でパロディやオマージュとして消費されてきました。

例えば近年ですと2018年公開の『レディ・プレイヤー1』で思わず笑ってしまうような血の洪水のシーンがありました。同作は『シャイニング』の様々なシーンの他にもあらゆる作品のパロディに満ちており、いずれにも元ネタに対しての愛情が感じられます。

「血の洪水」は原作にはない映画だけのシーンではありますが、これぞ映画というジャンルの特性を理解した、キューブリック監督の映像センスが炸裂した映画『シャイニング』屈指の名シーンです。

そのインパクトは一度見たら決して忘れることはないでしょう。

管理人

この血の洪水のシーンは、劇中で4回あります。

1回目は管理人としてジャックの採用が決定した直後のシーンで、トニーと対話したダニーが彼からホテル行きを反対され、不吉な血の洪水のヴィジョンを見せられます。

2回目は、237号室の女に首を絞められたダニーの証言に基づき部屋を調べたジャックが、ウェンディーに何事もなかったと嘘をつく部分です。

両親が言い争うなか、すっかりホテルの悪念に当てられたダニーは自我が戻らぬまま、能力によって「REDRUM」の文字や血の洪水を見ることになります。

3回目は、ジャックの書いた原稿を見たウェンディーが、完全に彼の正気が失われていることを確信し、護身用にバットを持ちながらも、怯え後ずさりしながら会話するくだりです。

ダニーにはテレパシーのようにジャックの声が聞こえ(ただし醜く歪んで)、もはやその視界は血の洪水によって全てが赤色に覆われています。

4回目の血の洪水を見ることになるのはダニーではなくウェンディーです。

斧を持って襲い来るジャックから逃げつつダニーを探すウェンディーがエレベーターのところまで来ると、同様に血の洪水が押し寄せるのです。

このように見てみると、血の洪水はダニーが持つ能力=シャイニングによって感知することが出来る、禍々しいオーバールックホテルの心象風景であることが分かります。

同時にそれはトニー(=未来のダニー)からの警告でもありました。

終盤でウェンディーまでもがそのヴィジョンを見ることができるのは、ホテルの力がそれだけ強まっているということでしょう。

あるいは、オーバールックホテルがインディアンの埋葬地の上に建てられていることから、入植者によって流されたインディアンの犠牲者たちの血を意味しているという解釈もできます。

さらには、生命の象徴とも言える血液が大量に流れ出ることで、明確に「死」を想起させるという目的もあるかもしれません.

なお、この血の洪水のシーンは現代ならばCGで撮られることになったでしょうが、当然のことながら、当時はそのような技術はありませんでした。

管理人

本物の血に似せる努力を重ねて作成した赤い液体を何百ガロンも用意し、実際にエレベーター内に流しこんで撮影したのです。

3テイクで成功はしたものの、1回ごとにエレベーターや壁の清掃、大量の血糊の作成といった気の遠くなるような作業をおこなったわけで、このシーンの撮影には1年が費やされたそうです。

シャイニングの考察&解説|双子の正体はジャックの前任の管理人デルバート・グレイディの娘たち

ホテルの廊下を三輪車で走るダニーの前に突然現れる双子。

一緒に遊ぶよう誘われますが、ダニーには彼女らが血塗れで横たわるビジョンが映り…。

心底ゾッとするこのシーンは、今や映画『シャイニング』を観たことのない人にも認知されており、双子の少女の霊はもはや「ホラー映画」そのもののアイコンになろうとしています。

しかし、実は彼女たちの登場シーンも映画オリジナルの要素でした。

管理人

この双子の霊の正体は、ジャックの前任の管理人デルバート・グレイディの娘たちです。

グレイディはジャック同様、冬季の管理人を務め精神に異常を来たし、妻と娘たちを斧で惨殺し、自らは猟銃で頭を撃ち抜き自殺しました。

原作及びTVドラマ版では支配人のアルマンからその経緯を聞くだけで、双子の霊は登場しません。

それに設定では歳の近い姉妹であり、双子でもないのです。

ところが、キューブリック監督が追加した双子の姉妹の霊は結果的に絶大なインパクトと恐怖をもたらしました。

特に双子であることが違和感や恐怖を倍加させたと言えるでしょう。

管理人

キューブリック監督の好む「一点透視図法」と「左右対称」の構図に、双子は完璧にマッチしていたのです。

そして、この双子の霊についてはモチーフとなった写真が存在します。

それが写真家ダイアン・アーバスの代表的作品「一卵性双生児」です。

ダイアンは身体障害者や倒錯者等のアウトサイダーな人々を好んで被写体とし、虚飾を排した冷徹なまでの写真表現が特徴でした。

キューブリック監督は若い頃「LOOK」誌でカメラマンをしており、当時の先輩であるダイアンに師事していたこともあったそうです。

ダイアンの「一卵性双生児」では「アイデンティティ」や「異常の中の正常性」及び「正常の中の異常性」が表現されており、非常に親密で同一に見える双子であっても、表情から各々の個性がしっかりと見てとれました。

同様に双子の霊でも、一人はわずかに微笑み、もう一人は真顔の表情で、ダイアンの作品と極めて類似しています。

キューブリック監督はダイアンから少なからぬ影響を受け、彼女にオマージュを捧げたのでしょう。

管理人

また、余談ですが映画版には前管理人のグレイディについての謎があります。

ジャックが服にドリンクをこぼされ、会話することになった人物はデルバート・グレイディと名乗りましたが、冒頭でアルマンが話した前管理人はチャールズ・グレイディという名前なのです。

原作でも前管理人はデルバート・グレイディのみです。

まさか完璧主義者のキューブリック監督のことですから、キャストのセリフミスとは考えられません。

そうなると、つまりグレイディは2人存在し、昨冬の管理人がチャールズで、デルバートは過去のいずれかの時期に管理人を務めたことになります。

ジャックもまた、かつて管理人をしていたことを指摘されており、エンディングでも示唆されているように、グレイディもジャックも輪廻転生を繰り返していることが推測できるのです。

この輪廻についての描写は映画版にしかありません。

ジャックがアルマンの話したチャールズ・グレイディを知らなかったのに、デルバート・グレイディのことは新聞で見て知っていたのは、ホテルのデジャヴ同様に前世の記憶が蘇ったからではないでしょうか?

そうであれば、もしかしたら双子の少女の霊も、デルバート・グレイディではなくチャールズ・グレイディの娘なのかもしれません。

管理人

シャイニングの考察&解説|犬男とタキシード紳士の正体とは?

映画『シャイニング』における最大の謎と言えるのが、犬のような被り物をした男とタキシードの紳士の正体ではないでしょうか?

これは映画の終盤、完全に狂ってしまったジャックから守るために先に逃がしたダニーをウェンディーが探しているシークエンスで登場します。

犬男は全身毛に覆われた着ぐるみを着用していますが、なぜか尻の部分だけが大きく露出しています。

さらに、犬男はタキシードの紳士の下半身に覆いかぶさり、何やら怪しい動きをしているのです。

これは明らかに男性同士で性的な行為をしているということでしょう。

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不条理で不可解なシーンの多い映画『シャイニング』でも、このシーンは特に際立っています。

では、2人はいったい何者なのでしょう?

まず、原作小説およびTVドラマ版にはこのシーンはありません。

ただし、それに近い描写があります。

物語の後半、ジャックが飲酒していることを察知したダニーが止めに行こうとすると、廊下から犬男が現れ、ダニーを威嚇し通せんぼするのです。

他にも、かつての支配人ホレス・ダーウェント(第二次世界大戦後のオーバールックホテルを立て直した敏腕経営者で、原作ではダニーの力を取り込もうと、あらゆる手でジャックを籠絡してきます)が、自身の忠犬的存在である部下のロジャーに対して犬の恰好や真似をさせてからかう描写があります。

そしてホレスはバイセクシャルという設定でもあるのです

このことから、犬男と紳士の正体は、映画では語られることのなかったロジャーとホレスと考えられます。

ちなみにTVドラマ版では、被り物は犬ではなく狼でした。ダニーを威嚇したのも、服装からホレスであることが分かります。

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また、映画で犬男に遭遇するのがダニーではなくウェンディーに変更された点については、ダニーを演じた子役のダニー・ロイドに怖い思いをさせたくないというキューブリック監督の配慮によるものです。

ただ、そうなると大人であるウェンディーが犬男に遭遇したところであまり恐怖を感じることはないでしょう。

そのため、奇妙な恰好をした者が男同士で性的な行為に耽っている(当時は同性愛に対して世の中は非寛容でした)、という要素を加え、ゾッとさせようとしたと考えられるのです。

そして、実はこの2人の正体については2019年、ホレス役を演じたブライアン・V・タウンズへのインタビューで答えが出ています。

それによると犬男と紳士は、やはりロジャーとホレスということで間違いありませんでした

しかし、このインタビューで注目すべき点は、犬男として認識されてきたあの人物が実は「熊男」であった点です。

たしかにあの着ぐるみは茶色い毛に丸い耳、それに顔は黄色でした。

熊と言われれば、その方がしっくりきます。

もしかしたら、熊男役のエディー・オディアの体型から、犬より熊の方がよいと判断されたのかもしれません。

いずれにせよ、今後は彼のことを「犬男」ではなく「熊男」と呼ばなければなりません。

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シャイニングの考察&解説|最後の写真はジャックが輪廻転生していることを意味している

映画の最後、ゴールドルーム(舞踏会場)の壁にかかった写真に画面がズームアップしていくと、そこにはジャックとそっくりの男が万座の舞踏会場の中央で微笑んでいました。

その写真の日付は1921年7月4日となっています。

このラストシーンの意味については、キューブリック監督自身が「ジャックの生まれ変わりを示唆している」とインタビューに答えています。(ミシェル・シマン著「KUBRICK」より)

ジャックが凍死したことで、その魂がホテルに囚われたとも解釈できそうなのですが、監督の意図はジャックの輪廻転生にあるようです。

この点もやはり映画だけの要素であり、確かに劇中には輪廻を仄めかす描写が幾つかありました。

例えば、ジャックは「初めて面接に来た時、昔来たことがあるような気がした」、「どこに何があるかも覚えている気がした」、とデジャヴを超えた既視感があることを語っています。

バーテンダーのロイドとも、なぜか「ハイ、ロイド」と初対面にも関わらず名前を呼び、ロイドも「トランス様」と応え、ジャックと面識がある様子でした。

同様にデルバート・グレイディとの会話でも、グレイディはずっと昔からジャックが管理人であったと、自分もまたずっと昔からここにいると断言しているのです。

つまり、何の因果か2人とも生まれ変わってはオーバールックホテルの管理人を務め、その都度家族を惨殺しているのでしょう。

写真の男はジャックの前世というわけです。

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また、写真の日付が1921年7月4日であることから、ジャックがゴールドルームで見たり話したりした人物は当時の人々だと思われます。

音楽の面でも、ゴールドルームのシーンで流れる曲は「Masquerade」(1932年)、「It’s ALL Forgotten Now」(1934年)、「Home」(1932年)、そして映画『シャイニング』のエンディング曲でもある「Midnight, the Stars and You」(1932年)と、いずれも1930年代前半の曲であり、さすがに1921年そのままの音楽ではないものの、その時代らしさを醸すことに成功しています。

そして7月4日というのは言わずもがな、アメリカ独立記念日です。

この日付が意味するものはインディアンへの皮肉でしょう。

映画『シャイニング』では、度々インディアンに関係する話題や物を出し、アメリカ人の原罪とも言うべき彼らへの迫害の歴史を想起させ、根源的な恐怖を煽っています。(例えば、ホテルがインディアンの墓の上に建っていることや、装飾にインディアンの伝統的なデザインを使っていること等)

独立記念日もインディアンにとっては祝福どころか、むしろ忌むべき日でしかありません。

独立宣言は天賦人権説を謳った大層立派なものですが、その文言の「人間」にはそもそも黒人もインディアンも含まれていないのですから。

もともと彼らは独立した存在であったうえに、その大量の屍の上に築かれたヨーロッパの白人入植者の「独立」など、彼らがどのような気持ちで受けとめるのか、想像するに余りあります。

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地味ながら、こういった点の積み重ねがアメリカ人の「いつか自分たちが罪の報いを受けるのではないか」という恐怖を刺激するのです。

シャイニングの考察&解説|ジャックはなぜ狂ってしまったのか?

映画「シャイニング」は原作小説から大きく変更を加えたことで有名です。

そのあまりの改変ぶりに原作者のスティーブン・キングは激怒し、映画版の『シャイニング』について長年の間、批判してきました。

その変更点は無数にあるのですが、もっとも大きなものとして、ジャックが狂っていく過程が挙げられます。

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原作及びTVドラマ版では、ジャックの根底には家族愛がありながら、ホテルの悪意によって段々とジャックは正気を失っていきます。

ホテル(と亡霊たち)の狙いは明確であり、ダニーの持つ能力(=シャイニング)を奪い、自分たちの邪悪な力をより強大にするために、ジャックを狂わせ妻子に手をかけるよう仕向けたのです。

ジャックは、家族(特にダニー)への愛とホテルの邪悪な力との間で最後の最後まで葛藤していました。

そして死後もダニーの成長を温かく見守っていたのです。

ところが映画版のジャックには、家族団らんといったシーンもなく、ウェンディーにもトニーにもさして愛情を持っていないように感じます。

しかもホテルに住み始めてまだ間もない時点で、すでにジャックの様子はおかしかったのです。

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例えば、一ヶ月後の初めて雪の降った木曜日、ジャックはなぜか放心状態におちいっていました。

前日には仕事中に話しかけるウェンディーを怒鳴りつけていたし、もうこの時点で不穏な空気が充満しています。

さらには4日後の月曜日、トニーが部屋に入ったとき、ジャックは同様にボーッと虚空を見つめていました。

その様子はダニーが病気を疑うほどでした。

ジャックはダニーに「できればいつまでもここにいてほしい。ずっと…永遠に…」と語るのですが、この言い回しは土曜日に遭遇した双子の少女の霊と同じセリフです。(ever and ever の部分)

ということは、この時点でジャックはホテルの邪悪な力に取り込まれ、すでに正気ではなかったのです。(ここは唯一、ジャックがダニーを抱き寄せるシーンだというのに、ジャックは狂い始めており、BGMも不安を感じさせるものです。要するに映画では家族への愛情を描く気はないということです。)

決定的なのは、ジャックのタイプした原稿用紙です。

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後半にウェンディーが、同じ文章で埋め尽くされた膨大な量のジャックの原稿を見て悲鳴をあげますが、これは執筆開始直後の段階からジャックが狂っていたことを示すものです。

なお、この点にはジャックを演じたジャック・ニコルソンの超個性派俳優としての特性も少なからず影響していると言えるでしょう。

圧倒的な存在感を放つ彼の容貌と演技では、平凡な父親という役柄に収まるわけもなく、どこか危険な人物という印象を最初から与えてしまうからです。

もっとも、キューブリック監督はそれも含めてニコルソンを起用しました。

さらに監督は映画において敢えて、ジャックがホテルの力とは関係なくストレスによって狂ってしまったとの見方もできるようにしています。

ジャックは、原作者スティーブン・キングの一番苦しかった頃の体験が反映されています。

妻も子もいながら、いい歳をして物書きとしてまったく売れず、酒に溺れる貧乏生活。

こんな後のない崖っぷちの状況で、妻には仕事の邪魔をされ、息子は架空の人物と話す等のおかしな言動をとるようになったら、精神に異常を来たしてもおかしくはないと感じてしまいます。

実はジャックの遭遇する怪現象はダニーと違い、彼の妄想によるものと解釈することができるのです。

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例えば、237号室の女やバーテンダーのロイド、デルバート・グレイディと遭遇する場面には、常に鏡がありました。

もしかするとジャックは鏡に映る自らの邪悪な内面と対峙していただけなのかもしれません。

また、237号室の女がダニーの首を絞める直接的な描写はないので、これもジャックの犯行なのだが、ダニーが父をかばっているという可能性もあります。

とかく映画版のジャックは、正気でなくなってしまってからというもの、家族に危害を加えることに躊躇いがなく、むしろ嬉々としておこなっているふしが見受けられます。

では、なぜキューブリック監督は原作から大きく改変を加えたのでしょう?

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それには監督の個人的な思想が関わっています。

それというのも、キューブリック監督は霊の存在も死後の世界も、神すらも信じていないからです。

ダニーやウェンディーが遭遇する怪現象は霊というよりも残留思念のようなもので、特殊な力によって過去のある一点が見えるに過ぎません。(ただし、ジャックが閉じ込められている食料庫の鍵を開けたのは、明確にグレイディの霊だと監督も認めています。)

ジャックに至っては全てが妄想の可能性すらあります。

タイトルである超自然的な力「シャイニング」も、映画『シャイニング』ではあまり大事な要素ではありませんでした。

そして、これらの改変はある一点に向かって収束します。

それこそが「恐怖」です。

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映像の魔術師キューブリックは、活字と映像の媒体の違いを誰よりも理解しているが故に、原作をそのまま忠実に映像化しても恐怖は得られないと判断しました。

原作の要素を極限まで削ぎ落とし、ソリッドな形に再構築することで、キューブリックは恐怖を追求したのです。

その結果、映画『シャイニング』はホラー映画の金字塔として不動の地位を確立しました。

また、英ロンドン王立大学の研究チームによると、映画の恐怖度を数値化したところ、最も数値が高かったのが映画『シャイニング』だということです。

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実際にスティーブン・キング自らが監督したTVドラマ版とこの映画版を見比べれば分かるのですが、怖さもさることながら、映画版の圧倒的な完成度の高さ、映像センスの良さに驚かされます。

TVドラマ版も、父と子のドラマに思わず涙が出る良作なのですが、映画と比べてしまうと凡庸な作品に見えてしまうのです。

スティーブン・キングは映画『シャイニング』を「モーター(エンジン)のないキャデラック」と評価しました。

大きくて美しく、豪華な内装も楽しめるが、そもそも心臓部のエンジンがないから走れないという意味です

原作者にとっての心臓とは親子の愛情でした。

しかし、その走らないキャデラックはあまりに大きく美しく、車とは異なる存在(例えるなら美術品)に昇華してしまったのです。

エンジンなど不要と思わせるほどに。

シャイニングの考察&解説|実話なの?237号室やロケ地ついて解説

映画『シャイニング』はスティーブン・キングの原作小説を映画化したものであり、もちろん実話ではないのですが、作品にはキング自身の体験が多く反映されています。

高校教師兼売れない作家であったキングは、初の長編小説『キャリー』のヒットによってようやく小説家としてのスタートを切り、家族と共にコロラド州ボールダーに移り住みました。

1974年、キングは気分転換のため北部のエステスパークまでドライブに出かけ、ロッキー山脈の麓に佇むスタンレーホテル217号室に宿泊します。

その時、ホテルは冬季休業する直前であり、宿泊客もキング一家だけでした。

しかも、ただでさえ人気がなく閑散としたホテルは不気味なのに、そこは以前から霊が出るという噂で有名でした。

217号室についても、1911年の爆発事故以来、霊の目撃情報が相次いでいたのです。

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そんな状況で宿泊したキングは案の定、3歳の息子が消防ホースに襲われ、迷路のような廊下を絶叫しながら逃げ惑うという悪夢を見ました。(原作及びTVドラマ版では、ダニーが消防ホースに襲われるシーンがあります)

その体験からキングはインスピレーションを受け、『シャイニング』の物語を書き上げたのです。

したがって、オーバールックホテルのモデルとなったのはスタンレーホテルであり、いわくつきの部屋もキングの泊まった217号室というわけです。

ただ、原作およびTVドラマ版では217号室の設定ですが、映画については237号室になっています。

これは映画でオーバールックホテルとして撮影したオレゴン州のティンバーライン・ロッジが、映画によって217号室に悪影響が生じることを懸念し、実在しない237号室に変更するよう要請したためです。

それと対照的なのがスタンレーホテルで、同ホテルはその後TVドラマ版でオーバールックホテルとして撮影された後も、『シャイニング』発祥の地として、また幽霊の出るホテルとして宣伝し、人気を博しています。

実際、今現在も217号室は最も予約の取れない部屋となっているそうです。

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ちなみに237号室の女の正体について、原作では何者なのか説明されています。

彼女はロレイン・マッシーという名前で、ニューヨークの大物弁護士の妻なのですが浮気癖があり、ホテルへは若い愛人と不倫旅行に訪れていました。

しかし、宿泊中に愛人に逃げられてしまい、ロレインは入浴中に自殺を図ったのです。

ロレインは『シャイニング』のアイコンとも言える霊の一人であり、その後も続編である『ドクター・スリープ』に登場しています。

シャイニングの考察&解説|鏡について

「鏡」は古来より単に自己を映す日用品としての使用にとどまらず、現実の世界と別の世界を分ける神秘的な存在として祭祀の道具に使われてきました。

創作物の世界でも、鏡が非現実世界への入り口として機能している作品を挙げれば枚挙に暇がありません。

映画『シャイニング』においても鏡はキーアイテムであり、この世ならざるものと現実を見分ける役目を果たしているのです。

特に分かりやすいのが、237号室でジャックが女の正体に気付くシーンです。

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突然バスルームから現れた若い女に魅了され、思わず抱きつくジャックでしたが、ふと鏡を見ると、そこには老婆の腐乱死体が映っていました。

ジャックは度々、亡霊や幻影を見ますが、鏡は真実の姿を映し出すのです。

それをジャック自身も理解したのか、トイレでデルバート・グレイディと会話している際には、彼の正体を訝しんで鏡をのぞき込もうとしています。

ただ、絶妙なカメラアングルのため鏡に映るグレイディの姿は見えませんが。

バーテンダーのロイドにしても、それが見えていたのはジャックだけであり、ウェンディーがバーに来たとき、鏡に映っていたのはジャックただ一人でした。

そしてダニーがつぶやく「REDRUM」も、壁に描かれた言葉が鏡に映ることによって真の意味「MURDER(殺人)」が分かるという仕組みです。

劇中、鏡が初めて登場するのはダニーがトニーと会話するシーンでしたが、面白いことに視点が鏡に映るダニーへと徐々にクローズアップしていきます。

これは、ダニーの中にもう一人の人格トニー(正体は未来の自分)が存在することを分かりやすくしている演出です。

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鏡は真実を映すものであり、ダニーはそれによって内なる自分と対峙し、会話することが出来たのです。

しかし、そうなるとジャックがバーカウンターに座り鏡に向かっているにも関わらず、ロイドが見えてしまったということは、もしかしたらロイドはジャックの心が作り出した幻であるのかもしれません。

この点については後述しますが、映画では原作と違い、ジャックが狂ってしまった原因がホテルだけにあるのではなく、うまくいかない人生への焦燥感にあるように解釈できるのです。

もちろん、それはキューブリック監督が意図的に改変した要素なのですが、とにかく映画では、ジャックは初期の段階から精神に異常をきたしているように見え、心霊現象なのかジャックの妄想なのかが曖昧されています。

例えば、ロイドやグレイディがジャックに対し肯定的で、逆にウェンディーやダニーに否定的なのは、ジャックの中の願望や考えがそのまま投影された、つまり彼の心が作り出した人物だから、とも考えられるのです。

このように鏡に着目して映画『シャイニング』を鑑賞すると、また新たな視点に気付くことでしょう。

シャイニングの考察&解説|カーペットの柄模様の意味

オーバールックホテルの廊下には全面に六角形柄のカーペットが貼られており、一度見たら忘れられないインパクトを持っています。

完璧主義者のキューブリック監督のことですから、当然この柄模様も何らかの意図を持って選択したに違いありませんが、本人がそれについて言及することはありませんでした。

その点も含め映画『シャイニング』には多くの謎があり、海外では昔からファンによる様々な考察がおこなわれてきました。

それは『ROOM237』という一本のドキュメンタリー映画にまでなっている程です。

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中には荒唐無稽な説もありますが、映画『シャイニング』鑑賞後に観ればより深く『シャイニング』の世界を楽しめるでしょう。

ここではカーペットの柄の意味について、そのような多様な説も踏まえつつまとめたいと思います。

まず、この柄について初めに注意すべきなのは『シャイニング』の撮影で考案されたものではない、ということです

この柄はイギリスのインテリアデザイナー、デービッド・ヒックスによるデザインで、正確には「ヒックス・ヘキサゴン」というものです。

デービッドはすでに60年代にこの柄をデザインしていました。

従って、ヒックス・ヘキサゴン柄の著作権はデービッド・ヒックス社にあるわけで、キューブリック監督は配色こそオレンジ・ブラウン・レッドに変更したものの、デザインは盗用したわけです。

当時は今と違ってコンプライアンスなどという概念は存在せず、著作権についての世間の認識も相当緩かったのでしょう。

そしてキューブリック監督がそのヒックス・ヘキサゴンに込めた意味としては、6つの点が考えられます。

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1つ目は、鮮やかで魅惑的しかしながらどこか人を不安にさせるこの柄は何か悪いことが起きる予兆を現していることです。

2つ目は、六角形の6はキリスト教において不完全な数字であり、神や聖的な存在に背く悪魔的な数字であることです。

神は世界を7日間で創造したため。ヨハネの黙示録では666を獣=悪魔の数字としています。

また、6は人間の第六感すなわち超能力=ダニーのシャイニングについての隠喩にもなっている。

3つ目は、ヘックスはボードゲームのマス目であり、登場人物は駒であることです。

キューブリック監督は大のチェス好きであり、また戦争・戦略についても深く研究していました。

ウォーゲームに多く使われているヘックス柄が選ばれたのは偶然とは思えません。

そしてヘックスに座って遊ぶダニーは、よく見るとカットが変わるごとに移動しているのです。

これはホテル内の悪霊によってダニー、ひいてはトランス一家がボード上を駒のように動かされていると解釈できます。

4つ目は、この柄はキューブリック監督の多用する「一点透視図法」(奥行を表現する遠近法の一種)と「左右対称」の構図に特に適しており、廊下の奥行を延長させ、遠近感を強調する効果を生み出していることです。

5つ目は、映画『シャイニング』にはインディアン(本来はネイティブ・アメリカンの表記が望ましいですが、便宜上こう表記します)の意匠が多く取り入れられ、この幾何学模様の柄もその1つであることです。

前述の『ROOM237』にも登場するジャーナリストのビル・ブレイクモアによると、キューブリック監督は恐怖をより引き出すため、アメリカ人の潜在意識にあるインディアンへの罪悪感を利用したそうです。

そして、6つ目が、この柄の六角形や配色は原作及びTVドラマ版に登場した「蜂の巣」の模様でもあることです。

蜂は「悪」や「災い」の象徴であり、原作では最後に炎上するホテルから飛び立つ描写があります。

*映画『シャイニング』のここまでの解説は当サイト『シネマヒッツTV』の独自コンテンツです。

引用の際は必ず当サイト『シネマヒッツTV』の引用リンクと出典の記載をお願いします。記載がない場合は法的処置も検討させていただきます。

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